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三千世界の鴉も眠る、ぬしと朝寝をする日には。

こんにちは。津軽山野です。

久々に『千と千尋の神隠し』を観て、号泣した26歳の大晦日。我ながら良い年末年始を過ごしたと思う。
千と千尋の神隠しを初めて観たのは確か小学生のころ。親が買ってくれたビデオ(当時は現役だったビデオデッキ!)を擦り切れるだけ観て、湯婆婆の台詞を空で言えるまでになった。
「なんであたしがあんたを雇わなきゃならないんだい!」この歳で見ると、なんで良い経営者なんだと思う。

さて、そんな話はさておき、
実はそんな千と千尋の神隠しが大好きな私が、高校生の頃に知って、ずっとずっと行ってみたかった「とある場所」を今回は紹介します。
ちなみに、実際にモデルになったかどうかは確証がありませんので悪しからず。

その場所の名は、銀山温泉。

山間にふと現れる大正時代の街

まさにあの「油屋」が立ち並ぶ

銀山温泉は山形県尾花沢市にある温泉街。
その歴史は古く、江戸時代初期の大銀山として栄えた「延沢銀山」に由来するという。
この延沢銀山、最盛期には島根の石見銀山や兵庫の生野銀山と並び、日本三大銀山とも呼ばれました。しかし、産出量の減少や崩落により銀山としては閉山し、今では温泉街の途中に見学可能な坑道が少し残るばかりです。

かつての夢の跡


温泉街の建物は大正末期から昭和初期に建てられたそうで、迫力のある旅館が川を挟み、両岸に立ち並びます。

ここだけ時が止まったかのよう

温泉街はそこまでだだっ広い訳ではないので、ゆっくり散策しても、(奥にある滝などを見ないのであれば)1〜2時間もあれば外観を見て回るには充分かもしれません。

橋から眺める旅館群


橋の中ほどに置いてあるテーブルとイス。
恐れ多くて座れませんでした。

私が行ったのは10月の終わりでしたが、まだ紅葉には少しだけ早かったようです。
平日なので思ったよりも空いていました。

かわいらしいタイル

遊び心のある道。
なんて、下ばかり見ていたら、美しいガス灯を見逃しそうになりました。

青空に映えるガス灯

はい〜〜〜天才〜〜〜!
見てください!この装飾の美しさ!
張りつめたガラス!
レトロな色合い!
点灯時間は午後4時半から夜9時まで。
残念ながら帰りの時間が差し迫っていたので、ガス灯の点灯を見ることは叶いませんでした。

ちなみにPanasonicの人が整備してた。
みんな「Panasonicなんだ......」って呟いてた。

3、4層にもなっているという旅館

そして何より目を惹くのが、旅館の造形美。

古山閣


この壁に描かれた絵が印象的な古山閣。
この絵は「鏝絵」
左官職人が鏝を使って、漆喰で立体的な彫刻を施した装飾画です。なんと百年以上の風雪にも耐えられるとか。
(銀山温泉についてではありませんが、鏝絵について分かりやすいHPを見つけたので貼っておきます)

激渋
山の神神社分社

千社札がたくさん貼られてました。

色合いが素敵。ゴッホの花咲くアーモンドの木に心なしか似てる気がしてより好き。

こちらの鏝絵があるのは旅館永澤平八。

威風堂々のこちらも素敵

こちらも大正時代の建築とのこと。

かっこいい〜!

夜になると、この丸い電灯にも灯がともるのか。
素敵。

暖簾も渋い


そして、この赤い橋の真正面に座するのは能登屋旅館。創業は130年以上前からとのこと。とてつもない歴史ですね。なにやら開業当初からある洞窟温泉が現役とのこと。

王者の風格

ちなみにどこも日帰り温泉はありません。
温泉に入りたい!という方は自動的に宿泊になります。
個人的には、車ではなく公共交通機関を使用し、
夕方くらいに銀山温泉着→宿でチェックイン→荷ほどきをして温泉に浸かりに行く→夕食→ガス灯を眺めながらお散歩→もう一回温泉に浸かる→少し夜更かし→ゆっくりめに起きて朝風呂もしくは朝の銀山温泉をお散歩→チェックアウトしてお土産を買いに行く
といった流れが銀山温泉を楽しむ最適解なのでは?と思います。ご参考までに。

さて、そのほかも見所はたくさん!
風情ある景色に癒されるので温泉街を何周でも回って眺めていたいほどです。

路地裏も素敵
看板も素敵
ほんのり湯気が出てました。温泉を引っ張ってるのかなあ。
この格子窓、レトロで良い
ちょっとやばそうな狸


そして温泉街の奥には滝もあります。

白銀の滝

こちらは足元が少し悪いのと、階段が滑るので気をつけてゆっくり行ってみてください。 

ちなみにこの滝へ行く途中に、小高い山に登るコースもありました。
ご興味ある方はぜひ。

看板の「蜂に注意」が怖い

ちなみに私は「伊豆の華」というお店で軽食のぜんざいをいただきました。

赤暖簾がかわいいね


カーネーションとマーガレットの花手水がありました



こちらのお店、席取り合戦(※本当に戦わないでくださいね!)に打ち勝てれば窓側の席でご飯を食べながら銀山温泉の街並みを眺めることができます。マダム2人がビールを飲みながら景色を見ていて羨ましかった。きっと宿泊されたのでしょう......羨ましい!

店内の窓から

ちなみにぜんざいも美味しかった。
そば粉を使った白玉でほんのりそばの香り。

美味。


銀山温泉に向かう道中、広大な畑が広がっていて、時たま大きな倉庫があったからお蕎麦はきっとこのあたりの名産なんですね。そういえば地名も「粟生」とかだった。まさに。
今も昔も厳冬期には数メートルもの雪が積もり、厳しい暮らしだったのだと思います。
あの有名なドラマ、おしんの舞台もここだとか。

次回来る時は、この辺り周辺の民俗知識も深めて行きたいなと思いながら帰路に着く津軽山野でした。

お土産に大好評だったくぢら餅

ちなみにお土産に買った謎のお餅がびっくりするくらい美味しかった。
くじら餅のくじらは鯨ではなく、
「久持良」と書きます。(※一説です)
長くもつお餅という意味ですね。
農林水産省のHPでは山形県の郷土料理とありますが、青森県の浅虫のあたりなどでも食べられているそう。
兵糧として利用されたなどの説もあります。

そのままだと少し硬いので温めて柔らかくして食べると美味しいです。黒砂糖の甘さがじんわり。緑茶に合うこと間違いなし。お茶請けにも良いのでは?と個人的には思います。爆買いしてくれば良かった。
ちなみに、岩手県あたりにもくるみゆべしという似たようなお菓子があります。これもとても美味しい。

地域の伝統料理や伝統菓子を購入するには、地域の道の駅やスーパーに行くのがおすすめです!
やはり地域に根ざしたお店が強い。
もちろん観光向けのお店も可愛くて好きです。

さてさて、長くなってしまいましたが、銀山温泉のご紹介でした。ちなみに!特に冬ですが、自家用車で行くなんて考えていらっしゃる方は事前に銀山温泉のHPを確認しておくのが良いです。
通行しないで!といった道もあるのだとか。
また、銀山温泉内には駐車場がありませんので、少し手前の共同駐車場もしくは大正ロマン館に車を置いてバスで向かうのがおすすめです。

https://www.ghibli.jp

そういえば元花屋の友人と千と千尋の神隠しを見ていたら椿と紫陽花が一緒に咲いていて戦慄しました。一時停止しながら色んなシーンを見ましたが、ノウゼンカズラや夾竹桃、ツツジなど色んな季節の花が一斉に咲いていて、この歳になっても新たな発見ができる得難い映画だなと感じました。

それでは、みなさん良い旅を。
元気で行こう。絶望するな。

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