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給付金は酒代に充てます。

と聞くと、とてつもない放蕩者と思われるかもしれないが、単に酒を飲むだけの酒代にするわけではないので、よければ以下の詳細も読んでいただきたい。
これは、給付金の使い方に関する宣言と活動計画である。

今だからこそ、と始めたYouTubeとInstagram

改めまして、マルベルデと申します。
「日本酒と角打ち文化を世界に広めたい」をテーマに、YouTubeとInstagramをスペイン語圏の方々向けに開設したのは2020年6月初旬。

昨秋、2年ほどの海外生活を終えて日本へ戻った。海外生活の中で、日本が誇るべき日本酒が海外ではほとんど知られていないことに歯痒い気持ちを抱いてきた。

自然と調和する人間の素朴な生活への回帰の必要性を感じる人々が増える中で、そんな時代の潮流にも合う日本酒は、まだ日本酒を知るための機会が届けられていないだけで、潜在的なファンが世界中にたくさんいると思う。

日本酒を世界に広める活動をしたいと思い立ち、帰国後に国際唎酒師(フランス語)の資格を取った。日本で観光ガイドとして日本酒の楽しみ方を観光客に伝えつつ、将来的には海外に角打ちのできる酒屋を作るのが夢だ。
まずは観光ガイドとして活動する道筋をつけようとしていた矢先にCovid-19の感染拡大に直面することとなった。

パンデミック下でもできること、むしろ今だからこそできること、それを考えた結果、海外向けに日本酒の情報発信をするという考えに行きついた。
フランス語圏、イタリアあたりは、現地出身の日本酒オタクがいて既にコンテンツが多いため、スペイン語圏に焦点を当てることにした。日本に関するスペイン語のYouTubeチャンネル自体が少なく、それはInstagramもしかりだ。スペイン語ならば、日本への旅行者が年々増加しているスペインはもちろん、日本文化に親しみを持つ人が多い中南米諸国の方々とも交流できるようになるため将来性があると考えた(私が元々フランス語よりもスペイン語のほうが得意で、スペイン語圏のほうが馴染みがあるというのも理由だが)。

という経緯で、YouTubeではスペイン語で日本酒の楽しみ方について動画配信していくことにした。Instagramは動画と連動させているが、日本を始めスペイン語圏以外の方にも見てもらえる内容にしていくつもりだ。そして、このnoteは、日本国内の日本酒好き、酒造・酒店関係者や飲食業界関係者と繋がりを持てるようにという展望のもと、主に日々のSNS活動記録や、海外で日本酒や日本の食文化がどのように捉えられているのかの見聞録、といったことを記していくことにした。

酒代は活動資金

つまり、私は「SNSで日本酒に関する情報を発信する」という大義名分のもと、給付金を酒代にするのだ。酒屋で酒を買うなり(もう少し状況が落ち着くまでは購入して宅飲みがメイン)、角打ちを利用するなり、日本酒専門の飲み屋で飲むなり、とにかく、より多く深く日本酒を知るために、まずは飲むつもりだ。そして、飲んだら発信。飲んだ酒について、それから、お店の許可が取れれば買った店飲んだ店についても発信していこう。それを見た海外の方が一人でも多く「感染拡大が落ち着いたら日本に行って日本酒を飲みたい」と思ってくれるように。そして、日本に来てくれた時に役立つ情報を今のうちに提供できるように。

今は、進化するための準備期間

昨冬、日本へ初めて遊びに来たドイツ人の友達が、一人旅で日本の観光地を巡る道中で何度も私にメッセージを送ってきた。「また英語がダメだった」「やっぱり英語が通じなかった」と(「私だってミュンヘンで英語が通じなくて困った」と言い返したかったが、ドイツより日本のほうが英語に弱いのは明らかなので黙っておいた)。その友達に私が日本酒を激推ししたら見事に日本酒ファンになり、行く先々で昼は蕎麦屋で日本酒、夜は居酒屋に行き、さらに酒屋で日本酒を買ってホテルでも飲むほどだったのだが、そのたびに「英語が通じないからこれの意味を教えてくれ」とメニューや日本酒のラベルの写真を撮って送ってきていた。

悔しい。「日本は英語圏ではなく、日本語という素晴らしい独自の言語があるのだから、英語英語と騒ぐな」と憤慨したが、一方で、看板や電車の車内広告などで目が回るほど漢字に囲まれて、しかも行く先々で英語が通じないとなると、ストレスでせっかくの旅行も楽しめないだろうと思い、心苦しい気持ちになった。

そこで、私がこれから給付金を利用して日本酒を飲んで勉強していく過程で飲食店や酒屋の方々とお話をして、もしも必要であるならば、ボランティアで訪日観光客向けの用語の翻訳や、接客方法の研究などをお手伝いしたいと考えている。日本酒や日本の食文化のことがしっかり伝われば、もっと旅行を楽しんでもらえるし、店舗にとってもやりがいと利益に繋がると思うのだ。

一本の大関がやる気の源

最後に、この記事の写真について。リキュールに囲まれて置かれた一本の大関。写真では伝わらないが、恐ろしい量の埃をかぶっている。
この写真を撮ったのは、スペインの首都マドリッド、その一番の観光スポットと言えるグランビア通りに位置するデパートの酒売り場だ。グランビア通りを東京の渋谷のスクランブル交差点に例えると、その真横の駅に直結しているデパートなので、東急東横店のデパ地下といったところか。このデパートで日本酒を探したが、見つけたのは写真の一本だけだった。
ヨーロッパでは少しずつ日本酒愛好家が増えていて、和食レストランでは日本酒の扱いが増えているし、日本酒イベント等も行われているのは確かだ。でも、「海外で日本酒ブーム」と日本で報道されるほどには実際は盛り上がっていない。それが、あの埃の量に表れている。
「なんで日本酒を置いてないの?」と、あのデパートが地元客から小言を言われる日がやってくるかどうかは、今できることに着々と取り組めるか否かが決めるだろう。

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