『はなちゃんのメダル』

「みよこせんせい、おりがみのきんいろがないの」
つぼみぐみの、はなちゃんがいいました。
「だれかがつかっちゃったのかな?」
「ぜんぶないの」
みよこせんせいがおりがみのはこをみると、たくさんあるおりがみのたばから、どれもきんいろがなくなっていました。
「あら、おかしいねえ、あたらしいおりがみをいれたばかりなのに」


みよこせんせいがあたりをみまわすと、すみっこのつくえで、こうちゃんがこうさくをしていました。
こうちゃんは、きんいろのおりがみを、ハサミでまあるくきっています。
「こうちゃん、なにをつくってるのかな?」
「ぼくね、おかあさんにあげるメダルをつくってるの。きのうつくってくれたからあげがおいしかったから、きんメダルをあげるんだよ」
「はなちゃんもきんいろのおりがみがほしいんだって、こうちゃん、いちまいわけてくれない?」
「ぼく、いちまいしかもってないよ」
「あら、おかしいねえ、ほかのきんいろはどこにいったのかしら」


みよこせんせいは、のこりのきんいろのおりがみをさがしにいきました。


ろうかにでると、ふたばぐみのひろくんが、きんいろのおりがみをいっしょうけんめいまるめていました。
「ひろくん、なにをつくっているのかな?」
「ぼくね、おとうさんにあげるメダルをつくってるの。おとうさんはきのう、たくさんパンツをせんたくしたから、きんメダルをあげるんだよ」
「はなちゃんもきんいろのおりがみがほしいんだって、ひろくん、いちまいわけてくれない?」
「ぼく、いちまいしかもってないよ」
「あら、おかしいねえ、ほかのきんいろはどこにいったのかしら」


みよこせんせいは、おにわにきんいろのおりがみをさがしにいきました。


おにわにでると、うさぎのぴょんちゃんが、きんいろのおりがみをかじっていました。
「ぴょんちゃん、なにをつくっているのかな?」
「わたしね、おじいちゃんとおばあちゃんにあげるきんメダルをつくってるの。おじいちゃんとおばあちゃんはいつもわたしのはをみがいてくれて、こんなにまっしろでじょうぶなはになれたから、ふたりにきんメダルをあげるんだよ」
「はなちゃんもきんいろのおりがみがほしいんだって、ぴょんちゃん、いちまいわけてくれない?」
「わたし、にまいしかもってないよ」
「あら、おかしいねえ、こまったなあ」


みよこせんせいは、がっかりしてつぼみぐみにもどりました。


「はなちゃん、ごめんね、きんいろのおりがみ、みつけられなかったの」
はなちゃんは、つくえのしたからいくつものきんメダルをだしました。
「わたしね、みよこせんせいにあげるきんメダルをつくったんだよ。これは、いつもじょうずにえほんをよんでくれるメダル、これは、さむいひもおさんぽにつれていってくれたときのメダル、これは、ぎゅうにゅうをこぼしてもしからないでふいてくれたメダル……」
「ありがとう、はなちゃん。せんせいをたくさんひょうしょうしてくれたんだね」


「でもね……」
はなちゃんはしくしくなきだしました。


「きんいろのおりがみがなくなっちゃって、ママにあげるメダルがつくれないの。ママがもうほいくえんにおむかえにきてくれなかったらどうしよう」
「じゃあ、せんせいのメダルをママにあげようか」
「だめだめ、はなちゃん、せんせいがゆうしょうだからメダルをあげたんだもん」
「それなら、せんせいといっしょにママにあげるメダルをつくろうね」
みよこせんせいは、おりがみのはこから、いろんないろのおりがみをたくさんだして、つくえのうえにならべました。


「あかのメダルはなににしようか」
「ママがいつもおしごとをがんばってるメダル」
みよこせんせいは、あかいおりがみをおはなのかたちにおりました。
「きいろのメダルはなににしようか」
「ママがいつもじてんしゃではしっておむかえにきてくれるメダル」
みよこせんせいは、きいろのおりがみをほしのかたちにおりました。
「みずいろのメダルはなににしようか」
「ママがいつもおとうとのりくちゃんをだっこして、すぐニコニコにさせちゃうメダル」
みよこせんせいは、みずいろのおりがみをまあるくきって、ニコニコマークをかきました。
「こんどはなにいろにする?」
「おなじメダルをもうひとつずつ!」


「そうだね、はなちゃんにはママがふたりいるもんね」
みよこせんせいは、あかいおはなと、きいろいほしと、みずいろのニコニコマークをもうひとつずつつくりました。そして、ぜんぶにあなをあけて、にじのようにきれいないろのリボンをとおしました。


ゆうがたになって、おむかえのパパやママやおばあちゃんやおじいちゃんがやってきました。
「あ、ママがきた!」
はなちゃんは、げんかんに、はやあるきでむかいます。
「はなちゃん、ただいま。きょうもげんきにあそんだかな?」
「はなちゃんね、ママたちにメダルをたくさんつくったんだよ。ゆいママもさとママもゆうしょうだよ」
はなちゃんは、ゆいママのくびに、いろんないろの、いろんなかたちのメダルをかけました。
「ありがとうはなちゃん、ママうれしいな。じゃあ、ふたりでりくちゃんもおむかえにいこうね。そしておうちにかえって、さとママもひょうしょうしてあげようね」


おうちにかえると、さとママがおいしいごはんをつくっていました。ごはんをたべたら、ひょうしょうしきです。


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