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#17 剣道の継続から拡がった世界② ~天夢塾にて

前回の続きです。
現役高校生を対象とした授業「天夢塾」の内容は、剣道から話を展開し、継続をテーマにすることにしました。
講師に選ばれた理由ー私の場合はいわゆる「プレイヤー」として成果を残し続けているわけでもなく、また必ずしも仕事と関連しているわけでもないということを未だ継続し、それなりに幅を広げているところに面白さがあったとのことでした。
やはり話の軸は剣道ということになりますが、剣道に興味のない高校生に「剣道とは!」なんて話をしても意味がありません。

■「もう少しで…」を何度も繰り返す

剣道を続けている理由はいくつかあります。
そのひとつが高校剣道の引退の仕方です。ようやく自分がどうやって剣道と向き合っていくかがわかりかけてきて、やっとこれから!と思ったのが高3の引退直前の時期。言ってしまえば、不完全燃焼でした。

「もう少し続けたら何かわかるんじゃないか??」

そう思ってとりあえずちょっとだけ続けてみることにしました。
このときは本当に「あとちょっとやれば満足するだろう」くらいにしか思っておらず、その後の試合も審査も挑戦するつもりもありませんでした。
もう少し…という思いから何かを発見し、そのもう少しを掴むことができるとしばらくは軌道に乗ることもあります。
しかし、そこからまた次の「もう少し」が必ず生まれる—この繰り返しが続き、気づけばこの段階まで来ました。
剣道の世界では、40代の七段はヒヨッコです。まだまだ新しい課題はたくさん出てくることでしょう。
先人には一生追いつくことはできません。だから生涯稽古するのです。

また、剣道の世界でヒヨッコでも、社会的にはそうとも言い切れない年代や地位にあります。このギャップがまた面白さを生み出していくのだとはいつも考えています。

■継続すれば出会いは増える

高校生当時に全く想像していなかったのは、剣道を通じてたくさんの人と知り合うことができた、ということでした。
野球で言えばイチロー選手や松井選手、長嶋さんのような人(大谷~ダルビッシュ選手ではないのが世代…)と一緒に剣道ができていますし、繋がっている人の職種や剣道以外での活動の範囲を見ても実にユニークな人たちが集まります。

「継続している人」の多くは、生きるパワーに満ち溢れています。
多分、その人も気づいていないような「自信」があるのだと思います。

■競技なんてほんの一部分。拡がっていく新たな世界

剣道を「競技」として突き詰めることに留めず、その背景に目をやると、スポーツや人体、精神面だけではなく、教育、福祉、歴史、工芸、美術、文化、産業…とあらゆる世界が広がります。
単に面の打ち方がどうだとか、試合に勝つためにどうだということだけではないその世界は、無限の可能性を秘めています。

何か新しいものを「無理矢理」に付け足さなくても、剣道そのものにはそういった可能性があるのです。それがまた面白く、継続のためのエネルギーとして還元されていると思います。

継続とは、細く長く、坦々と続くだけのものとは限りません。そこから特に興味関心を持てるモノを掘り下げることで、人によっては剣道以外の新しい道が見えてくるかもしれません。

「継続ってつまらないように感じるかもしれないけど、楽しいこともいっぱいあるんだよ」
とりあえず、手書きでラフを書いてみました。

授業の組立のために書いたラフ案

天夢塾の目的は「将来、日本を背負う現役高校生に対し、さまざまな分野で活躍された同窓生の貴重な体験を身近に聞かせる機会を設けることにより、深い学識を広い視野を持ち、未来に向かって行動できる人材を育成すること」
…期待されているものとは若干ズレるかもしれないとは思いつつ、普遍的な立ち位置から発信をしたいと考えました。

グルグルと考えているなかで、親しい先輩からコメントをもらいました。
「剣道に限らず、自分が続けたいもの・興味があるものを「軸」にすることのきっかけになると、なお良いと思います」

そうです。そう考えているんです。
継続により軸ができあがることで、何かをそこから拡げたとしてもまた軸に戻ってくるような循環が生まれます。

■よくある「継続」のイメージ

継続するということは、それなりにパワーが必要なことです。
それゆえにストイックなイメージがつきまといがちです。
もちろんそういった側面はありますが、それだけではないということを伝えていく必要があります。

よくある継続のイメージ。皆さんはいかがでしょう?

そして次の段階です。
継続したことが自信となり、自己肯定感が生まれます。
ところで、テーマに限ったことではなく、自己肯定感が得られるかどうかが現代社会において重要視される傾向が高まっています。
特に多感な年代である中学~高校生~大学生当たりの年代はそうかもしれません。
私も家族に高校生~大学生になる子どもたちがいますが、自己肯定感の高さ(低さ)を物事の判断基準にしている様子がうかがえます。
ちなみに、実際の授業でもこの「自己肯定感」というキーワードが出たときに注目度が一気に高まったのを覚えています。

継続によって自信が生まれます。


上記の2つの画像にあるように、継続とは一本の線であり、柱であり「道」でもあります。
しかし、その道の周りに何があるのか?に目を向けるか、道の周りに何かの風景や物を足していくことにより、継続の持つ意義は大きく変わっていくと私は考えています。

これも剣道を継続していることによって学び得たものなのです。

レジュメ、内容の作成という授業の事前準備と当日の様子などが混在していくことになりますが、このnote上ではそこを切り分ける必要性はなさそうです。そこはご承知おきください。

とりあえず、今日はこの辺で。

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