![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89903559/rectangle_large_type_2_44c8f16e9af231569fb0f69c3cd34cf8.png?width=1200)
教育エビデンス 不安感や憂うつ気分の改善
ピューリサーチの調査(2017)によるとアメリカでは特に女子の間で不安感や憂うつ気分などメンタルケアが必要とする10代の割合が急激に増加しています。成績、容姿、コミュニティへの溶け込みなど様々なプレッシャーに悩む子どもたちに効果のある介入とはどのような事例があるのでしょうか。今回はソーシャルエモーショナルラーニングのプログラムの中でも「不安感や憂うつ気分の改善に効果のあったプログラム」についてご紹介します。
【キーテーマ】
感情・ソーシャルエモーショナルラーニング
【結論】
アメリカで実施された不安感や憂うつ気分の改善のプログラムのうち以下については、強いエビデンスが認められている。
Second Step - Social-Emotional Learning
幼児教育〜小学生、中学生
幼児〜小学生向けプログラムでは22〜28週間の全4ユニットのカリキュラム
共感性、感情の扱い方、問題解決のスキルを学ぶ
中学生向けプログラムは1回あたり20分程度の週1回のセッションを26週行う
強い感情の取り扱い、クラスメイトの理解と良好な関係構築、クラスメイトとの深刻な紛争を避けたり解決したりするための知識やスキルやマインドセットを学ぶ
問題行動や良好な人間関係の構築、成績の向上やグロースマインドセットの育成にも効果が認められる
Incredible Years (IY): Classroom Curriculum + Parent Training Program
幼児教育〜小学2年生
恐竜のキャラクターを使った社会プログラム
60レッスン、2年間のプログラム
このプログラムでは、クラス運営戦略、社会的行動、反社会的行動を減らすことに重点を置いている
問題行動を起こしている生徒の保護者とは、同時に毎週2時間の子どもの問題行動を減らすセッションを提供する
問題行動の改善や良好な人間関係構築にも効果が認められている
Social Skills Group Intervention (S.S. GRIN)
幼稚園児から高校低学年を対象としたものと高機能自閉症を持つ小学生3年生から5年生用のバージョンがある
いじめ、被害、社会性と情動の能力に対処する少人数制介入プログラム
コミュニケーション、協調性、衝動制御、視点の取り方、対立管理、共感などを扱う
社会的スキルの向上にも効果が認められている
Check, Connect, and Expect
小学1年生〜5年生
行動に問題のある学生に焦点を当てた介入。
学校のリスク要因の毎日の監視、成人の指導者との良好な関係、行動に関する定期的なフィードバック、および毎日および毎週の行動目標を達成するための問題解決に重点を置いている
読解力と問題行動にも効果が認められている。
1 日 6.5 時間働くコーチ (準専門家) 常勤が必要。
修士レベルの行動スペシャリストがコーチをマネジメントする。
以下については強いエビデンスとまではいえないが、将来有望である。
The 4Rs - (Reading, Writing, Respect & Resolution)
ソーシャルエモーショナルラーニングとリテラシーの向上を目的としたプログラム
高品質の文献を使用して、学生が怒りを処理する、聞く、主張する、協力するなどのスキルを習得する
社会的感情の問題に基づいた 21 ~ 35 レッスンの読み書き能力に基づくカリキュラムを教師に提供する
25 時間のトレーニングと広範なコーチングを受けた教師が、読み物で強調表示されているスキルに関する単元を使用してレッスンを行う
【実験デザイン】
ジョンズホプキンズ大学の研究所が不安感や憂うつ気分の改善を目的とし、効果測定が実施された複数のプログラムを分析し、強いエビデンスがあると認められたものを選定した。
エビデンスレベル:ランダム化比較試験
【編集後記】
例えばSNSで友達が楽しそうにしているのを見た時に「楽しそうでいいねぇ♪」と思う人もいれば「私なんて、、、」と落ち込んでしまう人もいます。その思考の癖をトレーニングで変えることが出来るというのは、なんだかほっとしますね。起こった出来事に対して自分がどのように反応するかは自分で選ぶことが出来る。自分の心を健やかに保つためのマインドセットやスキルを10代のうちに学ぶことは一生の財産になりそうです。
文責:識名 由佳
スゴ論では週に2回、教育に関する「スゴい論文」をnoteにて紹介しています。定期的に講読したい方はこちらのnoteアカウントか、Facebookページのフォローをお願いいたします。
https://www.facebook.com/sugoron/posts/109100545060178
過去記事のまとめはこちら
Emotional Regulations / Evidence For ESSA. Retrieved September 13, 2022, from
https://www.evidenceforessa.org/programs/social-emotional?field_measured_outcomes=%5B64%5D
Geiger, A. w, & Davis, L. (2017). A growing number of American teenagers – particularly girls – are facing depression. Pew Research Center. Retrieved September 13, 2022, from https://www.pewresearch.org/fact-tank/2019/07/12/a-growing-number-of-american-teenagers-particularly-girls-are-facing-depression/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?