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『八王子うかい亭』で料理長を独占した夢のような時間

「ステキだな、いつか行ってみたいな」と思いつつも、自分には分不相応なお店だと、ずいぶん長い間、敬遠していた『うかい亭』。なかでも創業の地、八王子店など一生足を踏みいれやしないだろうと信じて疑いませんでした。

「思いがけずに」という瞬間は、本当に意図しないところから発生します。

おいしいから純粋にスキで常備していて、noteにも頻出のはちみつ「ジャラハニー」を扱う『Maison de i-bee(メゾン ド アイビー)』のメルマガに、こころがひかれる文字をみつけたある日。

Maison de i-bee 【BEE食倶楽部】へのお誘い

「会員限定の試食会」や「会員限定の優待」などがあるらしい会員登録を、しない理由はみつかりません。即申請です。

そのあとすぐにきた【BEE食倶楽部】の第1回開催の案内には、焦がれていたレストラン『八王子うかい亭』の名が書かれていました。

これはいくしかない。貧困女子を脱出した”今”ならいける。

そう思い、申し込みをして入金をして、当日をこころ待ちにしていました。


料理長独占の贅沢な空間

過去に、降りた経験があるかないか定かではないほど縁遠い八王子駅から、タクシーに乗って約10分。敷地内に入った瞬間、世界がガラッと変わりました。

タクシーから降りると、スッと寄ってきたバレーサービスのスタッフ。なかなかこういうシチュエーションには出くわさないので、どうしたって期待は高まります。

この日の参加者のなかには、全『うかい亭』を制覇しているばかりか、2巡目をクリアするツワモノも。そこまで魅了させるものはなんなのか、初『うかい亭』のわたしには、知る由もありませんでした。数時間後までは。

歴史が刻まれた趣のある店内と、にこやかに、かつ、どっしりと安定したある種のゆらぎない自信を兼ね備えたスタッフの皆さんに迎えられ、これからはじまる未知の時間への高揚が最高潮に。

グラスにジャラハニーをたらしています

グラスにしたたる黄金色のジャラハニーと、シャンパンの見事な融合。みているだけでもうっとりします。

乾杯のシャンパン×ジャラハニー

『八王子うかい亭』の特長は、6部屋ある各個室をシェフまたはコックが専属で担当し、お客さんの目の前で鉄板料理をふるまってくれるところです。

Maison de i-bee 【BEE食倶楽部】のために用意された特別メニューをつくるのは、なんと、料理長の圓岡(まるおか)シェフ。普通に予約していたら、こんなチャンスはまずありません。

(余談ですが、「シェフ」は料理長を指し、基本的には1店舗につきひとりしかおらず、ほかの料理人は「コック」と呼ばれる。と、この日をさかいに学習しました。)

シェフがさいしょに準備にとりかかるのは、油揚げ。ジャラハニーを塗って網焼きしたあとに、キャビアとスクランブルエッグをON。

こんなおしゃれな油揚げみたことない

甘エビのうえに、さらに甘エビのたまごがのった一品。

ジャラハニーをフライパンにたっぷりと。

大きなかたまりは、「TOKYO X(トウキョウエックス)」の肩ロース。

パストラミみたいに黒こしょうをたっぷりまぶした、『うかい亭』流のチャーシューです。

これにあわせるのは、ジン。

この特別コースは、ドリンクのペアリングもたのしめるようになっていました。

うつくしいピンク色

赤なすがどうなるかというと…。

鉄板で焼いたあと、お出汁で煮ます。

こちらのワインとあわせて。

バルサミコ酢のきいたスープの準備中。

北海道のホタテ貝と八王子の朝採れほうれん草を鉄板で焼いています。

クルクルっと巻くだけで、おしゃれにみえるこのテクニック。マネしてみようと思いました。

ほうれん草とホタテ貝の間にマッシュルーム+トリュフ+ベシャメルソース、そこにお出汁のきいたスープをかけたら、たっぷりのトリュフをまぶします。

ホタテ貝がみえないくらいに

おからがはいった特製パンは、鉄板でこんがり。

これは、徳島県産の牛ヒレです。

鉄板でほどよく火を入れるシェフ。

西洋わさびをつかった辛味噌と、カンボジア産の生こしょうを添えて。これらのトッピングは、『うかい亭』の各店舗によって違うのだそう。

生こしょうが気に入ったので取り寄せ中

名物の〆、ガーリックライスにとりかかります。

昆布のうまみをつけた自家製の塩。炒めたガーリック。みりんで甘みをつけ、焼いたネギの香りとしょうがの絞り汁をいれた醤油。この3つが味のポイントに。

シェフいわく、「炒めるというよりは焼いていく、焼き飯のイメージ。これは、つくるひとの個性が一番出る料理」なのだとか。

「わたしの知っているガーリックライスではない」

これが第一印象でした。パラッと感とフワッと感が混じりあい、ほのかに香るガーリックがあとを引く上品な味わい。

おたのしみのデザートのはじまりです。

高知の水晶文旦をあしらった、フランス菓子「ヴァシュラン」。一番下はコンフィチュールで、バルサミコ酢がかけられたフロマージュが間に隠れています。

アップルパイにバニラアイスクリーム。カルヴァドスとジャラハニーをかけていただきます。

粋な演出

「ぜひコーヒーにもジャラハニーを」といって用意された器には、お花が咲いていました。

おまけのデザート。バニラアイスクリームにバルサミコ酢をかけて。

はちきれんばかりのお腹を抱えながら、シェフの案内で2階をみせていただきました。

古き良き昭和な感じ

今回は特別コースだったために移動はなかったのですが、通常は、1階で食事をしたあとに2階でデザートを食べるスタイル。

1階の、そのほかの部分を撮りました。

圓岡シェフの貴重なお話を伺いながら、極上の料理を味わった数時間は、完全にお値段以上の感動がありました。特に印象に残ったシェフのことばを、ここで紹介します。

「料理はチームワーク。(今はみえていない、いろんなひとの力があわさっているから)僕がひとりでつくれるわけではない」

いつか行けたら、と夢にみていた初の『八王子うかい亭』。ちょっぴり遠くて行きにくいけれど、時間をかけて電車を乗り継いでタクシーをつかまえてまで行く価値があるレストラン。また必ず食べに来ようと誓いました。


八王子うかい亭 ―鉄板料理―

東京都八王子市暁町2-14-6
TEL:042-626-1166
営業時間:(平日)11:30~14:00/17:00~22:00、(土日祝)11:30~22:00

公式サイト

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