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「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のBD・DVDの販売数が話題にならない理由

『「鬼滅の刃」アニメ映画のBD・DVD販売数 初週でミリオン突破も「すごさ」伝わらない事情』という記事を読みました。

確かに、記事の中にある通り、「分かりづらいから」というのはあるんだろうな……と思いました。

とはいえ、「分かりづらいから」の他にも理由はありそうです。

ビデオグラムは音楽より「分かりやすい」

「鬼滅の刃」はBDとDVDの2種類がある上に、通常版と限定版があり、それぞれが別々にカウントされるため、全体の数がつかみづらかったこと

記事の中では上記のような指摘もされていますが、これは『鬼滅の刃』に限らず他の作品も同様ですよね。

また、ビデオグラムは、音楽に比べるとまだ「分かりやすい」です。

アイドルグループのアンジュルムを例に挙げてみます。

アンジュルムは6/23に「はっきりしようぜ/泳げないMermaid/愛されルート A or B?」というCDシングルを出しました。

CDシングルのバージョンは以下の通り。

①初回生産限定盤A
②初回生産限定盤B
③初回生産限定盤C
(特典:DVD付)

④初回生産限定盤SP
(特典:DVD+イベント抽選応募券封入)

⑤通常盤A
(特典:トレーディングカードソロ10種+集合1種よりランダムにて1枚封入(はっきりしようぜ Ver.))
⑥通常盤B
(特典:トレーディングカードソロ10種+集合1種よりランダムにて1枚封入(泳げないMermaid Ver.))
⑦通常盤C
(特典:トレーディングカードソロ10種+集合1種よりランダムにて1枚封入(愛されルート A or B? Ver.))

(CDシングルA、B、Cはジャケット違いです)

更に、販売サイトによる独自の特典サービスもあったりします。
※初回生産限定盤A・B・Cのセットを購入した方に、MV撮影時のメイキング映像を収録した特典DVDをプレゼント

加えて、CD販売と同時に配信も始まります。

なお発売記念イベントについては、非常に分かりにくいレギュレーションもあったりします🤣

閑話休題。
話しを元に戻しますと、音楽に比べれば、まだビデオグラムの売り方の方がシンプルで分かりやすいです。

また販売数の発表については、特に事業者側の発表であれば、多少色を付けてまとめて発表するのが常だと思います。
商品ごとに、いちいち細かく○○は何万枚、●●は何万枚……という形ではなく、総計で「■■万枚突破位!」(四捨五入して切り上げた数字)といった方が見かけますね。

ですので、「分かりづらいから」というのは、特になさそうな感じがしています。

では、どうしてミリオン突破した「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のBD・DVDが目立たないのか?
3つの仮説を立ててみました。

①映画が突出した興収を叩き出したので、それ以外の商業的なニュースは霞む

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は興収400億円を突破し、国内の歴代ランキングでも1位です。
2位の『千と千尋の神隠し』が316億円なので、ぶっちぎりです。

映画自体のパワーはもちろんのこと、コロナ禍の影響が良い方向に転がった環境のおかげもあるのでしょう。
今後、この記録を抜くような作品はそうそう現れないようにも思います。

また、海外でもかなりヒットを飛ばしています。
アジア各国はもちろんのこと、アメリカでも、週末3日間で1954万ドル(約21億5000万円)、全米で2位の好発進を記録しました。

※鬼滅のアメリカでのヒットは、ポッドキャストでも考察しています

総じて言えることは、「記録続きの映画」ということですね。
ですので、映画以降の二次利用展開は、どうしてもインパクトに欠けるのは仕方のないところでしょう。

BD・DVDがミリオン……今回は131.1万枚とのことですが、『アナと雪の女王』が226.9万枚なので、まだまだ遠く及びません。

これが初週で、300万枚突破!となれば、大きなニュースとなった可能性が高いですが、131.1万枚ではいささか中途半端です。

(もちろん、この数字自体は驚異的ではありますが……)

②今までの露出過多により、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のニュース自体への飽き

2020年は『鬼滅の刃』一色の年になりました。

※『ガジェット通信 アニメ流行語大賞2020』は『鬼滅の刃』が上位独占!「◯◯の呼吸」「全集中」「煉獄さん200億の男」が受賞

一般のTV番組でも『鬼滅の刃』が特集されたり、そこかしこと話題になり、また比例してニュースも増えたりしました。

しかし今年に入って、ようやくブームが落ち着いてきました。
ここ一年のGoogleトレンドをみても明らかです。

鬼滅トレンド

更に3月から、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が。GWには劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』の上映が劇場で始まっています。

メディアも去年、散々『鬼滅の刃』を報じ続けてきたので、今はちょっとやそっとのニュースだと、なかなか扱わないんじゃないかと。

ファンの方も、トレンドを見る限り、情報を探しているとは思えません。

ですので、BD・DVD販売数がミリオンというニュースも、数あるニュースの一つという立ち位置なっているのかなと。
このニュースだったら、シンエヴァの劇場施策の方が話題になるはずです。

③DVD・BDはマニア商品。ニュースにしたところで、PVも上がらず取り上げられにくい

DVD・BDの市場は、右肩下がりです。

映像ソフト市場のうち物理メディア市場は、セルもレンタルも、そして双方の合計でも縮小の一途をたどっている 映像ソフト市場の推移(最新)

有料動画配信の市場にかなり食われてしまっていますが、それでもDVD・BDのような物理メディアを購入する人たちはいます。

しかし、アニメのような映像コンテンツであれば、わざわざ物理メディアを購入しなくても、楽しめる環境は整っています。
「物理メディアはもはやグッズの一部」と言っている人さえもいたりします。

購入者が少なくなっているのは、様々なデータを見ても否めない状況です。
ですので、今更……という言葉をあえて使いますが、今更DVD・BDの売上云々のニュースを報じても、注目度は高いあろうはずがありません。

購入者が少ない

ニュースとしても報じにくい

話題にならない

……といった連鎖があるのだと思います。

逆に、音楽のアナログレコードのように死に絶えたと思った物理メディアが、復活してきたなどであれば、ニュースになります。
しかしながら、DVD・BDはまだまだ中途半端なポジションですね。

まとめ

以上、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のBD・DVDの販売数が話題にならない理由を考えてみました。

ただ、話題にならないからといって、内容そのものが悪いわけではありません。
それどころか、作画をベースとした日本のアニメの最高峰の作品です。

また、BDであっても、購入しやすい価格設定なので良心的です。
この辺からも「国民的アニメ」の矜持が伺えますね。


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