吉田メグミ

ライター/編集者 フリーペーパー ココカラ 編集員

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しゃくとりむし

 夏のおわりの桜の葉っぱは、固くてあおくてごわごわだ。たくさんの雨と、たくさんの風と、やさしくていじわるな強い強いおひさまが、桜の葉っぱのやわらかさやいい匂いを、 みんな持っていってしまった。もうじき葉っぱは黄色くなって、寒くなったら真っ赤になって、わさわさと地面にふりつもる。  ぼくのからだは16ミリメートル。この桜の、地面からてっぺんまでの尺はもう測った。知りたい? 186832ミリメートル。ほんものの尺で言ったら約38.53尺。正確じゃないんだ。そもそも、ぼくのからだ

    • 『はまなす』

       むかしむかし、枦の谷のヒクイザルの長老がお天道さまの産声の響きをまだはっきりと思い出せたくらいのむかし、山はその横腹をぶるぶるとふるわせて、おおきな女の赤ん坊を産んだ。赤ん坊はそれはそれはおおきな声で泣いたので、木々の枝でうとうとしていた鳥たちが、わあっと一斉に飛び立った。赤ん坊の涙は川になり、下生えを押し流して川を作った。  山は、その見えない手で、木々に絡まるツタを集め、もしゃもしゃの髪を赤ん坊に与えた。イノシシの母親は、赤ん坊に乳を分け与え、サルたちは甘い果実を取っ

      • 『はなちゃんのメダル』

        「みよこせんせい、おりがみのきんいろがないの」 つぼみぐみの、はなちゃんがいいました。 「だれかがつかっちゃったのかな?」 「ぜんぶないの」 みよこせんせいがおりがみのはこをみると、たくさんあるおりがみのたばから、どれもきんいろがなくなっていました。 「あら、おかしいねえ、あたらしいおりがみをいれたばかりなのに」 みよこせんせいがあたりをみまわすと、すみっこのつくえで、こうちゃんがこうさくをしていました。 こうちゃんは、きんいろのおりがみを、ハサミでまあるくきっています。

        • +7

          いろいろきいろ。

        しゃくとりむし