コーチって・・・何者?
「コーチングとは?」という記事や解説の類を読んだ、書いたことのある人は多いと思います。
一方で「コーチとは?」という記事は、ざっと検索しただけですが、そう多くは見つからない(というよりも、「コーチングとは?」の記事が多数ヒットする)ように思われます。
スポーツを中心に「コーチ」という存在自体は聞いたことがある人も多いので、わざわざそういったワードで調べないのかもしれませんし、聞いた瞬間に何となくわかった感じがする、というのが率直なところでしょうか。
コーチの語源が馬車であるという話は(少なくともコーチ界隈では)有名ですが、そもそもコーチとはなんなのか、日本語に置き換えて考えてみました。なお、あくまで、私の考える定義・イメージ・コーチ像ですので、言葉遊びくらいでお付き合いください!
コーチは先生・教師?
近い職業としては先生、教師が思い浮かぶ人も多いと思いますし、コーチに対して「◯◯先生」と呼ぶクライアントさんもいるでしょう。ただし、ティーチングとコーチングは違うんだ、というような解説がなされることもあるように、多くの場合、原則は、コーチは”教えないもの”とするならば、日本語そのままの先生や教師とも違うように思います。
なお、正確には、コーチはやみくもには教えない(聞かれてもいないことや、自分が教えたいことを押し付けない)ということであって、知識・情報を教える必要があれば惜しみなく提供するものなのですが、先生と呼ばれる職業は一般的定義では「知識の伝授」がメインとなるため、コーチの定義とはややずれるように思います。
コーチは教授・教官?
教授も同様でしょう。教授といえば、専門的な知識の伝授をする人、あるいは自ら研究を行いながら教育活動を行う人ですが、その専門分野を深めるサポート、知識伝授がメインと捉えるならば、やはりコーチとは少し異なるのかもしれません。指導教官という言い方に変えると、コーチングに近い関わりが増えそうな感じもしますが、クライアント(この場合だと学生でしょうか)との距離感が縮まっただけ、という感じもします。
コーチは水先案内人?
ゴールに向かって道筋を示してくれるという意味では、コーチは水先案内人とも言えます。しかしながら、ナビゲーターではなく、あくまでコーチであることを考えると、ガイドするだけなのか、道順も含めてクライアントが決めるということもあるのではないか、という点ではコーチの定義とずれてくるかもしれません。
コーチは指揮者?
演奏するのがクライアントであり、それをガイドする、引き出すという点では指揮者という言い換えもあるかもしれません。一方で、「指揮」には強く導くイメージも伴うので、クライアント主体の活動、あるいは協働作業とは異なるようにも思われます。また、自分という楽団の指揮はクライアント自身でとると考えると、コーチは指揮者とは異なるように感じます。
コーチは監督?
スポーツに目を向けてみます。監督です。どの競技であれ、監督というとマネジメントをする人、決定・判断する人に近い印象になってしまうため、これもコーチとは違うと言えそうです。そういえば野球でサッカーでも何でも、監督は監督なのに、コーチはコーチですね。日本語があてられていないという不思議。
コーチは師匠・師範?
と、色々と巡って一旦たどり着いたのがこの言葉。
師は「先生」、匠は「スペシャリスト」、範は「お手本」のことですので、いずれも、心・技・体の手ほどきを教えてくれ、時には直接語らない・教えないというやり方でも教え(背中を見せる、課題を出す、対話する)、自らも高い技能を持ち、人間的にもお手本となる人、という感じでしょうか。成長支援のために、知識・技能の伝授だけでなく、自身のあり方、クライアント(弟子)との関係性を持って教える、という点もなんとなく近しいように感じました。
現代では落語や歌舞伎など芸事の方で「師匠」を使うことが多く、武道や書道、華道など「道」の先生に対して「師範」(認定制度がある場合もあります)を使うことが多いようです。道=人間成長とするとまさにコーチは師範
だなという感じがしますし、師匠は師匠で、もう少し距離感近く、楽しんでかかわってくれそうなのでこれも良いなと思います。
私の場合は以上のように感じましたが、みなさんはいかがでしょうか。あとは、伴走者/伴奏者なんかも検討余地がありそうですね。特に、コーチを職業とされている方やコーチングを学ばれている方は、コーチの定義に対してしっくりくる日本語を探してみると、ありたい姿や自身の特徴などが見えてくるかもしれません。
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