魔法に必要な手順の話
「リオってなんでそんな魔法出す時に色んな方法使うんだ? ふつーは一つじゃねえの?」
その言葉に、魔法陣を記していた手が止まる。床に膝をついていた少女が顔を上げた。その表情は「呆れた」と言わんばかり。
「使い分けた方がやりやすいのよ。同じ食事でも、パンは手で、ステーキはナイフとフォークを使うでしょう?」
「それって、使い分けないと行儀が悪いぞーとかある?」
「無いわね」
きっぱりとリオノーラは断言する。蔓を巻き付けた、インクに浸していない素のままの筆が床を滑る。何も書けないはず