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旅の思い出(オーストラリア)


もう海外旅行は一生行けないだろう


交通事故に遭って、脳梗塞も発症してた。
障害認定された後遺症を持った。
交通機関に対する強い恐怖感が残った。

もちろん、車の運転はできなくなったし、
バスや電車に乗るのも、体を固くして、乗っていた。

長時間の移動に体が対応できないと思っていたし、
なにより、乗り物の震動に手足や首や肩が
支えられなかった。

だから、もう海外旅行は、一生行けないだろうと思ってた。


障害者のための旅行会社を作ったんです


ある日、友人と一緒にビルのエレベーターを待っていたら
車いすの男性がひとりでそのエレベーターに並びに来た。

エレベーターの前で、なぜか目が合い、軽く会釈。
杖をついている私に、同じ歩行不自由ということで、
お互いに、周波数が重なったのかもしれない。

「今日、はじめて、ひとりで車いすで外出してきたんですよ」

と、彼は笑った。


!!!

入院中、両足ともギプスで固定されて、
その後もしばらく車いす生活をしていた私にとって、
ひとりで、路上を車いすで初めて行くなんて
なんて不安なんだろうと、

「これからどちらに行かれるんですか?誰か迎えにきてくれるんですか?」

エレベーターが来る前に、車いすの後ろに回って、車いすを支えて
人が降りてこないかどうか、確認した。

「これから、家に帰るだけなので、大丈夫です。
 タクシーに乗って帰りますから。」

「タクシー乗り場はどこですか?そこまで送りましょうか?」

「ありがとうございます。じゃあ、タクシー探すのもわからなかったので、
 助かります。近くのタクシー乗り場まで、一緒にお願いできますか?」

「車いすは、自分で操作したほうがいいですか?
 それとも、押しましょうか?」

「じゃあ、押してもらえますか?」

友人と一緒に、車いすの彼を押して、タクシー乗り場まで移動した。
けど、やっぱり、路上は小さな段差や、傾斜があって押すのも難しかった。

タクシー乗り場に到着して、彼は名刺をくれた。

「今月、この会社を立ち上げました。とてもお世話になりました。
 なにかありましたら、ご連絡ください。」

『難病になったわたしが、障害者のための旅行会社を設立しました』


それが、彼との出会いでした。

もう一度、エアーズロックに登りたい


その後、彼とは何度か偶然の再会があって、自然と仲良くなった。
難病のある方とも、交流が増えて、障害のある友達もできて
少しずつ、私自身も外出できるようになり、
職場に復帰することもできた。

ある時、彼がオーストラリアに旅行する企画をつくるから
一緒に参加しないかと、誘ってくれた。

この年に、エアーズロックはアボリジニに返還されて
入山できなくなる。
彼がまだ元気だったころ、登ったエアーズロックに
最後にもう一度、登りたい。


すべてを解決できたら行こう


クリスマスに渡航する予定だった。
オーストラリアの気候を調べると、
砂漠地帯のエアーズロックは日中40℃・夜は10度になることもある

そんなことから、言葉を話せないことや、
足が不自由なことや、すぐ体調が悪くなることや、その他いっぱい
不安だらけで、現地でみんなに迷惑かけたくないから、無理だと
諦めていた。

でも、彼はその不安をひとつずつ、丁寧に聞いてくれて、
「心配なことはなんでも言ってね」と解決してくれた

そして、家族も、職場も、主治医も、許可してくれて
参加することになった。


心が解放された1週間


ツアー参加の方には、当日、空港の集合場所で初めて会った
障害のある方が4人 (うち2人が車いす)
会社員の方が2人

知らない人同士で緊張したけど、障害のある方もない方も
お互いに友達として、普通につきあってくれてとても楽しい旅行になった

「どうして、クリスマスに障害者と一緒に
 オーストラリアに行こうと思ったの?」

医療関係者でもなく、支援サポーターでもなく、
同じツーリストとして参加してくれてることに、
驚きだった。

「ひとりで旅行するのに、まわりの人を選ばないよ。
 たまたま参加した人が、障害があっただけだし、
 kajiさんと一緒にいて、楽しいから一緒に参加できてよかったって
 思ってるよ」

そんなふうに言ってくれる人がいるだ~
と、またビックリ!

シドニーの空港で、オーストラリア在住の方が合流。
会社経営されている方 1人
外資系会社員のご夫婦と息子さん(3歳) 3人

飛行機を乗り換えて、エアーズロックに向かう。

ウルルカタジュタ国立公園


「ウルル」(Uluru)

オーストラリアの先住民、アボリジニの人々の最も重要な聖地


真夏は日差しが強烈なので、日焼け止め、帽子、サングラスなどの

暑さ・日差し対策と水分補給をまめにする必要で、

虫(ハエ)が多くて食事にも邪魔なので、帽子に虫よけネットも

必要だからねって

砂漠地帯のイメージから、荒涼とした土地を想像してその地に着いた。

でも、

真夏の日差しは強いけど、

高い草木が生い茂り、影を作ってくれて

とっても良い香りがする。

アボリジニの人々は古くから、

様々な植物を怪我や病気などの治療薬や健康法として使用してきたとのこと。
中でもハーブに関しては今も受け継がれているものが多く、ティーツリーやサンダルウッド、ユーカリはアロマテラピーには欠かせない。
他にも料理の調味料としても使われていたレモンマートルやカカドゥプラムなど、様々あり、爽やかな香りを届けている。

なぜ、砂漠のような土地を選んで暮らすようになったのかと思っていたけど、

こうして香りたつ抗菌抗炎作用の高い植物に囲まれて、洗浄された空気に包まれて、過ごしてみるとこの土地を聖地として住み続けるアボリジニの気持ちを感じることができた気がする

エアーズロック・リゾートを起点に、2泊3日。

ヘリコプター🚁遊覧

ウルル・サンセットとバーベキューそして降る星をみんなで横になって見上げる

古代からの壁画が残っている洞窟散策

最後にエアーズロック(ウルル)登頂をめざした。


山頂は暴風のため飛ばされてしまいそうで

あと1歩で断念することになってしまったけど、

確かにウルルの岩を足の下に感じることができた

美しいシドニーのサマークリスマス


ウルルから、シドニーに戻り、市内観光2日

シドニー在住の方の案内で、

お買い物したり

遊覧船に乗ったり

シーフードを楽しんだり

発症する前のように、とっても自由に楽しむことができた‼︎


言葉が話せなくても楽しい


日本では、

うまく話せなかったり、レジで支払いができないと

周りに冷たい目で見られて

1日のうちに、何度も、

「すみません」「ごめんなさい」

と、謝らないといけない


でも、

シドニーでは

ちょっとくらいの失敗も、all right!

みんな おおらかに、笑顔で待ってくれる


日本でいつもビクビクしてたのが

嘘のように、心が解放された


残念ながら


夢のようなクリスマス🎄を過ごし

日本に戻った


日本の空港の税関の案内が

やっぱり、早くてわからない

キョロキョロしてたら、

「何見てるんですか?

 パスポート開いてすぐ手続きする!」って

怒鳴られた

パニックになりそうになり、半泣きで税関を通る

はぁ・・・

日本に帰ってきたんだなぁ


すぐに反応してもらいたいなら

明確化した作業の図を掲示してくれたらいいのになぁ

全ての人が、口頭説明を理解できるとは

限らないんだから!

旅行は最高


すごく悩んで、挑戦した海外旅行だったけど

あの時の誘いがなかったら、

今も国内旅行も怖かったかもしれない

周到な準備を重ねて

最高の時間と経験をくれたこの旅は

2019年ジャパン・ツーリズム・アワードにて、
「車いすと杖で行くウルル&シドニー6日間の旅」として、

海外領域ビジネス部門に入賞しました





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