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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2021年5月の記事一覧

短歌 灰 十首

短歌 灰 十首

1
月蝕を隠した雲の優しさに気づいた人からほどかれてゆく

2
あの蝶があなたのような気がしては右から順に手にかけてゆく

3
動かない時計の針に触れているあなたのために水汲みにゆく

4
好きという呪いがとけてしまっても一緒にいるよただ生きてゆく

5
ラジオから名前を呼ばれた気がしてスイッチを切る強がってみる

6
伏線の回収業者がやってきて安い縁から処分している

7
チョコレートでできた駅

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短歌 東京 十首

短歌 東京 十首

1
阿佐ヶ谷の次は荻窪 正しさはレールの上の幻想として

2
生き方のハウツー本を手に取って泣けてきたなら間違ってない

3
今踏んだ蟻にも命があったことちゃんと忘れて生きてゆきます

4
線路から飛び立った鳩 間に合った鳩 そうじゃない鳩

5
こんなにも日々は眩しいまぶたさえ塞いでいればすべて薔薇色

6
友がまたひとり彼岸に旅立ってスマホを滑る指の肉見る

7
東京の片隅「返事は不要です」の

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短歌 ソーダ水 十首

1
土曜日は海を見に行く大丈夫大丈夫って波が鳴くから

2
好きなひとのいちばん嫌なところまで好きになるってありなんですか

3
更新が止まったサイトで何年も明滅をする「新着!」の文字

4
ソーダ水に指を埋めれば(そんなこと)恋によく似た痛みを喰らう

5
思い出は順次美化され出荷され明日午前着指定で届く

6
覚えたての呪文で空を飛んでます着地のほうは未修得です

7
ザリガニにムーンウォーク

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