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「PRは認知施策」は落とし穴にはまりに行っているようなものです。

◆この記事が必要な方はこんな方

ー メディア掲載は認知を獲得するものと思い込んでいる人
ー 認知獲得以外にできることを知らない人
といった、どちらかというとマーケティングでPR初心者の方にぴったりな記事です。


PRや広報施策の目的の曖昧さ

PRや広報活動の目的、結構曖昧になってますよ?

こんにちは。
広報アドバイザー&PRプランナーの宮越です。
「広報・PR活動の目的は何ですか?」
PRパーソンや外部フリーランスの方は、一度は必ずこの質問をしたことでしょう。ですが大半、こんな風に回答されているのではないでしょうか。
「認知の獲得です」
まだまだ誰にも知られていない商品・サービス。まずは知ってもらうことから始めないと。そう思う気持ちは非常にわかります。それが一言に集約した言葉、それが「認知獲得」だと思っています。
が。これ、聞こえがいいから使っていませんか?何となく使っていませんか?もっと極端なことを言えば、「PRや広報活動は認知獲得だと本に書いてあったから」そんな感じじゃないでしょうか?
時代は令和です。生活者の消費行動は刻々と変化しています。マーケティング戦略もどんどん変わります。ですがなぜか、PRや広報は「認知獲得」からまるで動いていません。
ちょっとこの「認知獲得」について、PRパーソンから紐解いていきたいと思います。

認知とは?AIにも聞いてみた

まず広辞苑的な解釈としてはこうです。

事象について知ること、ないし知識をもつこと。広義には知覚を含めるが、狭義には感性に頼らずに推理・思考などに基づいて事象の高次の性質を知る過程。

広辞苑より

つまり、広辞苑的には知る過程のことを認知と呼ぶようです。では、心理学的な解釈としてはどうでしょうか。

人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。

wikipediaより

何であるかを判断・解釈する過程だそうです。ではchatGPTに聞いてみましょう。

製品やサービス、ブランド、企業などに対する消費者の認知度を高めることを指します。つまり、消費者がその存在を認識し、その商品やサービス、ブランドについて知り、関心を持ち、購入につなげるために、マーケティング活動を通じて行われるプロセスのことです。

chatGPTにて「マーケティング用語でいう認知獲得とはなんですか?」と質問

つまり「認知獲得する」「認知を高める」というゴールは、存在を知ることと言えるでしょう。
ここで問題が起きます。人間が「知った」状態をどこで図るのでしょうか?もっと細かく考えると、どのくらい「認知」を獲得できれば、目標(購買)を達成できるのでしょうか?

認知は測りにくい

広告でしたらインプレッション、というわかりやすい数値が出ますから。細かく言えばそれは「目に入った」だけのことですが、ないよりましでしょう。
が、PRの施策はどうでしょうか。もっと細かく言えば、メディア掲載ではどうでしょうか。残念ながらメディアに掲載されたインプレッションを正確に測れません。さらに広告だと実行できる、購買を促すコンテンツがありません。記事をみて、検索されたか、ブランドページに来たか、店舗に来たかどうかは、ほぼ現状不可能です。
ですので、「何にどのくらい掲載されたらよいか」のよしあしがありません。それをぐっと我慢できる方はいいのですが、結構これしんどくないですか?常に「意味あるのかな…」という疑問を抱えながら、一生懸命リリースを書き、一生懸命メディアアプローチを試み、一生懸命メディア対応をする…人間は、成果がないとやはり動けないものです。

広報・PR活動の効果測定が落とし穴

「広報施策は効果測定が難しい」と言われています。今も解決していないまさに広報界のフェルマーの最終定理!簡単そうに見えていまだに解明されておりません。便宜上、広告換算値からメディアの掲載数、論調分析からメディアのPVでの概算、あとは売上や問い合わせといった実際の成果で見るなんてことなど、あらゆる手法を試してきていると思います。が、みなさん、しっくりきてますでしょうか。仮に掲載数などで作ったとしても、上司の反応は、「あ、達成したんだね?ふ~ん」なんて経験してませんか?
その落とし穴は実は、掲載数と結果(売上)に相関関係を見出すには、一定数以上の掲載が必要だということにあります。ぶっちゃけ話、「売上に効いていると知覚できるか」という観点でいえば、一定以下の掲載数ではなかなか「売れている感じ」を感じることは難しいでしょう。(掲載自体に意味がないということではありません。このあたりは別で解説いたします)

短期的な売上に囚われすぎている

広報やPR施策はマラソンです。

PRや広報の施策は短期施策ではないです。走るのが得意なマラソン選手だとしても、短距離走で結果は出せませんよね?さらに言えば、メディアの掲載が短期的に大量に獲得できるなんてこともありません。結局徐々に増えていくものなのです。そこに短期的に見て売上が上がってないから、と、売上だけを見て判断するのはよくありません。ポテンシャルを活かしきれてません。それでは広報やPR施策はどんなポテンシャルがあって、どう活かすとよいのでしょうか?

メディア掲載は処方箋

広報やPR活動は、自社の課題をコミュニケーションで解決する、いわば「企業にとってのお薬箱」だといつもお伝えしています。頭が痛ければ頭痛薬が必要でしょうし、肩こりには湿布薬などが必要です。課題に対して適切な処置を施すことが本質にあると思っています。メディアへの掲載は結果論に近いと思っておりいわば、企業が正当に評価されたからメディアに掲載された、というものだと思っています。
概念的な話はいったん置いて、具体的な話をすると要は…

  • 営業の成約率を上げたい → 効果事例でバックアップし、成約率が上がったかどうかを判断してみよう

  • 社長の人柄で入社を決める人が多い → 社長インタビューが掲載されることで、採用成功率を上げよう

  • 自社では効果効能や正直な評価が伝えにくい → 第三者に代弁してもらって、検討率を向上させよう

のような感じです。
メディアの掲載や、広報活動でのアウトプットは今や、「興味関心を持った先にチェックするもの」としても機能するのです。以下図で言うと、理解促進とか比較検討とかの部分です。これだけ話しても、PR=認知獲得だけじゃない、ということがわかりますよね。

ウェビナーで解説したときにこんな図を使いました

いろいろな形のメディア掲載を獲得し、少しずつファネルの課題を解決していくと、徐々に好転していき、そうなるとメディアからおよびがかかる、そんな好循環が理想系ですね。今日からは、PR=処方箋との意識で取り組んでいきましょう!皆さんの成功をお祈りしています。

私のプロフィール

リクルート関連会社で求人広告の企画営業、カフェプロモーションの企画制作会社でのシニアアカウントエグゼクティブを経て、ブランドプロデュースカンパニー株式会社マテリアル入社。化粧品/日用品メーカーの新商品販促企画、PRディレクションを経験。クリエイティブやプロモーションと連動したPRコンストラクチャーを得意とし、PRに紐づくクリエイティブディレクションも行う。現在新規事業を推進するため、株式会社CONNECTED MATERIALに出向し、広報とメディアとのマッチングプラットフォーム「CLOUD PRESS ROOM」のカスタマーサクセス責任者、広報アドバイザー、PRプランナーという顔つきで従事。

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