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出版の常識を変える!「軽出版」という革命の物語
おはようございます! つくだ@書籍編集×ライターです。このnoteでは、心が楽になる考え方や、創作について考えたことをお届けしています。
今回は、出版を面白くする新しい試みをお届けしたいと思います。その名も「軽出版」。発案者の仲俣暁生(編集者・物書き)さんは、軽出版についてnoteに「軽出版者宣言」という記事を投稿しています。
そこには、従来の出版業界の常識、つまり、大量部数を印刷し、全国の書店に流通させ、ベストセラーを目指すというビジネスモデルを覆す、新しい出版の形がありました。
軽出版とは何か?
仲俣さんは軽出版について次のように述べています。
軽出版とは何か。それは、zineより少しだけ本気で、でも一人出版社ほどには本格的ではない、即興的でカジュアルな本の出し方のことだ。
部数にして100部~1000部程度。自分で組版をし、編集をし、校正までやってしまう。ハンドメイドの雑貨をboothで販売したりしていますが、あの書籍版と考えたらわかりやすいかもしれません。
仲俣さんが、Xにその仕組みを上げられているので引用します。
あらためてこのあいだの勉強会で見せた図解を上げておこうかな。解説は近いうちにマガジン航で連載します。 #軽出版 pic.twitter.com/LwlqkXYw5V
— 仲俣暁生【『橋本治「再読」ノート』、好評発売中】 (@solar1964) June 26, 2024
「売れる」と思う本ではなく「自分が出すべきと思った本」「好きな本」を出す出版
「軽出版者宣言」を拝読した上での私感ですが、軽出版とは、大手出版社が手がける大量生産・大量消費モデルとは一線を画し、「自由」「本来の出版」「個性」を重視する出版の形と言えます。
出版界は長らく、本を大量に安く売ることをよしとしてきた。巨大な装置産業である大手印刷会社や、全国一律発売を担う大手取次会社に支えられた、雑誌や文庫や新書を中心とする大規模出版は、これらの商品が与える軽やかな印象とは裏腹に、実際は巨大な装置と資源を必要とする「重たい出版」だと言える。たくさん売らねばならないために中身も薄く浅いが、にもかかわらず、それはまさしく「重出版」なのだ。
「軽出版」は、その対極にある。
たくさんは作らない。読者も限られていてよい。売る場所も、ネット以外は限られた書店や即売会だけでよい。少部数しかつくらないから在庫も少ないし、運よく売り切れたらその都度、また作ればいい。そのかわり中身は、好きなことをやる。重たい中身も軽出版なら、低リスクで出せる。
お金の面から見た軽出版
好きなことをやって、採算はどうなんだということを考える方もいらっしゃるでしょう。いわゆる出版社を通した出版と、軽出版の違いを挙げると、前者の場合は、出版者に対して原稿ないし取材を受けての語り下ろし原稿を渡して、印刷や編集、販売促進などは出版社に任せることになります。
そしてできた本の印刷部数(ないし実売部数)に対しての印税を、著者は受け取ることになります。
対して軽出版では、MacBookとInDesignを使って、自分で組版をして編集し、PDF化して同人誌向けのネット印刷などで印刷します。軽印刷では、何もかも自分でやる代わりに、IP(知的財産)をすべて握ることができます。ということは印刷費など経費以外のすべてが利益となります。
また軽出版においては、出版部数も価格も自由です。たとえば仲俣さんが今回軽出版した『橋本治「再読ノート」』は80ページで1400円です。1000部ほど印刷されて現在3版とヒットを飛ばしています。3版といえば、出版社においてもベストセラーと言える刷り数です。現在実売1000部を越えたところだそうですが、実入りは1万部の新書の印税収入をすでにオーバーしているとのことです。軽出版の場合は印刷費以外はすべて利益とも言えるので、当たれば一般の書籍印税以上の利益を得ることができそうです。
7/10 ※仲俣様から『橋本治「再読ノート」』の正確な部数と利益を教えていただきましたので、一部文章を修正いたしました。仲俣様、ありがとうございます。
仲俣さんはこの結果を踏まえ、次のようにXにポストしています。
私は軽出版を、百年前に始まった重出版(円本、文庫、新書など)の次の出版流通パラダイムだと、本気で考えている。重出版が終わることはずっと前からわかっていたけれど、じゃあどうすればいいのかが、わからなかった。軽出版を自分でやってみたら、わかった。この話は、ちゃんと講演なり本に書くなり…
— 仲俣暁生【『橋本治「再読」ノート』、好評発売中】 (@solar1964) May 22, 2024
手軽に出版できるという面では、Kindle本などと同じように思われるかもしれません。しかし紙の本としての存在感や所有欲をKindle本で満たすのは難しいです。また、noteなどのプラットフォームは情報発信の場としては優れています。しかし、Kindle本と同じ理由で軽出版には及びません。
軽出版は出版を変えるか?
軽出版は、出版業界にどのような影響を与えるのでしょうか。文学フリマの隆盛が示すように、ニッチなテーマの深掘りや個人の経験の共有など、多様な出版物が生まれるでしょう。これは、読者の選択肢を広げ、出版文化の活性化につながります。
また、noteなどのプラットフォームとの連携も考えられます。noteで連載したものを軽出版で出版したり、軽出版で生まれた作品がnoteで話題となり、さらに多くの人に読まれるという相乗効果も期待できます。
さらに軽出版は、既存の出版業界との共存関係を築く可能性もあります。大手出版社は、軽出版の動向を注視し、新たな才能の発掘やニッチ市場への参入を検討するかもしれません。軽出版と大手出版社が連携し、互いの強みを生かした出版モデルが生まれることも期待できます。
軽出版は、単なる出版手法の変革にとどまりません。それは、新しい文化や価値観を生み出すムーブメントです。個人が自由に発信し、読者と深くつながることで、社会に新たな価値を提供します。「橋本治『再読ノート』」の成功は、その可能性を証明しています。
軽出版という革命は、まだ始まったばかりです。しかし、その可能性は無限大。私たち一人ひとりが、このムーブメントに参加し、新しい出版文化を創造していくことができます。軽出版は、出版の未来を明るく照らす、希望の光となるかもしれません。
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