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【29】 コンフォート・ゾーンと人間関係

前回は、環境のコンフォート・ゾーンについて扱いました。
今回は、その具体的な例として、人間関係についてコンフォート・ゾーンの観点から扱います。

私たちは環境と相互作用しながら、生きています。
外が暑ければ、汗をかくことで体温を下げようとします。
部屋にいれば、冷房をつけることで部屋の温度そのものを自分にとって快適な高さまで下げることもできます。
このように、人は環境から影響を受けつつ、環境に影響を及ぼすという双方向性をもちながら生きています。
そして、無意識に自分にとって快適な状態を維持しようとしています。

自分の周囲の人間関係も、一つの環境です。これはシステムと言う場合もあります。

私たちは、「自分が関わるのにふさわしい」と信じている人たちと一緒にいようとします。
それは、周囲にいる人たちも同様です。自分自身も、彼らが「関わるのにふさわしい」と思っているうちの一人であるということです。
その結果、エフィカシーセルフ・エスティームが同程度の人が集まることになります。
この状態は、コンフォート・ゾーンが共有されていると言い換えることもできます。


人間関係が形成されたあとも、コンフォート・ゾーンはダイナミックな働きをします。

私たちは、他人に対しても信念を持っています。「世の中はこういうもの」というのと同様に、「この人はこういう人」というリアリティがあります。
創造的無意識は、そのリアリティを維持するように働きます。

つまり、ある人に対して自分が思っているイメージとその人自身が合致するように、無意識に働きかけているということです。
それまで地味な格好をしていた人が急にお洒落な服を着たときに、周囲の人が「似合わない」とか「キャラが違う」と言っているような状況を思い浮かべてもらえるとわかりやすいかもしれません。
これは、周囲の人たちが、無意識に自分自身の環境、あるいはコンフォート・ゾーンを維持しようとした結果の出来事です。

このように、人間関係にもコンフォート・ゾーンが存在します。
そのため、周囲の人たちからの働きかけによって自己イメージを変えてしまったり、変化しようとしても、環境を一定に保とうとする周囲の人たちからの働きかけで変化できない、ということが起こります。
「朱に交われば赤くなる」ということわざは、このようなマインドの働きを的確に表しているものでしょう。


周囲の人からの自己イメージへの影響を見てきましたが、実は、自分自身も周囲の人間関係という慣れ親しんだ環境、すなわちコンフォート・ゾーンに留まろうとします。
友人関係や仲間というのも、自分自身のコンフォート・ゾーンの一部です。
そのため、新たに自分のやりたいことができて、新たな人間関係に移っていく必要があっても、コンフォート・ゾーンに引き戻されるという現象が起こります。
自分自身のマインドの働きと、周囲からの働きかけが組み合わさることで、現状に留まることになります。

では、どうやって自分の人間関係をゴールの世界にふさわしいものに変えていけばよいのでしょうか?
アファメーションヴィジュアリゼーションによって自己イメージを変化させることも有効ですが、同時に、ゴールを実現した世界で関わっているはずの人に会いに行くことがとても効果的です。
自分が目指している憧れの人の講演会やセミナーに行くこともいいかもしれません。
そのようにして、自己イメージと同時に、環境(システム)も変えていくことで、ゴールに向かって変化を加速させていくことができます。

ワーク
自分が現時点で達成したいゴールはありますか?
そのゴールを実現したときの自分であれば関わっているはずの人は、どのような人たちですか?
具体的な人物がいれば、書き出してみましょう。