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ピークパフォーマンスに関する考察 1



ピークパフォーマンス(笑)


日本のスポーツ界では
ピークパフォーマンス、
ピーキング、またベストな
コンディションで臨む、
といったことを言う人、
宣伝、本が沢山ある。

正直自分はこの風潮というか、
考えに違和感を感じる。

なぜか?

自分はそれが言い訳を
言っているようにしか
思えないからです。

”今日はベストコンディションでないから負けた”
”ピークパフォーマンスに持っていけなかった”
などなど、

これに似たような
コメントを出すコーチや選手、
それに解説者の人たちがいるが、

自分には彼らが考えることを
放棄してしまった
と思えてならない。

自分は金メダリスト達を
サポートチームの
チームリーダーとして
支えたことがあります。

リオパラ五輪と
ロンドンパラ世界陸上の
2連覇がその時です。

その他にも自分は
様々なエリートアスリート達を
見てきました。
そして、上記のようなことを
聞くと次のように思ってしまう。

オリンピックやパラリンピック、
もしくは4年サイクルで回る
W杯などでは

”4年間も準期間があって、
ベストコンディションや
ピークパフォーマンスに
持っていけないなら、

一体どれだけの時間が
必要なんだ”と。
10年あれば出来るとでも
言いたいのだろうか?

と。

過密スケジュールvsピークパフォーマンス

シーズン制のスポーツであれば、
レンギュラーシーズン中は、
よほどのことがない限り、
毎週、もしくは毎日試合が
在ります。

私がテネシーで働いていた
大学野球部は
9日間に7試合をしました。
またMLBでは30日中
28−29日は試合です。

そんな状況でピークパフォーマンスなど
どう臨むのだろうか?

少し辛口なぼやきかもしれないが
それが現実です。

スポーツの開始と終了の合図、
そして自身の体の変化や
人生の変化というものは
本人の好き嫌いに関わらず
待ってはくれない。

そして、もしそれが
抱えきれないものであれば
東京オリンピックで
アメリカの体操選手である
Simon Belleが棄権という
方法ある。

常に準備をし、
来るべき時に備える必要があります。
勝っては兜の緒をしめる気持ちで
常にいなければならない。

それでも無理な時は
仕方がない。やるべきことは
全てやったのだから。

自分も常に自身に対しては
”Hope for the best,
but prepare for the worst/
最善を望み、最悪に備える”

と自分を戒めています。

ピークパフォーマンスの定義は出来ている?

そして、更に腹立たしいのは
ピークパフォーマンスや
ベストコンディションが
何であるのか?

それをほとんどの人間が
理解していないことです。
ピーク、ピーキング、
ベストと言うのは簡単です。

では、その”ピークパフォーマンス”、
”ベストコンディション”とはなんのか?

それを定義づけしたことは
あるだろうか?
何をもって?
何が出来れば?

そして、それが出来たとしても
勝てなければその定義した
”ピーク”や”ベスト”は
果たして”ピーク”や”ベスト”と
呼べるのだろうか?

自分は事が始まれば
かなり大まかに外から
見ればやっていることは
かなり大雑把に見られるが、

始まる前まではかなり
緻密に理詰めで考える。

お会いしたことはないが、
自分は故・野村監督がおっしゃる
”理を持って戦う”というものを
信条にしているし、

また彼自身も
”不思議の勝ちにも根拠あり”
と著書で書かれている。

私がとったピーキング戦略:陸上編


世界で戦う
エリートアスリート達と
時間を過ごせば過ごすほど
自分もそう思う。

自分は全ては必然であると思う。
偶然ということは本当に少ない

私がマレーシア代表で
幅跳びの選手の2連覇がかかった、
リオパラ五輪を含めれば3連覇、
ロンドンパラ世界陸上を
迎えるに当たってまずしたことは何か?

それは勝ちの最低ラインを
決めることです。
つまり、どれだけ体調が悪くとも、
このパフォーマンスレベルであれば
必ず勝てるというラインを引きました。

彼は世界一位であり、
世界記録、
そして大会記録保持者です。
ならば、彼が基準となる。

世界2位の最高記録をチェックし、
ここまでならば負けない、
そのラインを引きました。

一貫性>ピークパフォーマンス

なぜこの
”勝てる最低ラインを
引く必要がある”
のだろうか?

それは全てのアスリート、
いや全ての人の仕事に
関わることであるが、

ハイパフォーマーというのは一貫して、
多少体調が悪かろうとも
平均点以上の結果を
出さないといけない


それを行うためには
ここまで行けば合格みたいな
最低基準を作る必要がある。

これが非常に大事になってくる。
なぜならここを知ることで
余裕が生まれます。

最低を知らない者は
常に上しか見ずに
足元をすくわれ、
そして失敗する。

自分はそういうアスリートを
沢山見てきた。

一貫性のないアスリートは
フィールドでの
パフォーマンスが
一定しないので
非常に使いづらいという側面もある。

これは当時の
イングランドラグビー代表
ヘッドコーチ、
Eddie Jonesがどこかの
プレゼンテーションで言っていたが、

”私はスターティングライナップを
考える際は13人までは
必ず一貫性のある選手達を使う。
そして、残り二人を
Xファクターとして投入する。

これら2人はある試合では、
10段階評価の9かそれ以上かもしれないし、
次の試合では6かもしれない選手達だ。
2人以上は使わない。
2人以上は試合の行方の予想が難しくなり、
私の試合に関するコントロールが
効かなくなる。”

去年の夏にアイスホッケー選手・
三浦優希をコーチングした時も、
まず初めに”試合で一貫性のある
結果を出せる選手になりなさい。

と伝えた。

もちろんそうするための考え方は
教えたが後は彼次第だ。
彼は見事に先日
カンファレンス優勝に貢献した。

去年の夏のコーチングが1%でも
彼に貢献しているのであれば
これほど嬉しいことはない。

最低ラインのパフォーマンスというのは
本当に大事です。
ベストのパフォーマンスとの
振れ幅が少なければ少ないほどいいし、
また日々の準備、
つまり練習やウェイト、
コンディショニングセッションなどの
フィールドでの準備と
スポーツを離れた時の準備が
大きく左右してくる。

さて、ここまで書いてかなりの
ぼやきになってしまったが、
次回はピークパフォーマンスの定義の
仕方などを書ければと思っている。

以上


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