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E.T.Aホフマン「くるみ割り人形とねずみの王様」E.T.A Hoffmann:Nußknacker und Mausekönig

「おお、誰よりも優れておいでのシュタールバウムのお嬢さん(=マリー)、あなたの足もとにひざまずくこの幸運なドロセルマイアーをご覧ください。この場所であなたに命を救っていただいた者を!あなたは親切にも言ってくださいましたね、あなたのためにわたしが醜い姿になったのなら、あの不作法なピルリパット姫のようにわたしを蔑んで撥ねつけたりはしないと!その言葉のおかげで、たちどころに私は醜いくるみ割り人形から、もとの見苦しからぬ姿にもどったのです。」

»O meine allervortrefflichste Demoiselle Stahlbaum sehn Sie hier zu Ihren Füßen den beglückten Droßelmeier, dem Sie an dieser Stelle das Leben retteten! Sie sprachen es gütigst aus, daß Sie mich nicht wie die garstige Prinzessin Pirlipat verschmähen wollten, wenn ich Ihretwillen häßlich geworden! – sogleich hörte ich auf ein schnöder Nußknacker zu sein, und erhielt meine vorige nicht unangenehme Gestalt wieder.

主人公の少女マリーは、クリスマスイブにくるみ割り人形を贈られる。兄弟のフリッツが手荒に扱って壊してしまったくるみ割り人形を愛おしそうに介抱した。すると、ねずみの王様の軍勢が現れ、くるみ割り人形に率いられたおもちゃの兵隊と戦闘シーンが繰り広げられた。マリーは怖い思いをしたものの、後半は、くるみ割り人形に案内され、甘い匂いに包まれたお菓子の国(「人形の国」「首都」)で楽しいひと時を過ごす。最後に、くるみ割り人形は若いドロセルマイアーであることが分かり、銀色の馬に曳かせた黄金の車でマリーを迎え真珠とダイヤモンドで身を飾った2万2千人もの人形が祝福する中、二人は婚礼を挙げるという、メルヘンティックなお話。

 著者ETAホフマンは好きな作家で、怪奇小説のような作風は読んでいてはらはらさせられ飽きさせません。ホフマンは多才で音楽家でもあり、歌劇『ウンディーネ』など曲を書いています。「くるみ割り人形」はバレエならご覧になったことが多いと思われますが、一度原作を読んでみるというのも一興ではないでしょうか。

●チャイコフスキーバレエ「くるみ割り人形」から「金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ」を。夢々しくて没入できる一番好きなシーンです。https://www.youtube.com/watch?v=qy6dlGpC3Ns

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