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甘い匂いのする国、ベルギー。ブリュッセル編。

こんにちは。こんばんは。おはようございます。
胡蝶です。

人が一番最初に忘れるのは声。
人が最後まで覚えているのは匂い。
と聞いたことがあるのですが、個人的には逆さまな気がします。
好きな人の声とか、旧友の声とかははっきり覚えていても、匂いといわれると影も形も思い出せません。

この間の夏に弾丸で訪れたベルギー。
匂いがとっても印象的だったので、
忘れてしまわないうちに書き留めることにしました。

甘い匂い、青い空、明るい街。私の思うヨーロッパがここにあった。

我が家の旅の朝は早い。
またしてもロンドンのヒースロー空港を6時半に飛び立って、朝の9時にはブリュッセル空港に降り立った。

夏でも曇りがちなロンドンと違ってすっきりとした快晴のブリュッセル空港。

空港はその場所の色が出ると思う。
タイに行った時にはバンコクの空港のスパイスのにおいに東南アジアに来たことを実感したものだし、友達は羽田に帰るたびに醤油の匂いを感じるのだといっていた。

ブリュッセルに降り立った私たちが包まれたのはむせ返るほどの甘いバターとワッフルの匂いだった。
かのメシマズ国家イギリスのヒースローの無機質な空港から来た私たち家族はそれだけでもう幸せになってしまって、ワッフルをさっそく購入。
(この後にひたすらワッフルを買い続けることになるのでワッフルカウント1とする)
ジュワっと口に入れた瞬間に溶ける砂糖に天にも昇る心地になって、ベルギーに早くも恋に落ちた。snapchatでブリュッセルに住む友人にI love Brusselsと送った私のワッフルを頬張るsnapは、今見返してもなんだか口角がゆるんでしまうほど幸せそうに見える。

空港を離れてブリュッセル中心部にたどり着くと、まずはパティスリー巡りである。
ピエールマルコリーニ。ノイハウス。レオニダス。ゴディバ。マリー。ヴィタメール。
私たち家族の大好きなショコラトリー達。
バレンタイン商戦で人々がデパ地下に長蛇するそれらの本店が気取らずに通りに並んでいるのが、ブリュッセルのすごいところ。
中でもピエールマルコリーニ、ノイハウス、ヴィタメールの本店、レオニダスが向かい合っているグランサブロン広場というのがあって、私たちは迷うことなくブリュッセル中央駅からまずそこを目指した。

グランサブロン広場。

まず向かったのはヴィタメール。
ヴィタメールの定番と言えばマカダミアショコラだが(ソースは私。)実際店内に入るとまたあのワッフルの甘い香りが、、、気づけばワッフルを買っていた。
(ワッフルカウント2)
ベルギーワッフルと呼ばれる柔らかくてあっさりとしたタイプではなく、私たちの知っているタイプのワッフルだったのだが、ものすごく美味しかった。
普通のワッフルと何が違うのだろう?
甘いのだけど、しつこいような甘さではなく、妹の買っていたチョコレートアイスを貰いながら合わせて食べると絶品だった。

グランサブロン広場を背景に。

友達にまたしてもsnapを送ると、'that is one of my friends family shop!!'と返信が。
なんとヴィタメールの創業者一家とお友達なのだという。そんなことある?!という繋がりがあるのがヨーロッパあるあるで、でもこれはなんとなくブリュッセルの人々の美味しいもの、質の良いものへの向き合い方が垣間見れた瞬間だった気がした。
例えばヴィタメールの店内も割とこじんまりとしていて装飾は凝っていてとても可愛らしかったけれど、観光客が大挙しているというよりは地元の人に愛されている印象を感じた。
'ヴィタメール'のチョコレートを愛しているのではなく、美味しいチョコレートを純粋に楽しむ。質の良いものが身近にある。看板にこだわるのではなく、細部までこだわられたものを。そんなブリュッセルの粋な心遣いが私は好きだった。

ヴィタメールの店内。

家族がヴィタメールを買い込んでいるのを横目に私は広場の中のショコラトリーをそぞろ歩きする。
どのブランドも魅力的だったが特に惹かれたのはピエールマルコリーニ。
建物に花の飾りがあしらわれていて思わず吸い込まれてしまった。
店内も広くはないのだが、ショコラトリーというよりはアートスペースのようで素敵だった。

花のアートワークで飾られていたピエールマルコリーニ。
日本ではあまり見ないノイハウス。

お腹が満たされたところで、グランプラスという町の中心の広場の方へ歩いて10分ほど。
通り全てが明るくて洒脱に見えて、通り過ぎる一軒一軒のお店を覗きたい気持ちを抑えながらシャッターを切る。

人々が日常を愛している町だと感じた。
昼間から店先のパラソルで牡蠣を食べてワイングラスを傾けるグループ。
空のビールジョッキを机に乗せたまま歓談する人々。
店の窓に飾られている花。

その瞬間の一つ一つが地元の人には特別な瞬間でも何でもない一コマなのだろうけれど、私には人生を謳歌しているように映った。

ある街角。
グランプラスにて。

大した距離ではないのにグランプラスにつく頃にはすっかりもうワッフル分の消費をしたような気持ちになって、また私たちは美味しいものを探し始める。

グランプラスは金の装飾が美しい広場だった。
抜けるような青空に輝く金の建物が良く映えていた。
人々の活気とあわせてそんなに大きな広場ではないのにすごく広いように感じられた。
広場とそこにパラソルを出して食事を楽しむというのはヨーロッパの大陸の方の習慣だと私は思う。
ロンドンではそもそも広場があまりないし、雨が多いからかそこにパラソルを出して食事をしようなどという発想はあまり見たことがない。
(コヴェントガーデンの辺りくらいではないだろうか?)
だからこういう広場を見ると、ザ・ヨーロッパという感じがして大好きだ。

どこに入ろうかときょろきょろしていると、道行く人が美味しそうなポテトフライを持っているのを父が見つけた。
ベルギーはポテトフライがフリッターとして親しまれている。
父の食べ物への情熱は伊達ではない。その人に慌てて声をかけると、店の場所を教えてもらっていた。

ポテトの主を追いかけてグランプラスを走る父。

フリッター屋さんの名前を無事手に入れると、路地を曲がってすぐに辿り着いた。
太めで、揚げたてのフリッターを試してみると、軽い口当たりに驚く。
ホクホクでおいしいのに、嫌な脂っこさがあまりなくて、特に甘いワッフルの後だと塩気もより美味しく感じられて、絶品だった。

フリッター。

食べ歩きをしながら、ついでに世界三大がっかり遺産の異名を持つしょんべん小僧像を冷やかす。
沢山の人が集まっていたが、がっかり遺産の名に恥じず特になんという感想が浮かぶようなものでもなかった。

気を取り直してEUの資料館が面白いと聞いたEU Parliament/欧州連合議会へ向かう。
活気のあったグランプラス周辺とは打って変わってビジネス、政府機関の並ぶエリアを、スーツケースをがらがらと引きながら歩く東洋人家族はどのように映っただろうか。
欧州政治の中心という場所の持つ威圧感のようなものに少し圧倒された。

EU内の様々な言語で表示がある。

資料館の展示は第二次世界大戦からのヨーロッパ史、冷戦史がよくまとまっていてとても面白かったのだが、特に私の気に入ったのは皮肉っぽいBREXITへの当てこすりだった。
例えばヨーロッパの諸言語が羅列される看板で英語が外されていたり、館内に皮肉るような落書きがあったり。
このEUKというのは一番傑作だった。EUとUKが違う方向へ矢印を向ける下では、EUとUKRAINEが同じ方向へ向き合っている。地元の中学生が書いたのだというこれは秀逸だった。

EUK

お土産屋でもこのBREXITいじりは徹底していて、中でもエッジの効いていたのがトートバッグだった。EU非加盟国が消されているヨーロッパ地図が描かれているこのバッグ。母とこれイギリスで持ってても大丈夫かな、などと心配しながら、それでも買ってしまった。

よく見るとEU非加盟国が外されているヨーロッパ地図。

展示を満喫して外に出るともうすっかり日も暮れかけていて、たらふく食べた私たちはすっかり眠くなってしまった。次の日はモンスという田舎町に行く予定だったので、早めにホテルに戻ると買ってきたワッフルを食べながらすぐに寝てしまった。
(ワッフルカウント3/4が刻まれたことをここに記す)

モンスでの体験も、主要都市をめぐる普通の観光では味わえないような楽しい体験だったので、またの機会に書き残したい。

かしこ
2024/2/25 GST 14:53
胡蝶

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