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生きるとは、考えることができるということだ/「世界は一冊の本」

詩人で児童文学者で翻訳家でエッセイストの長田弘さんの本を眺めていたら、こんな言葉を目にしました。ちょっと長いですが引用しますね。

人生という本を、人は胸に抱いている。
一個の人間は一冊の本なのだ。
記憶をなくした老人の表情も、本だ。

草原、雲、そして風。
黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。
権威を持たない尊厳が、すべてだ。

200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
、、、、、、、、、
考えることができるということだ。

本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。

長田弘全詩集「世界は一冊の本」

この詩は、『世界は一冊の本』という詩集の最後を飾る詩「世界は一冊の本」の締めの言葉です。いかにも本好きの方らしい詩ですね。

長田さんにとっては、日の光りも星の瞬きも、
鳥の声や川の音だって本だと、
この詩には書かれています。

そして、世界というもの、そのものが一冊の開かれた本であり、
ただ、その本は見えない言葉で書かれていると、
長田さんはこの詩の別のところで、書いています。

物体としての「本」を読むだけではなく、
世界のそこここに広がる、見えない言葉で組まれた「本」も読む。
それは、人生を豊かに広げていきます。

ところで長田さんは、この詩の「考えることができることだ」のところに傍点をつけています。

それは、「考えることができる」ということこそ、私たちに与えられたギフトであり、なすべきことだとおっしゃっているようにとれました。

確かに、考えることができるおかげで、私たちは人生においてさまざまな選択ができます。そして選択は、「知る」ことの数が多いほど、広がっていきます。「本」はそのためにあります。

もちろん、ときには下手な選択をしてしまって痛手を負うこともあるでしょう。でも、「本」を読むことで、その傷は癒やされるかもしれません。そればかりか新たな方針を立て、挽回することができるかもしれません。「本」はそのためにあります。

生きるとは、考えることができるということだ。

だからこそ、目の前で起こっていること、
そして海の向こうで起こっていることに対して、
自分の頭で考え、選択したいものです。

その考えを育てるためにも、
本は偏りなく読んでおきたいものだと思います。


最後まで読んでくださりありがとうございました。
また読みにきてくださると嬉しいです!



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