吉田メグミ

ライター/編集者 フリーペーパー ココカラ 編集員

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記事一覧

しゃくとりむし

 夏のおわりの桜の葉っぱは、固くてあおくてごわごわだ。たくさんの雨と、たくさんの風と、やさしくていじわるな強い強いおひさまが、桜の葉っぱのやわらかさやいい匂いを…

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『はまなす』

 むかしむかし、枦の谷のヒクイザルの長老がお天道さまの産声の響きをまだはっきりと思い出せたくらいのむかし、山はその横腹をぶるぶるとふるわせて、おおきな女の赤ん坊…

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『はなちゃんのメダル』

「みよこせんせい、おりがみのきんいろがないの」 つぼみぐみの、はなちゃんがいいました。 「だれかがつかっちゃったのかな?」 「ぜんぶないの」 みよこせんせいがおりが…

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いろいろきいろ。

吉田メグミ
10年前
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あかいあかいろ。

吉田メグミ
10年前
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あお、あお。

吉田メグミ
10年前
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2013年の紫陽花たち(テスト)

吉田メグミ
10年前
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しゃくとりむし

 夏のおわりの桜の葉っぱは、固くてあおくてごわごわだ。たくさんの雨と、たくさんの風と、やさしくていじわるな強い強いおひさまが、桜の葉っぱのやわらかさやいい匂いを、 みんな持っていってしまった。もうじき葉っぱは黄色くなって、寒くなったら真っ赤になって、わさわさと地面にふりつもる。

 ぼくのからだは16ミリメートル。この桜の、地面からてっぺんまでの尺はもう測った。知りたい? 186832ミリメートル

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『はまなす』

 むかしむかし、枦の谷のヒクイザルの長老がお天道さまの産声の響きをまだはっきりと思い出せたくらいのむかし、山はその横腹をぶるぶるとふるわせて、おおきな女の赤ん坊を産んだ。赤ん坊はそれはそれはおおきな声で泣いたので、木々の枝でうとうとしていた鳥たちが、わあっと一斉に飛び立った。赤ん坊の涙は川になり、下生えを押し流して川を作った。

 山は、その見えない手で、木々に絡まるツタを集め、もしゃもしゃの髪を

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『はなちゃんのメダル』

「みよこせんせい、おりがみのきんいろがないの」
つぼみぐみの、はなちゃんがいいました。
「だれかがつかっちゃったのかな?」
「ぜんぶないの」
みよこせんせいがおりがみのはこをみると、たくさんあるおりがみのたばから、どれもきんいろがなくなっていました。
「あら、おかしいねえ、あたらしいおりがみをいれたばかりなのに」

みよこせんせいがあたりをみまわすと、すみっこのつくえで、こうちゃんがこうさくをして

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