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嫌われリーダーがコーチングを学んだら③

~葛藤編~
ホテルを退職してから2年後...
IT系ベンチャー企業の人事総務で働いていました。

結婚・出産を経験し、社内で1号となった育休を取得して
復帰して間もない頃の、葛藤していたストーリーです。


取り組んでいたのは、社内の人材育成。
仕事観の醸成や離職率を減らす為、
新たに制度を企画立案する業務

私は、アルバイト・派遣社員からの社員登用に目をつけ、
半年かけて研修プログラムを作り上げました。
そして、私の部下から見事に社員昇格を果たしてくれました。

子育てをしながら、大きな実績を作れることに
充実感を抱くだけでなく、
これからも後進に道をつなげたいという
気持ちが溢れていました。

自分以外の誰かが成長していく姿が本当に嬉しいんだと
気付ける瞬間でもありました。


それから間もなくして、第2期の募集がスタート
私の部下から、また手が上がった事は、これもまた嬉しく
私の同志がいるんだ!と、勝手に感じていました。


手を上げてくれたのは、部下のKちゃん。
Kちゃんは、接客業出身でPCもそこまで得意ではないタイプ。

それでも、毎日一生懸命仕事を進めてくれるだけでなく、
持ち前の明るさで、部署内に光を入れてくれる存在。

きっと社員に昇格したら、
一緒に切磋琢磨できるだろうと思っていました。

そんな時、Kちゃんに大きな仕事を任せるタイミングがありました。
これで結果を残せたら、社員登用の内申点に繋がるチャンス!!
役員プレゼン資料の一部になる予定だったから。

ただ、膨大なデータを精査して、
エクセルを使いこなす必要があった。
そこに、Kちゃんは限界を感じてしまっていたんです。


データが必要となる日の1週間前。
Kちゃんも最後の踏ん張りを見せていてくれたはずだったのに...

「私、もうできないです...」
この日は、朝からKちゃんがそう言いながら仕事をしていました。

私の心の中では、
それでもこれはチャンス。やり遂げてもらいたい。
その先にきっと、Kちゃんにとっても、
私にとっても嬉しい結果が待っている。
だから、諦めないでほしい。
ここを乗り越える経験をしてほしい。

私は、そんな気持ちをひとまとめにして、
「大丈夫、絶対できるから!!!」
と、単純で曖昧な言葉で励まし、
その後の、彼女の表情さえ見る余裕も無く、
手元の仕事を片付けていました。


22時頃
この日、私は主人に子どもを任せて残業していました。
Kちゃんも残って作業をしていました。

少し半泣きの顔になりながら、作業していた彼女は、
とうとう、この時間に言ってしまうのです。

「本当に無理です!!えみさん、私できません」

諦めたらチャンスを逃すことになってしまう。
代わることは簡単。
それは、Kちゃんも気がついているはず。
自分で乗り越える力をつけてもらいたい。

そんな事を思う反面、どこかに、
私にだって終電はあるし、私の仕事も進めたい。
今、この時間に投げ出すってどういうこと?


2つの感情が行ったり来たりする。


私自身が、気持ちの整理がつかないまま

「だったら、辞めれば?」

と言い放った。
少し、苛立ちの感情が交じって。
きっと、声のトーンも低かった。

しばらくして、彼女の目にたまった涙が頬につたり
それをみた私の上司は、

「今日は、疲れているからさっ!
 明日続きやろう。さぁ、今日は帰ろう」
とだけ伝え、Kちゃんは退社しました。



私は、なんとなくこのままKちゃんが来なくなる気がしていた。
いつもの「何くそ」と挑む感覚が彼女から消えた事を感じて
一気に不安になっていた。

胸騒ぎが止まらなかった。


きっと、喫煙所にいる。


そう思って、
私は急いで地下駐車場の脇にある喫煙所に向かった。

そこには、1期で社員登用されて、
つい最近、社長室に異動になった
私の元部下も一緒にいて、話をしているようでした。

そばに駆け寄った時、直感で
「まずい」

そう感じた私は、
なぜか、ここで誤るのも何か違うと感じて、

「明日、一緒に続きやろう!大丈夫できるよ
 だから、今日は休んで明日笑顔を見せて!」

そう伝えるとコクリとうなずいて、
沈んだ背中を見せながら
一服を終えて帰っていきました。


(続く)

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トラストコーチングスクール認定コーチ
マザーズコーチングスクール認定ティーチャー
 すずき えみ

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