ある日、森の中で

「ふぅ……」
三人がワイワイと野宿の準備をしている。私は一人、たき火に使う小枝を抱えて遠巻きにその様子を見つめていた。
半ば無理矢理くっついてきた自覚はある。三人は三人のままパーティとして完成していたけど、それに割り込んだのが私だ。
ついてきた以上、仲間として対等に扱ってもらっているし、冷遇されている訳でもない。私が勝手に疎外感を抱いているだけ。こんな風に一人でそっと、息をついて。幼馴染水入らずで話したいこともあるだろうと自分に言い訳をする。
三人のうちの一人、ルークが輪から外れてどこかにいく。獣避けの薬をまきに行ったのかもしれない。合流しようか悩んで、結局そっと木の影に隠れた。
残されたコーンとリオノーラは談笑を続けている。完全に戻るタイミングを逃した。どうしよう。
人知れず静かに唸る私の肩に、ポンと重みがのる。
その気配で咄嗟に振りかぶった腕を、……ぎりぎりで止めた。
「……何してんだ。こんなところで」
「っ! ルーク……」
束でまとめた小枝を握って、反射で攻撃をしようとしていた。自分の癖が恐ろしい。腕をゆっくりと下ろす。
ルークは攻撃されそうになったにも関わらず、凪いだアンバーの瞳を真っ直ぐにこちらへ向けていた。ただ事実だけをすくい取るように。
「……なにって、あの…ええ、と。そう! かっこよく登場できるようにタイミングを見計らってた、っていうか…」
「…バカじゃねーの。早く来いよ」
冷めた目でバッサリ切り捨てる彼はいつも辛辣だ。半分よこせ、とかさばるだけで重くもない小枝を持ってくれる。
「ありがとう!」
「別に。あと」
数歩先を行く彼が振り返る。心底面倒そうな顔で、ある意味いつも通りだった。
「森からは早く帰ってこい。襲われたら面倒だ」
お前、旅慣れてるんじゃなかったのか。呆れた様子で常識を口にするルーク。面倒見の良い彼に気をつけまーす! と大きな声で返事をして、その背中についていった。さっきまで感じていた壁なんて、気にならなくなっていた。

(いいわけ)839字。RPGのルークとルフィナのワンシーン。

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