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「ととのわない」という選択、あるいはぬる湯の可能性【#銭湯考 002】

こんにちは。ありぱんです。今日も「#銭湯考」やっていきましょう。

現代は「ととのい」戦国時代

サウナブームと言われて久しい2022年、世間は「ととのい」至上主義だ。この記事を読んでくれている読者のなかには、サウナや温冷交代浴を好む方が多いのではないだろうか。

熱いお湯あるいは灼熱のサウナにIN!あるときは熱波!ロウリュ!
からの〜、冷水へダイブ!またあるときは川に飛び込む!雪に突っ込む!
からの〜、外気浴!めくるめくサウナハイ!あるいはサウナトランス!

と言わんばかりの勢いで、その「落差(の後のある種の「賢者モード」)」を楽しみに、日々サウナ・銭湯に通う人は多いのではないだろうか。

※サウナのイメージ写真

かく言う私も「温冷交代浴」の民。いわばサウナの温泉バージョンとでも言えよう。熱いお風呂から冷たい水へ。その落差でお風呂を出た瞬間にクラっとくる感覚がたまらなく好きだ。そして椅子で虚無っているときの幸福感といったら、もう…!
日常ではなかなか思いを馳せることのない「生と死」に近づくことが出来ることも、その理由のひとつかもしれない、なんて思ったりもする。

知っておきたい「温泉」の定義

ところで、突然「温冷交代浴」という言葉を出したのだが、ここでまずは(後の話の理解の助けにもなるので)「温冷」という定義について触れていく。

・冷鉱泉(25℃未満)
・低温泉(25℃〜34℃)
・温泉(34℃〜42℃)
・高温泉(42℃以上)

鉱泉分析法指針

このような定義があるようだ。

「冷泉」と「温泉」を組み合わせる「温冷交代浴」(あるいはサウナ)

先にも話題にあげた「温冷交代浴」とは、読んで字の如く、温かい温泉と「冷泉(25℃未満)」に交互に入ることだ(一般的に、上記の定義にある「冷泉」は水風呂などでも用いられ、温冷交代浴のために使われる)。

効果はさまざまだが、温冷を交互に行き来することで血管の伸び縮みを引き起こし、手足の血流改善を行うのがその代表格だ。また、保温効果を長続きさせ、冷え性解消にも一役買う。特に運動後の温冷交代浴は、筋肉痛予防や疲労回復などの効果があるとされている。

※ととのいイメージ図

また、温冷交代浴はいわゆる「疲れる(身体への刺激が強い)」入浴法でもあり、それが「快眠効果」にもつながるとされている。温冷交代浴は「温泉(3〜5分)+冷泉(1〜2分)」×数回、を行うのが一般的だが(サウナも同様で、サウナ5分、水風呂30秒~1分、休憩(外気浴)5~10分を1セットにして、2〜3セット繰り返すことがひとつの目安)、ここまでの身体的負荷をかけると、夜はぐっすり眠ることができる、というものだ。

すややだよ

ぬる湯という「革命」

そんな私に、このGWにある革命が起きた。「ぬる湯」だ。
突然そんなことを言われても意味不明だと思うので、先の定義に照らして考えてみよう。

・冷鉱泉(25℃未満)
・低温泉(25℃〜34℃)
・温泉(34℃〜42℃)
・高温泉(42℃以上)

鉱泉分析法指針(再掲)

実は「ぬる湯」には明確な定義がないのだそうだが、一般的には、上記に則ると25℃〜34℃くらいの「低温泉」のことを指すようだ。「不感温湯」と言ったりもする。

ぬる湯は湯気が出ません

「ぬる湯に浸かる」という入浴法

この「ぬる湯に浸かる」ことの効用は、先に挙げた「温冷交代浴」とは大きく異なる。「ぬる湯」に浸かるとリラックスを司る副交感神経の働きが強くなり、自律神経に作用するのだ。
現代人の多くは(緊張や興奮を司る)交感神経が優位であることから、このような調整をすることは意義深いことだと言えよう。

その結果として得られるのは、温冷交代浴やサウナのような乱高下・疲れに起因するすっきり感ではなく、「穏やかな時間」だ。
熱くもなく冷たくもない、なんとも不思議な感覚。のぼせの心配もいらず、考えごとも途切れることなく続けることが出来る。温度が低い分、温泉の泉質などもゆっくり実感できるおまけ付きだ。熱いサウナに入ることで、考えごとをしにくくなり、脳を休ませることができる…というのとは大きな違いだ。

また、温冷交代浴やサウナほど露骨に「あったか〜い」や「あつ〜い!」の機会がないことから、温まり感の不足が心配になってしまうが、心配ご無用。なんと20分程度の入浴で、身体がしっかり温まるそうだ。

ぽかぽかのイメージ図(うるさい)

「ぬる湯」と湯治の親和性

入浴にこうした「すっきり感」を求める人が多いからだろうか、公衆浴場のお湯は軒並み高温に設定されていることが多く、「ぬる湯」に出会える機会は限られる。しかし、そんなぬる湯と最高に親和性が高いのは「湯治」だ。湯治とは、

「長く滞在し温泉療養を行う行為。リフレッシュや物見遊山的に行う温泉旅行とは異なるものの、現代に於いては精神的な病、慢性疲労など、「癒し」も含め大きな期待が寄せられている時間の過ごし方」

のことだそうだ。この「長く」というところがポイントで、先にも述べたように、長くゆっくり入浴する上で「ぬる湯」は必要な存在なのだ。

かく言う私もこのゴールデンウィークに「ぬる湯で湯治旅」をした1人だ(この詳細は別の記事に譲ろう)。これまではおふろの王様でも「不感温湯」を大スルーしていた程度には「ぬる湯」のことを舐めていた私だったが、その身体的な効果の大きさ(湯あたりではじめて実感する身体への影響よ!)に驚き、あるいは「思考の継続度」にも驚嘆し、今後は「温冷交代浴」だけでなく、積極的に「ぬる湯」を活用していこうと誓ったのだった。

ぬる湯の朝風呂も最高ですぞ

ぬる湯…お前…どこかで!!!

すっかり「ぬる湯」の虜になった私。

普段家では「42℃」に設定していたお風呂を、湯治帰りの当日には早々に「40℃」に設定し(どうせちょっとぬるくなることを見越して)、お風呂に入ってみた。

するとどうだろう、いつものようなゆでダコからの行水ではなく、ゆっくりじっくり…ゆるゆると…ゆるんでいき…なんだかねむた…く…

なんだかねむたく…ッ

はっ!!!!!!!!!!!!!(何かを思い出した顔)これはお前!!!!!!!!!!!!

何かを思い出した顔

私が大学生のときに頻繁にやっていた「2時くらいにお風呂に入ってそのまま眠くなってそのまま入眠、6時くらいに冷え切ったお風呂で起きたとき」の寸前のやつじゃないか!!!!!!!!!!!!!

はい

お風呂で寝るの、ダメ、ゼッタイ。

〜取り乱してしまい、大変失礼しました〜
今回伝えたかったのは、以下3点だ。

・熱いと冷たいを往復することで得られる「ととのい」感以外のものでも、身体に有効に作用するものがある
・特に、じっくり物事を考えたい、(お風呂で疲れたいのではなく)ゆっくりお風呂に浸かって、身体に負荷をかけずにリラックスしたい方には「ぬる湯」をおすすめしたい
・ぬる湯は家の風呂のぬるいやつにも似ているが、実際追い焚きもせずに冷え続けていくとなると風邪などのリスクがあるので注意が必要

自分にあった入浴法を都度選択することで、サウナ銭湯人生はますます豊かになるのではなかろうか。

終わり。

追記:感想を書いていただきました!(とてもうれしい)

ぬる湯について、本記事をきっかけに考えていただきました。こにたんさん、ありがとうございます😂

その他にも、記事を読んだりコメントをしていただいた皆様、ありがとうございました😭

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