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【読切】あっちの世界

恋をした。
でも、もう彼女はいない。

あなたはいったい誰だったのか?

彼女はもういない
その事実の喪失感

しかし、
あのときめきはまだ胸にある。

彼女のいない
この世界はまるで別世界だ。

また会えるだろうか

でも、僕は
忘れてしまう。

こっちの世界で
永遠と連続して記録されている
この記憶が

彼女のことを忘れさせてしまう。

だから、
今日だけは

この記憶を留めておきたい。

君の屈託のない笑顔と
時折、大人の女性を感じさせる横顔

お姉さん気取りで
いじわるなところや

母親みたいな
さりげない優しさも

あっちの世界で
一瞬の出来事だったようで
ずっと一緒にいたようで

でも、もう君はいない。

こっちの世界の住人に戻った僕は
あっちの世界のことを

「夢」という。

朝、今日も昨日までの続きという
こっちの世界の記憶が
また更新されていく。


こんなんではなかったけれど

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(あとがき)

朝起きたら
うわー、夢やったんかー
という現実。

禁断の夢オチ

でも、素敵な夢だったので。

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