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読書記録:しあわせのねだん/角田光代


これは、インスタグラムに載せいてる読書感想文兼エッセイのようなもの

です。

なんと字数オーバーになってしまうことが増え、いっそのことnoteに投稿してはどうかと思い立ったわけです。

とのことで初投稿はこちらです。




角田さんエッセイももう5冊目?
だいぶ読みました。
だからこれも、読み始めて
「あ〜安定だな〜」と(いい意味で)思って読み進めていった。いつもどおりだらだらと、コーヒー飲みながらお酒を飲みながらお風呂の中から、なんというかエッセイを読むときのゆるゆる感で読んでいたのだけど、
でも、最後のエッセイで、背筋がしゃーーーんとなった。
今の自分にすごくすごく必要な言葉で、
この本開いて本当に良かったと思った。
本や言葉との出会いって本当に一期一会だ。
この最後のエッセイだけでも、読み返しながら年を重ねていきたいなあと思った。

これは、
角田さんが10年間毎日欠かさずつけ続けている家計簿から、
お金をつかったもの・ことにまつわるエピソードを1つずつ語るという、
なんとも前例がなさそうなエッセイ集。
テーマは、お昼ご飯や電子辞書、健康診断やキャンセル料、冷蔵庫等々…
もちろんこれが全てではないのだけど、
角田さんはこういうことにお金を使うのだとか、これを買うには悩むのだなあとか、お金を使うことに関して見えてきたことや分かったこととが紹介されていて、また角田さんのことを好きになった。

私なんかがこんなこと言って本当におこがましいが、
角田さんわたしと似てる!!!!
って、読むたび読むたび思う。
共感ポイントがありすぎて、
これは私なんじゃないか?って思うことが多々ある。

でもそれって、きっと私だけじゃなく
いろんな方が思っていることなのかな、って思う。
なんかなんとなく、「こちら側」の感覚がある。


そして一番紹介したかったのが、このエッセイで一番刺さった「一日」というエッセイ。
このエッセイの総まとめともいえるんじゃないか。角田さんのお金に対する考え方が記されている。

抜粋で紹介させてください。

174頁
そうして30代も後半に近づいた今、思うのは、二十代のとき使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである。
ー中略ー
自分で作った、自分のお金である。なくなろうが、あまろうが、他の責任ではなく全部自分自身のこと。それをどう使ったかということは、その後のその人の、基礎みたいになる。


これはほんとーーーに、
そうか、そうなのか、そうだよな、って、
深く深く頷きながら読んでしまった。
なににお金を使ったか、どのくらい使ったか、
それらは全部きれいに自分のもとへ、帰ってくるようにできてるんじゃないかって、思ってたから。

続き。


今の私の足場のなかに、二十代のころにとにかくだれかと飲んでいた時間、というのはまぎれもなくある。ー中略ー
役にたつとかたたないとかではなくて、そうしたことが、私のなかの根っこ近くにどうも在る。
ー中略ー
(お酒を飲むという)無為な時間が、今の私を助けたりもする。そのことをときどき実感する。

私もそうだ。
角田さんと同じだ。
そう思って読んでいた。

いったい飲み代にお給料の何%を注ぎ込んでいるのか?
怖くて計算したことないけど、たぶん相当である。
月に4本は必ずワインを買うし、週に2回は店で飲むし。
だけどたしかに、
飲み屋で出会った人が今の私の生活の一部になっていたり、支えになっていたりするんだなこれが。
あとはよくわからないおじさんやお姉さんに励まされたり、おごってもらったりして、
これまでの自分の人生の中で交わるところってきっと絶対になかったしこれからもないんだろうな、
って人たちと、
お酒を通じて話して仲良くなっている。
すごい不思議だけど、そんな時間が仕事のストレスから解放させてくれる。ほんとに勇気付けられたり、ほっこりしたり、笑ったりしてる。
お酒を飲む時間は、角田さんの言葉を借りれば10年後の私も助けているのかもしれないけど、
でも、今の私もとても助けられている。


そしてもう一つ印象深かったところ。
177頁
私がもっとも恐怖するのが、なんにもお金を使わなくって、貯金額だけが異様に高い、ということだ。ー中略ー
映画も見ず、酒も飲まず、外食もせず、旅行もせず、貯めたお金なんだなあとすぐにわかった。だってその人、中身がなんにもなかったのだ。
数字は積み上がるが、内面に積み上がるものはなにもない。
ゆたかであるというのは、お金がいくらある、ということではけっしてないのだと、その人をみて知った。そういう意味で、まずしいまま年齢を重ねることが、私はとてもおそろしい。

私は貯金ができない。
というか、好きなことが多すぎて、特に物欲と食欲と酒欲、
半分応援の意味も込めてお金を使ってしまう。
このお店潰れないで〜
次の小説も早く書いて〜
このワインまた仕入れて〜
みたいな具合に。
(私に心配されなくたってその人たちはちゃんとやっていけるのだろうけど)

貯金=良いこと、
とされる世の中で、
貯金が全然ないことを言うのはとても恥ずかしい。

でも、もういいやと思った。
もちろん、
お金もあって中身もゆたかな人間であることが一番望ましいけれども、私にはまだ遠い道のりだ。
もうだったら、潔く諦めて、
好きなことや自分の糧にしたいことにちゃんとお金を払おうと思った。からっぽの人間にならないように。
お金を払って、いろんなことやものやひとに触れて、
ちゃんと心が動く人間になろ、
って、思ったのです。


すごく長くなっちゃった。
こんな長い文章誰も読んでないと思うけれど…
もしこの本を手に取ることがあったなら、
最後の章は、お酒を飲まずに、しゃんと、読んで欲しいです。


角田さん!
やっぱり似たもの同士だよ〜
若い時に会いたかったです。ほんとうに。


やばい。
ワイン飲みながら書いてるからなんかぐちゃぐちゃかも。ごめんなさい。

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