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姪に本をおくる

私の出身地に暮らす妹に、娘と息子がおりまして、つまり私の姪と甥になります。

先日、何でもない日に姪から手紙が届きました。
何でもない日とは、誕生日とかイベント毎だとかそういう日ではない日の事です。
手紙の中には、小学6年生になったことと、弟が1年生になったという事と、2年も会ってないから、また遊びたいというような事が書かれていました。
その中に、
「またいつか、私がこどもでいるうちに3回くらいは会いたいな~!と思います!」
という一文がありました。
やるなぁと感嘆してしまった。
これは、この時期にしか書けない貴重な一文ですね。
5年生から6年生へ。
この時期って、そんな風に考えたりするかもな。
と、改めて、自分の小学生時代にタイムスリップするような感覚になります。
また、手紙と一緒に、押し花で作ってくれた栞を3枚、いれてくれていました。

妹にはラインで
「かんちゃん(姪)からの手紙とどいたよ。週末手紙の返事を書いて送るね。来週の水曜までには着くようにするよ。」と伝え、早速手紙を書くことにしました。
栞をくれたし、せっかくなので、本も一緒に送ろうと決めました。
かねてから、「本は読んだ方がいい」と伝えたいおばさんの私ですが、
なにしろ私の生まれ育ったあたりでは、日常的に本を読む大人が少ないので、結果的に本を読む子どもが少なく、姪も例にもれず本をあまり読みません。
そういう私も、小学生の頃は本はそんなに好きじゃなかったし、読んでもいなかったです。

そういう訳で選書。
まず現在の児童文学事情を知らないといけないなと思い、ネットで
「小学生 高学年 おすすめ 本」
で検索。
「うん、確かにこれは大人が読んで欲しいと感じる児童文学だな」
というものが沢山お勧めされています。

私が子どもの頃読まれていたものもまだまだ根強く、例えば私が小学校6年生の時に夏の宿題の読書感想文の為に読んだ、「ルドルフとイッパイアッテナ」とか、かつて宮沢りえさんが主演し、人気を博した映画の原作、「ぼくらの七日間戦争」、永遠の日本児童文学の金字塔宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」や、世界の名作私も読書会をしたミヒャエル・エンデ「モモ」と「はてしない物語」などなど。

学校の図書室にあったなー、懐かしいなー。

とはいえ、折角薦めるのだから、私も勿論読んでから送ると決めているし、それなら読んだことの無いものを読んでみたいんですよね。
私の子どもの頃からもうウン十年経つし、読んだことの無い面白そうなのいっぱい出ているし。
と、いう訳で気になる1冊のサンプル版をkindleでダウンロード。
早速読んでみました。

「・・・めっちゃ面白い!!!」
本来の目的を忘れ、kindle版購入。
児童文学かい、これ!?
ルビ(読み仮名)ふってあるから読みやすいけど、内容はかなり大人です。
政治に翻弄される主人公の人生と葛藤。
追う者と追われる者の心理。
二元論で描かない、それぞれの思惑。
ふいに登場する食事のシーンの描写は細かく、美味しそう。

上橋菜穂子 著、「精霊の守り人」
が、その本であります。
全然知らなかったのですが、ドラマや漫画やアニメにもなったらしく、巷では結構有名だったんですね。

しかし、これを読んで断言できますが、絶対に「本」がいい。
これは、ファンタジーですが、実際の感覚や、手触りを追求した言葉を厳選されて書かれています。
言葉自体を生み出していく、文化の土壌や人々の生活をイメージされているので、挿絵以上の絵や映像にしてしまったら、その感覚やイメージが随分削がれてしまいます。
ここは感覚を研ぎ澄まして、本の世界に没頭してほしいです。

この、上橋菜穂子さんという方、作家でもありますが、文化人類学者でもある方で、オーストラリアの先住民アボリジニについて研究していらっしゃり、大学特任教授をされています。
文化人類学者としての知識がベースとなっているので、ここまで立体的な作品になっているのだろうなと感じました。

いや、本当に面白かったです。
この本を世に出してくださってありがとうございます。
因みに挿絵は、二木真希子さんという、スタジオジブリでアニメーターをされていた方です。
世界観のバランスがとれた、絶妙なポイントで添えられていて美しいです。

という訳で、この本で決定です。
ハードカバー版を購入し、実際本になっているものをみると、表紙のデザインも素敵だし、紙の本の手触りはやっぱりいいです。
姪には多分ちょっとボリュームがあり過ぎるし、読めない可能性は高いのですが、送ってしまおう。
分厚いけど。
厚さは「はてしない物語」くらいです。
小6の私だったら読んだかな? どうかな・・

さて、楽しんで貰えるかどうか、少しだけでも、本の世界の魅力が伝えられたら、嬉しいんだけどな。
そうおばさんの思惑通りには、いかないのでしょうけど。

手紙の最後に、
「この本分厚いけれど、面白かったから試してみてね。」
と、締めくくりました。

どうだったかな?

いつかでいいので、忘れたころにでも、何かの返事がきたら嬉しいですね。

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