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アイドルのライブは他と一味違う(12月25日)

「〇〇ちゃんかわいいーーー!!!」前のおじさんが全力でステージに向かって声を投げる。すると横の女の子も負けじと声を張り上げ、アイドルの体がこちらを向いた瞬間に全力でペンライトを振る。無数の飛び交う声たち。男も女も年齢もバラバラ。小学校低学年か幼稚園くらいの子も「〇〇ちゃんかわいいよー!」と大人たちに掻き消されないように精一杯声を張り上げている。明らかに浮いたその高い声が会場にこだまし、思わず「お前がな!!」と突っ込みたくなった。この場には「いや叫んだってどうせ聞こえないよ」なんて冷めたことを言うやつは1人もいない。まわりの目なんか一切気にせず、ただ好きだという真っ直ぐな思いを全力でぶつける。そう、僕がずっと体験したかったのはこの空間そのものだ。

初参戦したももクロの3日間のライブも今日が最終日。やっぱりアイドルのライブは歌手のライブとは全然違う。ロック歌手のライブが「一緒に盛り上がるライブ」だとするならばアイドルのライブは「一緒に作り上げるライブ」。アイドルのライブには合いの手が存在する。「うりゃ、おい!!うりゃ、おい!!」と曲のテンポに合わせて会場が一体となって声を張り、思い思いの推しカラーに染めたライトを天に掲げる。端から端までぎっしり埋め尽くされたその1本1本に各々の思いが込められていて、それがこの景色を作り出していることを知った時、改めて普通のことじゃないよなと思った。

この景色が自分に向けられた中で踊るももクロちゃんたちはどういう気持ちなんだろうか。15年もアイドルをやっているとこの景色にも慣れてしまうのかな。そんなことを考えていた時、最後の挨拶で他の人が話しているときに紫担当の高城れにちゃんが泣いていた。ライブ中も他の人がMCしている間、ずっと会場のファンに向けてファンサービスして、明らかにファンに対しての熱量が頭ひとつ抜けていた子だ。今ある景色を当たり前だと思わずにここまで感謝を行動にして返せるのはすごい。これが日本のトップアイドルかと例外なくしっかり僕も心を掴まれてしまった。

アイドルのライブは間違いなく日本の文化の一つだと思う。それくらい現地の熱量は圧巻。ぜひ一度は現地で体感してほしい。座って大人しく歌を聞いてる人はまずいない。ここまで聞くとアイドルのライブがすごくハードルが高いもののように感じるかもしれないが、僕は今回曲もあまり知らずにしかも1人で参戦した。曲を知っているに越したことはないが、知らなくてもあの空間で隣の人に合わせて、それっぽくペンライトさえ振っていればあとは会場の雰囲気が勝手に楽しませてくれる。ただひとつ楽しむために需要なことは楽しむために全力を尽くすこと。オタクになった自分を客観視したり、恥ずかしがらないこと。

余韻も冷めやらぬ帰りの電車の中で、僕はしっかり次のライブの抽選に申し込んでいた。運営の思う壺である。

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