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加賀市内の全中学校が集合!2022年度加賀STEAM成果発表会レポート

みなさん、こんにちは。みんなのコード未来の学び探究部の千石です。
最初に少し自己紹介させてください。私は、東京都の中学校で技術・家庭科技術分野の教員として11年間勤務していました。

教員になる前は民間企業でエンジニアをしていた経験もあり、民間→教員→NPOというちょっと変わったキャリアを歩んできました。
教員生活の中では、教科書の執筆に携わらせていただく機会をいただきました。その後、技術教育や情報教育をより充実させていくために、より広く学校の外から貢献できないかと考え、2020年にみんなのコードに入社しました。現在は全国の中学校「技術」担当の先生方への研修講師や教材・カリキュラム開発を担当しています。

今日は私が携わっている加賀STEAMについてご紹介します。
本日の記事のポイントこちら。

  • 加賀市でのプログラミング教育

  • 総合的な学習の時間を、行事中心の時間から答えのない問題と向き合う探究型学習へ

  • 多様な作品から見られる子供たちの可能性

加賀STEAM学習での取り組み

加賀市の中学校におけるSTEAM学習は、中学2年生が「総合的な学習の時間」(以降「総合の時間」)を利用して、地域の課題解決を調査、分析し、解決策について様々な提案を行います。

みんなのコードでは、調査、分析の段階から指導をサポートし、様々な解決策を作り上げる中で、プログラミングや動画制作、Webサイト制作、3DCAD、といった製作に関するアドバイス及びサポートを行っています。

そして昨年2022年12月17日に、市内6校の代表作品を一堂に集め、はじめてSTEAM成果発表会が開催されました。

加賀市とみんなのコードの歴史

みんなのコードと加賀市の関わりは、2016年に宮元市長からの一本の電話から始まりました。最初は、5校の小学校からプログラミング教育支援が始まり、その後2017年には市内全小学校での支援に発展。先生方への研修もスタートしました。

2019年には中学校でのプログラミング教育の支援も始まり、同年には学校外でも子供たちがテクノロジーに触れられるような“地域の居場所”を作りたいという市長の思いから、日本初導入、米国発祥のコンピュータクラブハウス加賀がオープンしました。

2020年には、先行実施校として東和中学校でPBLに取り組む加賀STEAMがスタートしました。

加賀市内の中学校におけるプログラミング教育

最初から、中学校で現在のようなPBLに取り組むことができたわけではありません。

はじまりは2019年。市内6校で中学1年生を対象としたプログラミング学習が始まりました。総合の時間を活用して、子供たちが小学校で学習してきたmicro:bitを用い、身の回りの問題や困りごとを解決するワークショップ形式の授業(全5時間)を実施しました。班ごとに課題発見からプログラムの作成まで行い、製作した作品をクラスで発表。その後、生徒たちは振り返りを行いました。

転機となったのは、2020年3月のコロナ禍による一斉休校。加賀市のプログラミング教育にも大きな影響を与えました。

加賀STEAMのはじまり

コロナ禍によって、これまで中学2年生が行っていた職場体験ができなくなり、大きく学習内容を変更せざるをえなくなりました。

そこで加賀市では、新たに「中学生による地域の課題解決」をテーマとして掲げ、総合の時間は、探究学習へと転換していきました。

これまでの職場体験は、地域の皆さんの仕事を体験し、自分の進路やキャリアについて考えを深める学習でした。しかし、新たに始まった探究学習では、地域の方の仕事を知るだけではなく、それぞれの仕事が抱えている課題を知り、調査し、解決策を提案する、といった内容に変化を遂げました。
私たちは、プログラミング学習にとどまらず、探究学習においても各中学校の授業のサポートを行ってきました。

探究学習を通して、人口減少や観光客の減少など、様々な課題が地域に存在することを知った生徒たちは、調査したデータをグラフ等にまとめ、発表を行いました。生徒たちは、小学校の頃からスライド等を用いた発表活動をしてきたため、発表はお手のものです。

しかし、ここである課題が浮き彫りになりました。それは、情報を収集し、整理・分析した結果として表現する方法がスライド発表に限定されてしまい、せっかく学んでいるプログラミングを活かすことができず、「絵に描いた餅」になってしまっていたのです。

そこで、私たちは既にPBL学習で実績のあった埼玉県戸田市の実践を参考に、課題を解決する方法として創作活動を取り入れることができないか、と考えたところから加賀STEAM学習がはじまりました。

加賀市STEAM成果発表会

加賀STEAM学習のひとつの成果として、昨年12月に市内6校の代表作品を一堂に集めた発表会がはじめて開催されました。

成果発表会では、市内6校の中学校から各校2班、合計12班の代表生徒たちがプレゼン形式で発表を行いました。以下はその発表テーマです。

●ご当地ドーナツ
●Sports Training Camp in Kaga
●ひらがな×和菓子×山代
●外国人観光客数と山代の学生の英語力が上昇する取り組み
●自動運転での特産品の移動販売「トクデリ」
AIを利用して野生動物による被害を減らそう
●山中の美しっき(うつくしっき)
●行ってみよう!山中
●海の豊かさを守ろう(海洋資源)
●つくる責任・つかう責任(生産・消費)
●なぞとき観光名所巡り
●移動式ショッピングモール

一部、市のYoutubeチャンネルで発表会の様子が公開されているのでご覧いただけます。

私が、生徒たちの発表を会場で見学して関心したことは、学校での学びと課題解決が深く結びついた作品が多かったことです。生徒たちは、普段学校で学んでいることを活かそう、という考えよりも、課題を解決するために自分たちが知っていること、できることを絞り出して課題に向き合っていました。

訪日外国人に対して加賀の町を案内しつつ、自分たちの英語学習に結びつけたり、技術科のプログラミング学習を活用し、野生動物を退治する作品などが印象的でした。また、特産品を使ったドーナツや琥珀糖など、加賀の農産物を使ったドーナツや和菓子を生み出すなど、ぜひ商品化して販売まで挑戦して欲しいグループもありました。


中には大人顔負けなユニークなショッピングモールを提案したグループに対して、会場から驚きの声が上がっていました。

このように、加賀市STEAM学習の歴史は浅いですが、生徒たちのユニークな発想は会場にいた大人を大いに驚かせました。

今回の発表会を行うにあたり、「なぜ合同の発表会を行う必要があるのか?」「先生方の負担増に繋がるのでは?」という意見もありました。

しかし、合同で行うことで、中学生が加賀市の将来について考え、学習していることを加賀市民の皆さんに知ってもらう機会を作ることができました。

このSTEAM学習は、学校だけでは取り組むことが難しく、より多くの市民の皆さんや地元企業の力が必要になる活動です。多くの方に知ってもらうことができた今回の発表会は「第一歩」といえるのではないでしょうか。

加賀STEAM学習のこれから

これまでの学校教育は、先生が生徒に問題を出し、その解き方を教える...という形式が中心でした。

しかし、加賀STEAM学習は指導する先生も地域の大人も、だれも正解を知らない課題に対して、みんなが向き合う活動です。

先日発表された加賀市教育ビジョンの中でもSTEAM学習が大きく取り上げられています。

加賀市学校教育ビジョン 

2021年から始まった加賀STEAMは、まだまだ手探りな状態です。どういった形で探究活動から創作活動へと繋げていくのか。実践を重ねながら、引き続き発展させていくお手伝いができたらと思います。


ここまでお読みくださりありがとうございます。

みんなのコードは「子どもたちがデジタルの価値創造者となることで、次の世界を創っていく」をビジョンに掲げ、2015年の団体設立以来、小中高でのプログラミング教育等を中心に、情報教育の発展に向け活動し、多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでまいりました。

もし、私たちの活動に共感いただき、何かの形で応援したい、と思ってくださった方は、みんなのコードへの寄付をご検討ください。

引き続き、21世紀の価値創造の源泉である「情報技術」に関する教育を充実に向けて、これからも取り組んでいきます。


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