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「モモ」/ミヒャエル・エンデ/岩波少年文庫
このあいだ「モモ」(ミヒャエルエンデ作)のことをNHK(だったと思う)で読み解いていて,その中で「星の時間」についてこんなふうに説明されていました。
自然の「自」は,
自ずと(おのずと)
自ら(みずから)
という二つの読み方を持っていて,
アクティブに,自分から行動しようと思うタイミングと,パッシブにあたかもそれが当然であるように行動が始まるタイミングの,この二つが同時に起こるようなタイミングを自然(じねん)と言って,まさしくこれが「モモ」でいう「星の時間」だよね,という話でした。
宇宙のあらゆるものが,ただ一回だけしか起こりようがないやり方で,互いに働きあるような瞬間,と作中で「マイスターホラ」が語る「星の時間」。これこそが「自然(じねん)」なのだとその番組では言っていました。
行動を起こすには,自分が思い立ったタイミングで起こすとき,積極的でよい反面,考えが熟成されていなかったり,情勢がそれを肯定しないタイミングだったりして,自ら行動すればそれがすなわち良い結果になるとは限りません。
反対に,自ずと行動が始まるタイミングをただただ待ち続けている,状況や周りの後押しなどが熟成することを期待して,受け身で行動を起こすのであればチャンスを逃してしまうことになります。
そして,この二つが重なるちょうど良いタイミング。自ずと行動が起き,同時に自らタイミングを起こす,この二つが同時に起きるタイミングこそが「星の時間」であり「自然(じねん)」だと考えると,なんだかものすごく奇跡のようなタイミングであり,このタイミングこそが自分にとっても本当に幸せな瞬間なのだろうと想いを馳せることができます。
仏教では「自然」(じねん)というのは,ひとの影響が加わっていないありのままの姿のことを言うのだそうですが,つまるとこ,ひとの影響だけで行動を決めるような,一方的にほかの誰かに流されてしまったり,あるいはただ自分だけの想いで突っ走ってしまったりするようでは星の時間にはたどり着けないのでしょうね。
しっかりと情勢を読み,熟考して,来るべき最良のタイミングで行動を起こすことが大事なのです。
そんなふうで,なるほどーなんて,久しぶりにテレビに向かって大きく頷いてしまいました。
「モモ」は時間どろぼうに盗まれてしまった時間を,少女「モモ」が取り返しにいくお話です。小学校高学年から中学生ぐらいにオススメの本です。時間とは何かを問う名作をぜひこの夏休みに読んでください。
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