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ゲーテ「親和力」〜フルートソナタのシーンGoethe:Die Wahlverwandtschaften
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「今までふたつずつ結ばれていた四つのものが、接触させられると、今までの融合をやめて、あたらしく結びつくわけです。こんなふうに、放したりつかまえたり、逃げたり追いかけたりするのを見ていると、そこに何か超自然的な使命があるような気がします。」
ゲーテの「親和力」は、エドワルト&シャルロッテ男爵夫妻のお屋敷に、大尉とシャルロッテの姪オティーリエが同居することになり、シャルロッテと大尉、エドワルトとオティーリエが次第に惹かれていくという悲恋物語。ゲーテ壮年期の作品で、若きウェルテルの激情よりしみじみと趣深く私はこちらの作品の方が心にしみます。
オティーリエがエドアルトとフルートソナタを合奏をするシーン。オティーリエは善良かつ淑やかな娘です。エドアルトへの想いが無意識に感じられる可憐さが伝わってきて、好きな場面です。
「じゃ、きみはぼくにピアノで伴奏してくれることができるんだね」とよろこびに目を輝かしながら、エドアルトが叫んだ。「わたくしきっと」とオッティリエは答えた。「うまくいくと思いますわ」。彼女は楽譜を持ってくると、ピアノに向かって腰をおろした。
(略)(聞き手たちが)驚いたのは、彼女がなんと巧妙にエドアルトのふきかたに合わせることができたということだった。「合わせることができた」は適当な表現ではない。なぜならシャルロッテはためらいがちになったり、せっかちになったりする夫のために、熟練と自由意志でここで立ち止まり、かしこでともに進むことができたのだが、それに反して、このソナタを夫妻の奏でるのを、二三度聴いたことのあるオッティーリエは、ただエドアルトのほうが伴奏しているという意味でのみ、それを覚えたらしかった。彼女はエドアルトの欠点を、そのまま自分の欠点としてしまった結果、そこからふたたび、一種のいきいきとしたまとまりが出てきたのである。それはなるほど正しい拍子で進みはしなかったが、それでもきわめてこころよく、このましくひびいた。」
誰の曲を演奏したかは小説には書いていないですが、フルートと言えばモーツァルトを連想したので、聴いてみました。とっても可愛らしい曲です。
W.A. Mozart: Sonata no.4 in F Major KV.13
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