見出し画像

デジタルマーケ領域に異動した人が陥りがちな5つの沼のはなし(初級編)

ここあんです。どうもです

今回はデジタルマーケの領域で10年以上事業管理者として活動してきた私自身が、自分の担当領域および、今までこのデジマ領域でサポートに入ってきた他部署・外部の事業会社とのお仕事の経験の中で、比較的IT領域を専門としない組織や人が陥りやすい「沼」についてまとめてみようと思います

沼にハマると抜け出すのも大変ですしね…

デジタル領域の販促やCRM活動の担当に異動してきた方や、この手の業界に興味があったり入社されたばかりの方々にはぜひご覧いただけたらと思っています

誰だって慣れた仕事、業務を続けていたいもの
特に初めて触る領域のお仕事には不安がありますよね

そもそもの業務内容もわからなければ、何をミッションとして活動していて、どの対応にどのくらいの時間を奪われるかが読めない世界に突然環境が変わると変な緊張感が出たりするものです

専門性が求められることは別にデジタル領域に限った話ではないですが、比較的この手の異動をしてきた人は、今まで担当してきた仕事とのノウハウのリンクがしにくいようで、特に苦戦する人が多い気がするので、ありがちな障壁や陥る沼について紹介しておきたいと思います

この手の非IT領域から参画された担当の方は、もともとマーケ領域にいた担当者やネット環境に慣れている若手メンバー、委託するコンサル会社とのコミュニケーションや業務において混乱したり、疲弊したり、間違った判断をしてしまうリスクを孕んでいるので気をつけたいモノです

ぜひ、同じ近い境遇の方は参考にしていただけると!

■デジタルマーケ領域に異動した人が陥りがちな沼 5選

初手でハマりがちな「沼」をピックアップ

❶用語の沼

専門用語が炸裂するマーケの世界

ウェブサービスやデジタルを活用したユーザコミュニケーションを行う上で欠かせないのは「共通用語」です

ほぼカタカナ語という点もとっつきにくい方いるかと思います

たとえば、、
・CTR
・CVR
・PV
・UU
・SEO
・ペルソナ
・ソーシャル
・エンゲージメント
・アトリビューション
・ペイドメディア/アーンドメディア/ペイドメディア
・MA
・CMS
・リードジェネレーション
・マーケティングファネル


といったやつです

上記はあくまで一例ですが、日常生活で触れない言葉がぽんぽん会議中や連絡時に出てくることで大体いきなり混乱の沼にハマってしまう人も多いのではないでしょうか


ここで気をつけたいポイントとしては、ごくたまに「この手の用語を全部自分がわかりやすい言葉に変えてしゃべってくれ、報告してくれ」みたいな話がありますが…そんな要望を出す時点で周囲の評価は一発で下がるのでやめた方がいいかと思います

もちろん、すぐ全部覚えることも大変なので確認しながら覚えていくこと姿勢さえあれば、協力的にはなってくれると思います

また、用語の意味自体はググればすぐ出てくる訳で、これを怠る人がデジマ領域を担当するとなるとなかなかハードかと思います

姿勢として、調べられるものは調べる
その上で必要な質問をする

これを原則として持っておいた方が身のためかと思います


【対策】
この用語の沼から抜け出す方法は1つです
覚えましょうw
意識的に用語に触れないことをやめましょう


全部覚えることが正ではないですが、最低限は反射的に理解できないと会話のスピードにはついていけないという前提で考えた方がいいです

❷数字の沼

数字を「見る」「追う」が仕事ではない

数字の沼は文字通りWeb活用におけるユーザや購買情報のログを解釈することに苦戦する点です

まずもって生データの解釈もさることながら、ある程度まとまった指標の解釈のための思考を持っていないと、ただ数字を眺めているだけになりがちなので注意です

よくある話でいうと、ただ数字の変動に着目して「これなんでなの?」の質問を連発する人がいます

また、例えば平均値だけに着目して中央値との差分を考慮せず評価してしまったりと、誤った数字の解釈で誤った判断を行ってしまう人も結構多いです

意外なところでいうと評価軸を揃える必要性を無視して数字を横並びにして評価してしまう人も結構見ます

2月の月販と3月の月販では積み上げ日数がことなることを配慮しない、などがいい例です(そんな人いないだろ、、、と思っていたのですが…たまにお会いします)

ひと月の日数は大げさに見えるかもしれないですが、シーズナリティや販促導入タイミング等の別のバイアスがかかる箇所を配慮しなかったり、前年比の傾向を捉えなかったりするケースはよく発見するシーンです

そして、管理職など評価をレポートしてもらう側の姿勢にも同じような注意点があります
上記のように安易な数字の評価は誤った判断を導きます

あたり前のように瞬間風速的に「この数字から読み取れる見解を発言してほしい」といったオーダーを出す人がいますが、しっかりしたデータアナリスト程安易な答えは言いません

逆に、そのオーダーを出すこと自体が信頼を下げるものと捉えて、適切なコミュニケーションをとることをお勧めします


【対策】
これも用語の沼の話と同じようなことを書きますが、自身でデータをしっかり「読む」「追う」を一定期間続けられないとデジマ領域で本質的な仕事をしているとは言えません

全く違う仕事をしてきた人からすると、かなり難儀にも思えるかもしれませんが、この時代数字が読めないと今後仕事は無いと思って気合入れてしっかり時間をかけて解釈することからはじめてみるのがお勧めです

また、自分の担当領域やミッションにおける収益や顧客数が構成されるための要素分解と方程式の理解は絶対に自分で書いてみることの方が話は早いかと思います

❸KGI・KPIの沼

適切なGOALを設定した仕事をしないとハマります

特に管理レイヤーとして異動してきた方にありがちな話の1つとして、目標設定と観測指標の沼があります

また管理者でなくとも現場対応メンバーもこの沼の犠牲になりがちな話があるので書いておきます

それは、実現性の低いKGIとKPIを設定してしまうことです

かなりの確率でこの世界観でモノを動かそうとする人、見てきています

数字と社内の活動指標に裏付けされた目標設定を行わない限り、適当に努力目標を高めに設定した数字を追っても絵に描いた餅

❷の数字の解釈前提ではありますが、担当領域における顧客数や売上の傾向の理解と、内部要因・外部要因発生タイミングを想定した上での計画的な予算設計をボトムアップで作成したときに、定められているKGIの妥当性が見えてきます

極論、妥当性の無い計画を追う行為は時間の無駄になります

その前提を理解して自分の業務に向き合う人が意外と少ないので、その点を考慮して対応していくべきかと考えます


【対策】
目標設定が現実とかけ離れてしまう根本要因を改善することが求められます
会社の事情や上司の考えを変えられない、から鵜呑みにするのは危険です
後々しわ寄せが自分の基にやってくることが多いのが定性評価が割合として低いデジタルマーケの領域の本質です

目指したい数字は当然あるかもしれません
到達させないといけない事情もあるのは理解です

で、あれば計画設定時にその目標を到達させるべく必要な施策や改善を折り込んで設定すること、そのための費用捻出について握っておくこと、などただ単純に数字を「見る」「追う」仕事をしないことが重要な視点となります

❹情報とツールの沼

広く、スピード感を前提に情報は収集

デジタルマーケの領域においては市場のリリース情報やサービスのローンチ、外部ツールがどんどん登場する世界

求められる情報収集のスピード感は早く、拾うべき領域は割と広いのが比較的陥りやすい沼の1つです

習得したサービスや技術、ノウハウがひと時代前のものだったり、すでにトレンド落ちしている話をしてしまうリスクは注意する必要があります

また、マネジメントレイヤーにおいては、部下より情報取得能力が劣っていないかを評価されやすい危険性も孕んでいると思いながら仕事をしていく必要があります

業種業態によってはある程度狭小の領域の情報だけキャッチアップしておけばいい場合もありますが、中々その割合は低いものと思っています

また、MAツールやアナリティクスツール、SaaS等の業務効率化を目的とした外部ツールの活用を、状況に合わせて導入検討されるのが常なので、新しいサービスの活用方法を順次吸収していく能力も求められてきます

比較的ここらへんも普段慣れていない人からすると、新しい物事を覚える苦痛に精神的に落ちていってしまうケースが多いかと思います

もちろん全てに対してプロフェッショナルになるには時間とパワーが必要ですし、チームとしてノウハウを補完さえできればなんとかなることも事実

ただ、各サービスに対して、自分の業務や役割上必要な要点を得る方法を早い段階で確率することを常に意識する必要があるかと思います

【対策】
ここで採るべき対策は、自分にあった情報のシャワーを浴びる構造を構築しておくこと

情報取得についてはRSSリーダーを設定して自分のコミュニケーションツール等に更新内容が飛んでくるように設定してみたり、関連業界のセミナーや担当者とのコミュニケーションを増やしたりすることで比較的カバーできるケースは多いかと思います

何か1つの集約されたサイトだけ見ておけばいい、という驕りは結構裏目に出るので注意を!

ツール類は割と使い方「教えて」という人を拝見しますが、ただレクチャーを受けるだけでは覚えられない人も多い気がしています

例えば、外部ツールであればプライベートのタスク管理で活用してみたり、サービスを活用して簡易業務を実際に回してみたり、まずもって自分事で利用してみることが最短の理解度向上策かと思います

❺PDCAサイクルの沼

PDCAサイクルを回す本質を捨てないことが重要

今回の記事を書く上で一番重要な観点がこのデジタルマーケ領域におけるPDCAサイクルの考え方に対する沼です

Web領域において語られるPDCAを回転させること

IT業種系のお仕事をしてこなかった方が陥りやすいのは、ただ言葉の通りに「Plan-Do-Check-Action」を定期的に回せば『やってる感』が出るという考え方となります

ここで誤った方向性に行きやすい観点は以下の2点
(A) 回転数
(B) 正解を探すための失敗の必要性

となります

まず、一つ目 (A)の「回転数」について

たとえば「月に1回程度PDCAを回せばいい」といった考え方では話にならないという視点を、全然持っていない人が割と多いのでここが注意点

1か月に1回やってくる上長の報告ベースで物事を考えている人が陥りやすい沼の一つです

時には1日の中でも回せる回転もありますし
週単位で施策を入れ替える等も含めて実行&評価の回転スピードを高めることで糸口がやっと見えてくる世界であることを理解する必要があります

短いスパンでPDCAを回転させない限り成果を出すヒントを得にくいのは理解していても、「人手不足でそれができない」などを理由にしていると一向に正解は見つかりません

ニワトリタマゴ論ではないですが、
緩いペースの成果待ちではなく、一度その回転数を実行してこそ意義があるというのが重要なポイントです

仮に成果が出ている、といっても月単位のトレンドで発生する結果に躍らせされて正しい評価に至っていないで同様の施策を続けてしまうというまさに「負のサイクル」に陥っていることすら見えていない組織も私は何度も見てきています


また、二つ目(B)の「正解を探すための失敗」について
これについてもかなり多くの環境で踏襲されていないのが実態
かと思います

・「やってみないとわからない」取り組みはやらない
・事前に結果が出ると想定できる妥当性が無い限り判断できない

そんなケースです
これ、結構見ますし、同業種で働く友人たちからもよく聞きます…

そんな考えによって、とるべきアクションが止まり、
決め打ちのアクションのみで回転させることによって時間を失う


失敗を許容したABテストの実行をしない限り、糸口を見つけるのは中々難儀です

もっというと、それを「失敗」という言葉で扱ったり、「誤ったことをした」という体裁で報告しないといけないと考えてしまう思想自体をやめた方がいいのが正直なところです



【対策】
1つ目(A)のPDCAの話は、爆速でなくとも最低限のPDCAサイクルを回転させるべくABテスト実行領域等を計画的に絞って対応する等が有効策です

勿体ないという理由で広く他のことに手を付けると確実にたどり着きたい回転数には至れないもの…
割り切りや断捨離をしっかり行うことで、人員が限られていても要所要所の糸口を発見していく方が健全な対応となることの視点が必要となります

2つ目の「失敗」の必要性については、マーケ領域の活動は当然収益を上げたり、顧客数を増やしたりするKGI到達となりますが、活動の半分は「実験」「検証」の連続をどう計画的に熟すかが仕事になる点を御座なりにしないことが求められるポイントです

ここは評価者の方々も、重要なミッションとして位置付けてあげること
そして、1つ1つのアクションに対してチェックを入れるような運用方法を求めないことをお勧めします

以上です

書き出してみると他にも沢山の沼がありつつ、
初級編として最低ラインのハマる沼と対処のご紹介としました

思わぬ異動によって、環境の違う世界に飛び込み精神的にまいってしまう方を沢山見てきたので、ぜひ上記5つの沼だけでもクリアに抜け出して、ある意味リスキリングできるチャンスと捉えてお仕事してもらえたらなと思っています

また、転職などでマーケ領域の業種・業態へ飛び込んでみたいと考えている人も、すでに入社した人にもぜひ参考にしていただけたらと願っています


上記にも書きましたが、
デジタルマーケの領域は割と定量評価が求められるお仕事

ただ、活動においては数字では表せない「パッション」が必要な世界でもあります

この沼にハマらずに楽しんで活動を続けているチームがマーケティング領域で一番結果を出している印象なので、私自身も日々その経験を糧に成長していけたらと考えています

そして、もっと広い領域の皆が合理的で理解度のある環境でマーケ領域の仕事ができると嬉しいなと祈っていたりします


そしてまた別軸でも、この陥りやすい「沼」についてはまとめてみようと思います


この記事が参加している募集

#業界あるある

8,680件

#マーケティングの仕事

7,133件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?