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「大学院の修士論文研究」 臨床心理士への随録 心理学

提出日は12月上旬でした。どうやら他大学院より早かったみたい。それでも教授や先輩方の助言を頼りに早め早めに準備したおかげで、割と余裕をもって書き上げることができました。思い通りの結果はでなかったけど、それが判ったことが成果です。調査にご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

修士論文を書き終えての感想をまとめてみました。

テーマの設定

出発点にして最大の要所です。研究テーマはその人の興味関心ごとになることが多い印象でした。なので、テーマ決めのポイントは客観的になれるかどうか。想いが強いほど主観的で偏った主張になりがちです。他者からの指摘にカチンとくるようであれば、それはまだ自分の中で扱い切れていないテーマかもしれません。そのまま進めて膠着してしまった人達をちらほらみました。

シュリンクさせる

さて、テーマが設定できたら詳細を詰めていきます。ボヤーっとした状態でとりあえず先行研究論文を貪り読み(そのせいで老眼が発症しました)、何を検証するのか輪郭をシャープにし、研究協力者の選定や研究フィールドの確保などを構想しながら研究領域を狭めていきます。修士課程は2年間なので、この時点で10年必要な縦断研究は実行不可能となります。狭めることが大事。現実的に完遂可能なスケールで設計していきます。

質問項目は分析結果からの逆算

今回私は量的研究を行いました。既存の尺度を用いた質問紙をつくり、アンケート調査を行い、数値化させたデータを解析ソフトを使って分析します。質問紙の質問項目は結果から逆算して構成します。分析する際に途方に暮れてしまわぬよう、何を明らかにしたいのかを事前にカチッと決めて、その研究における良質な質問項目にしておくことが大切です。質問紙はプレテストを実施して精査しました。こう尋ねたらこう答えてくれるだろうは自分の感覚、意外とみんな自分と同じようには受け取ってくれないことが肌感覚でよくわかりました。

学術的な言葉使い

論文の書き方のお作法。読点は「,」句点は「.」人生で初めて変換した記号です。なんだこれって感じでした。文体はである調で書くのですが、結果の章以降は"……であった."と過去形で文を〆るとか、その他にも数字の半/全角の使い分け、文献からの引用の表し方、図表の描き方など、まあ色々あるわけです。一冊買ったよね、論文の書き方的な本。あとはWord。ワードは窮屈感があってどうも苦手だなと。郷に入れば郷に従え、最終的には諸々慣れてくるんですけどね。

ロジカルに論を積む

元々がロジカルな人間じゃないので、会社勤めで論理的思考を訓練した後で助かった。うちの大学院では「表紙→要約→目次→はじめに→方法→結果→考察→結論→謝辞→引用文献一覧→添付資料」の順で書く規則がありました。"はじめに"から"結論"まで、内容が一気通貫していることが重要です。前後のページを何往復見返したかわかりません。データ分析しているうちに"結果"の章に尾ひれはひれを書きたくなるんですよ。脇道や曲がり道をつくらず、寄り道しない直線の一本道に舗装して論文を完成させます。

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ちなみに今回の私の研究キーワードは、「中年期」「老いと死に対する態度」「運動からみた健康度」でした。継続的に運動している中年期の人は老いに対する態度が肯定的で死に対する態度も肯定的である、という仮説を検証しました。

研究は4つある臨床心理士の専門業務のひとつ。勝手がわかって「ちょっと面白いかも」と感じている自分がいます。指導教授が自分の研究を進めているようなので、修了までの間、少しお手伝いさせてもらおうと思っています。