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#教育

正解を褒める vs. 間違いを指摘する:飴と鞭の使い分け

生徒がテストで80点を取ったとき、「80点も取れたこと」に対して褒めるべきか、「20点分取り損ねたこと」を指摘するべきか、考えたことはないでしょうか。飴と鞭も使いよう、ということで、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックをうまく状況によって使い分けることは指導する側にとっては非常に重要なスキルだといえるでしょう。今回はこのテーマに関して、心理学の側面から着目した論文を紹介します。 キーテーマ ポジティブフィードバック・ネガティブフィードバック 結論 一

教育エビデンス 不安感や憂うつ気分の改善

ピューリサーチの調査(2017)によるとアメリカでは特に女子の間で不安感や憂うつ気分などメンタルケアが必要とする10代の割合が急激に増加しています。成績、容姿、コミュニティへの溶け込みなど様々なプレッシャーに悩む子どもたちに効果のある介入とはどのような事例があるのでしょうか。今回はソーシャルエモーショナルラーニングのプログラムの中でも「不安感や憂うつ気分の改善に効果のあったプログラム」についてご紹介します。 【キーテーマ】 感情・ソーシャルエモーショナルラーニング 【結論

教育エビデンス:自己肯定感

勉強のモチベーションにも友人との人間関係にも重要な自己肯定感、子どもの頃にしっかりと確立したいものですが、授業やワークショップなどで身につけられるものなのでしょうか?今回は実際に自己肯定感の向上に効果のあった2つのプログラムをご紹介します。 キーテーマ 感情・自己肯定感・ソーシャルエモーショナルラーニング 結論 アメリカで実施されたソーシャルエモーショナルラーニングのプログラムのうち以下については、自己肯定感を含む生徒の心のウェルビーングに対して強いエビデンスが認めら

教育エビデンス 感情のコントロール

嫉妬や怒りや自己嫌悪などネガティブな感情と付き合うのは大人でも時に難しいですよね。色々な感情が湧くことは自然なことですが、それを押さえつけるのではなくどう上手く付き合うかは学ぶことが可能です。子どもの頃からそういったスキルを鍛えられると幸福度が高まりそうですよね。今回はソーシャルエモーショナルラーニングのプログラムの中でも「感情のコントロール(Emotional Regulation) に効果のあったプログラム」についてご紹介します。 【キーテーマ】 感情・ソーシャルエモー

失敗を成功につなげることの難しさ

失敗は成功のもと、という諺はよく耳にしますが、皆さんはこの言葉を実現できているでしょうか。何か失敗してしまったとき、その経験から学ぼうとする姿勢はもちろん素晴らしいものですが、実は私たち人間は失敗から学ぶことが本質的に苦手な生き物だということが心理学・認知科学の分野では指摘されているんです。今回は失敗から私たちが学ぶことを妨げる要因について解説しながら、これらの障壁を乗り越える方法について考えていきます。 キーテーマ 失敗からの学び 失敗から学ぶことが苦手な私たち 私

生徒のモチベーションについて考えるときに私たちが知っておくべきこと

「今日はモチベーションが高い」「モチベーションが上がらなくて、仕事がはかどらない」等、「モチベーション」という言葉は私たちの日常に深く浸透しています。特に、生徒のモチベーションをどう上げることができるのか、ということはどの分野・業界にせよ、指導者に取っては永遠のテーマであるといえるかもしれません。何気なく使われているモチベーションという概念ですが、学問的にはそれはどのように定義され、その定義から実際の教員や指導者は何を学ぶことができるのでしょうか?今回は近代におけるモチベーシ

ハーバード教育大学院で学んだ、これからの日本の学校教育への示唆

ここ最近、多様性という言葉が色々な領域や文脈で取り上げられるようになってきています。筆者は、大学院留学のために渡米し、人生で初めて海外で生活・勉強するという経験をする中で、多様性の重要性や価値を身をもって感じると共に、そうした多様性を一つの学びの場が包摂していくことの難しさを痛感しました。多様なバックグラウンドをもつ学生の間の議論は奥行きがあり示唆に富んだ豊かな議論になることを日々感じる一方、様々な学生の個別のニーズ・関心も踏まえながら一つの授業を成立させる教授陣の難しさもす

"未来の友達" へ

おはようございます!atom.です。 嬉しいことに、 塾で担当していた高校生の生徒が 全員、第1志望の大学に合格しました。 ということで、急ではありますが私も生徒も もうすぐ塾を辞めることになりました。 今年は塾講師として、 週1回・たった90分の授業だけで 賢くなるわけがない! 「家に帰ってからの勉強の仕方」や 「残りの6日間の使い方」を伝えよう! という考えの下、教科書を一切使わずに 塾の指示を無視して 好き勝手に授業をしていました。 "普通じゃない" 授