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子どもが輝く授業

昨日、井本陽久先生の教員向け研修会に行ってきました。井本先生は、元栄光学園の数学教師で現在は「いもいも」を運営されいます。私が井本先生を知ったのは、教員2年目のとき。『いま、ここで輝く』を読み、「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見て、教育観や授業観がグラグラ揺さぶられたのを今でも覚えています。

当時から画一的な一斉指導や教えることがベースになっている授業に違和感がありました。さまざまな書籍やセミナーから学びを得て、授業の在り方を模索していた頃。そんなときに井本先生の生き方や授業に対する考えを知り、強い影響を受けました。

しばらくは高学年担任として、子ども主体の授業をつくり続けていました。子どもたちの学びを楽しむ姿が何よりの喜びで、若手なりに上手くやっていたと思います。

教員6〜7年目、私は低学年の担任になりました。低学年だからと、授業規律や基礎・基本の定着を意識し、一斉指導の割合を増やしました。「話をよく聞く」ことや「背筋を伸ばして姿勢よく座る」ことなど、事細かに声かけをしていました。しかし、学級の状態はどんどん良くない方向へと進んでいき、離席や私語も増えていきました。ならばと、子ども主体の授業に舵を切っても、おふざけになってしまう子が多く、私が注意する最悪のパターンに。このままでは学級崩壊になると本気で思いました。自分の力不足を痛感する日々でした。

「子どもの事実から授業をつくる」ことでしか、この状況を打破することはできないと直感的に思いました。それから、毎日のように学級や授業の様子を子どもの事実ベースで書き続けました。子どもの事実から成功法則を導き出し、授業を組み立てていきました。

国語と算数のノートには必ず目を通し、子どもたちの考えを分析しました。これまで自分は子どもたちを本当の意味で見ていなかったのだと反省しました。自分のやりたい実践を持ち込み、偶然子どもたちに上手くハマって成立していただけでした(もしかしたら上手くハマっているように見えていただけかもしれません)。

事細かに声をかけることは減り、学習面も生活面も子どもたちがやってみたいと思える仕組みをつくることに力を入れています。「〜しましょう」「〜しなさい」「〜ができてないよ」なんていう指導は、その場しのぎでしかなく、教師じゃなくてもできること。子どもの心にはちっとも響いていないはず(響いていたとしてもプラスの動機付けにはなっていない)。どうすれば子どもの心に火をつけることができるだろう、どんなことに興味や意欲をもって取り組んでいるのだろう、と考えることが多くなりました。

結果的に、学級の状態はよい方向へと向かっていき、授業も子どもたちが生き生きと学べる時間になってきました。これまでは[授業づくり→子どもの事実]の順でしたが、今は矢印の向きが反対です。【子どもの事実→授業づくり】の順です。教員2年目のとき、井本先生の姿を見て学んでいたはずなのに、5年間それがまったくできていませんでした。ようやく、「子どもの事実からつくる授業」ができるようになりました。

そして、今年の夏。外に学びに出ようとセミナーを探していると、偶然「子どもたちが自ら輝き出す授業」というタイトルの研修会を見つけました。主催を見れば井本先生の「いもいも」。その場ですぐにポチりました。当日までにVoicyや本から再度学び直し、自らの5年間の経験と結び付けながらノートに整理しました。自分のやってきたことは、想像以上に井本先生から得た学びと紐付いていると気付きました。教育観や授業観が揺さぶられる学びは偉大です。

迎えた研修会当日。井本先生の話は一言一句聞き逃すものかと、驚異の集中力で学び抜きました。朝10時半から夕方17時頃まで(15時終了予定でしたが終わった後も質疑応答の時間を取ってくれました)、学びにどっぷり浸かることができました。

帰り間際には、「子どもの事実からつくる授業」がようやくできるようになったと井本先生に話すことができました。これまでの歩みや葛藤を伝えると、「周りの言うことなんて気にしなくていいから、自分の見たこと、感じたことを信じて授業をつくればいい。31歳でそんな授業できているのがすごい、間違いないから自分の思うように授業したらいいよ」と背中を押していただきました。

私たち教師がやるべきことは、目の前にいる子どもたちと向き合い、自分の見たこと、感じたことから授業をつくっていくことです。地道で労力のかかる方法です。しかし、これで子どもたちが変わる姿を見てしまうとやめられないのです。子どもたちが圧倒的に輝き出します。とはいえ、まだまだ道半ば。長い年月をかけて自分にしかできない授業を突き詰めていきたいと思います。

早く授業がやりたい、そう思える研修会でした。ありがとうございました!


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