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転勤族の私が地域に居場所がないころ、欲しかった場所|娘は、3回転校した

母になってから、その土地に長く暮らし、近所の人と関わりながら暮らすコミュニケーション能力の高い人たちを、うらやましく思うようになった。

夫婦ともに転勤族だから、仕方がないのか。そういう仕事を選んだかつての自分が悪いのか。見通しの甘さなのか。

娘は、小学校を3回転校した。転校先の保護者会にはじめて行くときは、たいてい先生以外とは話せない。帰宅後にどっと疲れが出て、台所に立てるまでに、時間がかかる。ネットで見つけた「子連れ歓迎・ワーキングマザーパーティ」に勢いで参加した後は、ちょっと寝込んだ。(子が興奮して会場を走り回って、だれかとじっくり話す余裕もなかった)

夫も「校庭で練習してる草野球チームに入りたい」と言いながら、気が付けば転勤を迎える、を何度も繰り返している。

娘は「幼馴染と登下校」にあこがれていた。「集団登校」のない学校ばかりに通ったため、慣れるまでは私か夫が学校まで送っていくことも多かった。

こらむ用

ちなみに、「コマロン」を立ち上げる少し前に、また引っ越した。だから、近所のママ友も、まだいないのです。保育園の送迎で顔見知りになったママや、先生とあいさつが交わせると、気が緩む。

もうすでにある強力でキラキラしたコミュニティに、子育てや仕事のあれこれを抱えながら飛び込んでいくことは、勇気がいる。気力も使う。親になったからと言って、急に社交的になれるわけではない。結局、ママたちの輪にうまく入れなかったこともあった。

こんなふうに、「コマロン」では「地域とつながる」、なんて大仰なことを言い、地域とつながることの価値を伝えているけれど、地域とつながれなかった孤独な記憶も、いっぱい抱えながら生きてきた。

子育てをしながら、一から地域でいろんなことをはじめて、見つけていくことは、想像以上にパワーを使う。

のる

品ぞろえが好みのスーパー、良心的な小児科、怖くない歯医者、居心地の良い喫茶店、評判の良い幼稚園、穴場の公園──。楽に生きたり、子どもを安全に育んだりするための「深い情報」を得るためには、誰かとコミュニケーションをとる必要もある。検索しても出てこない話は、数えきれないほどあるのだ。

ずっと、その土地に暮らすことができない人も、近所にママ友がいない人も、人と関わることが苦手な人も、記事を通じて共感して、ほっとする。疲れないで、地域のことを、少し知ることができる。そう、転勤族の私が、地域に居場所がないころ、欲しかった場所。「コマロン」が、そんなふうに優しくて、居心地の良い場に、育ちますように。

こんな私が、同じような思いを抱え、一緒に走ってくれている仲間のママ記者とともに、9月2日にオンラインイベントを開くことになりました。こじんまりとした会です。はじめましての方からもお申し込みがあり、お会いできるのが楽しみです。ありがとうございます。でも、このままでは、毎日新聞2007年入社の同期ママ会、に近いものになってしまうかもしれません…。

よろしければ、お子さんとご一緒に、ぜひご参加ください。ビデオオフでも構いません。心よりお待ちしています。【申し込みはピーテックスから↓】

話すことが達者ではない私は、「書くこと」と「取材すること」で、ときどき救われてきました。そんな思いを、シェアする場にもしたいです
(追記:無事終了しました)


【書き手】 山内真弓。小学生と保育園児の母。転勤族で、茨城、仙台、千葉、東京(都内も3カ所ほど…)で子育てしました。毎日新聞記者。都内市部在住。コマロン編集部で、ただひとりの専従書き手+編集者です。今のところ。体力がないのが悩み。寝かしつけと、卵焼きを作るのが下手。

山内が毎日新聞デジタルに書いた記事