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【超高齢社会】ポリファーマシー対策で病院薬剤師の存在感マシマシ

在宅療養支援病院として神奈川県藤沢市で地域医療支えるクローバーホスピタル。入院された患者さんやご家族の希望に応え、在宅復帰後の療養環境を整備し、退院後も訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ等でフォローを続けています。

医療が専門化し複雑化する中、クローバーホスピタルは「在宅療養支援型病院」として、患者さん1人1人に立ち戻り、全職員がチームとしてシームレスな医療を提供しています。

薬剤師も重要な一員として、入院患者の持参薬の鑑別と処方評価、主治医への減薬・処方整理の提案、カンファレンス参加、病棟で使用するストック薬の補充や期限のチェックなど、調剤以外にも多岐にわたる業務を担っています。

今回は薬剤課 木野課長に病院薬剤師に求められる役割や今後の展望について熱く語っていただきました。


医師と治療方針、処方薬の相談をする木野薬剤師(右)


在宅療養支援病院の薬剤師に求められる仕事とは


クローバーホスピタルは在宅療養支援型病院です。
在宅療養支援型病院とは、急性期病院から治療の一段落した患者さんを受け、施設や在宅診療など地域への退院を支援する病院のことで、当院における一番重要な役割は、「入院患者さんの地域への復帰を可能にする」ことです。

当院の入院患者さんは高齢者が多く、複数の病気を抱えており多くの薬を服用しています。「ポリファーマシー」という言葉をご存じでしょうか。薬の相互作用や飲み間違い、飲み忘れを防ぐことが重要です。

今年度からは持参薬の鑑別や処方変更のほか、従来は看護師が実施していたストック薬の補充や期限のチェック、処方代行入力などを薬剤師が行うようになりました。

薬剤師が病棟で薬のアドバイスをすることは、医師にとっても看護師にとっても、そして患者さんにとってもメリットしかありません。

私たちも病棟業務を通して、有害事象を引き起こすような多剤服用である「ポリファーマシー」の是正、患者が積極的に治療方針の決定に参加して、その決定に従って治療を受ける「アドヒアランス」の向上という二大国策の重要性を認識することができました。


公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネットより
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/kusuri/shidou.html


病院としての役割、制度の違いに戸惑うことも


急性期病院では指示通りに処方することが求められていたので、薬剤師がここまで薬を変えていいものか、転職してきた当時はカルチャーショックでした。ただ急性期病院に勤務していた当時から病棟業務はおこなっていたので、病棟での立ち回りや、薬剤師としてどのような形で多職種と関わっていくべきかの理解はありました。

クローバーホスピタルでは服薬指導を行っても加算は取れませんが、ポリファーマシーの是正を目的として減薬を行えば100点、退院までに2剤減るとプラス150点でトータル250点の加算を取ることが出来ます。
仕事の結果を数字で示すことで院内でも薬剤師の仕事を理解してくれている職員が増えたのは大変嬉しいことでした。


タスクシフト、組織づくりで健全な職場づくりを


過去5年間で病院薬剤師の存在価値ややりがい、認知度が向上しました。しかし、まだ取り組みたいが人員不足でできていない業務もあります。
例えば、地域連携室や在宅診療部に薬剤師がいれば、より効果的な対応が可能です。来年度は地域包括ケア病床の増加に伴い、より重症度の高い患者さんへの対応が求められるため、適切な業務配置と組織再編が必要です。

また、薬剤師だけでなく、事務職の活躍も重要です。例えば内線をとったり、納品、処方箋の整理などはライセンスがなくても出来る仕事です。
現在も非常勤の事務員が勤務していますが、毎日勤務しているわけではないので、そのあたりの人員強化が必要です。

また調剤に関しても非常勤の薬剤師でもいいので、専任者を配置することによってミスを減らすことが出来ると考えています。

調剤室と病棟の業務はそれぞれが独立し、求められる能力も異なります。それぞれのキャリアや働き方、能力に応じた適正配置を行うことで、将来的には薬剤課としての人員を増やすことなく、より質の高い医療が出来るようになると考えています。




薬剤師という職業に何を求められているのか


薬剤師はキャリアの幅が広く、病院薬剤師はマイノリティになりつつありますが、本来薬剤師に求められる社会的役割はクローバーホスピタルで患者さんと深い関わりを持つ中で実感することが出来ました。

モチベーションは上がりましたし、いま以上に出来ることは無いか、薬剤師にしか出来ないことをやりたいという想いは益々強くなっています。


子育て世代の看護師を見てかっこいいと思った


以前は夜遅くまで仕事をするのが当たり前でした。しかし、クローバーホスピタルでは子育て世代の看護師さんが定時を過ぎたら仕事を切り上げてお母さんになっているわけです。その切り替える姿がアメリカ的で純粋にかっこいいと思いましたし、同じように”別人”になるために必死になって勤務時間内で業務を終わらせなければいけないと考えるようになりました。

次なる野望は多様な働き方が出来る職場づくり


薬剤師として仕事への満足度を満たすものは何かをずっと考えていました。
人の役に立つことなのか、自分自身が面白いと思える仕事なのか、仕事を楽しくするにはどうしたら良いのか。

その結果、やはり多職種で働く中で自分の役割が認められること、何より薬剤師にしか出来ない仕事を出来ていることに満足度の高さを感じています。
今の満足度を維持しつつ、さらに組織として進化する為にも変わり続けなければいけません。

働き方改革によるタスクシフトが推奨されていますが、同時に病院薬剤師の人員確保も難しくなっている状況です。
事務職を交えた業務の適正配置を行い、多様な働き方ができる職場環境と地域社会に求められる役割を模索し続けたいと思います。



クローバーホスピタルでは薬剤師を募集しています。お気軽にお問い合わせください。


https://www.instagram.com/cloverhospital/


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