2024年劇場初めは、やはりロンドンで(2)
2024年の劇場初めをレビュー!
1月5日にロンドン入り、18日まで劇場を巡っておりました。
気になる作品リストはこちら👇
1月6日 Hansel & Gretel @Globe /
Sunset BLVD. / Sondheim's Old Friends
1月7日
Hansel & Gretel @Royal Opera / Frozen
1月8日 Brief Encounter @ Manchester
1月9日 Oliver! @ Leeds /
The King & I @ Manchester
1月10日 White Christmas @ Sheffield
1月11日 The Lion,The Witch & The Wardrobe@Birmingham / Evita@Leister
1月12日 Time Traveler's Wife
1月13日 Kin/Back to the Future
1月14日 Edward Scissorhands / Jenufa
1月15日 Totoro
1月16日 Stranger Things
1月17日 Moulin Rouge / Home
1月18日 The Big Little Thing / The Witches
このnoteでは1月7日と8日の3公演について触れたいと思います。
(キャプションなしの画像は公式サイト等から拝借しています)
Hansel & Gretel
@Royal Opera House
英国ロイヤルオペラの『ヘンゼルとグレーテル』はホリデーシーズンのお馴染みの演目として愛されています。このプロダクション(演出)は2018年お披露目のものです。
ドイツの作曲家フンパーディンクによる美しいメロディはクラシック音楽ファンなら一度は聴いたことのある楽曲。特にヘンゼルとグレーテルが祈りを捧げる楽曲は、眉唾ものです。
この演出は序曲の中で、普通の家庭が貧しくなってしまった、という設定を強調し、どの家族にも起こりうる話であることを、観客に伝えます。
僕が最も好きだったのは、休憩入りの直前、第二幕の最後に、ヘンゼルとグレーテルが眠りにつき、オーケストラの演奏のみで物語を紡ぐ7分ほどのシーン。このプロダクションでは森の中にグリム童話に登場する様々なキャラクターが集まり、守護霊のようにヘンゼルとグレーテルを見守る演出がなされていました。(各キャラクターはバレエダンサーたちが演じます)
ハートフルなInto the Woodsの世界で、心が温まりました。
Frozen
ニューヨークで2018年に観て以来の、Frozenへ。
終始ヌメっとした進行で、キレが足りない印象でした。ニューヨークで観た時はもう少し間を上手に使っていた印象でしたが、これがロングランの弊害なのかもしれないですね…
事実、帰国後Frozen上演終了のニュースが流れていました。
とはいってもエルサが白く輝くドレスに変わるシーンは何度見ても、ワクワクするものです。
まだ観たことがない方はぜひ、ご覧ください👇
Brief Encounter
さて翌8日、月曜日からは一旦ロンドンを離れ、北に向かいました。最初の目的地はマンチェスター。作品の評価が高い、Royal Exchange Theatreに向かいました。ここは為替取引所として稼働していた建物をリノベーションした劇場なのですが、その時代の薫りが感じられて、期待が高まります。
今回上演の”Brief Encounter”は、日本では『逢引き』という名前で知られている1945年の映画として知られています。原作は1936年の短編演劇作品の1つとして発表されてました。作者はSir Noël Coward。イギリスを代表する演劇人で、ウエストエンドには彼の名前を冠した劇場があります。
駅のカフェで偶然出会った男女が、毎週同じ日時に会うようになる過程のお話。主人公カップルの他に、構内販売の男の子とカフェのアルバイトの女の子の若いカップルと、車掌とカフェの女将さんの人生のベテランカップルが登場し、3組の恋模様が並行して描かれていきます。
大きなドラマは起きないものの、日々過ぎていく時間や繊細な心情の移り変わりを彩るのは、サー・カワードの楽曲。脚本家としてだけでなく、ソングライターとしても活躍していたサーは、600曲を超える楽曲を残しています。
今回のプロダクションはサーの楽曲のみで構成されていました(別のプロダクションではサーと同時代の他の作者による楽曲とブレンドされていたようです)。サーのみの楽曲で構成されたことで、統一感を強固にしているように感じられました。
ジャズ・エイジの時代に生きたサーの楽曲は、Royal Exchange Theatreの空間とマッチし、タイムスリップしたような感覚に。演奏はピアノ/ギター/ベース/ドラムのカルテット。彼らがまるで駅のカフェのスペースで演奏しているような距離感なのが素敵でした。
ちなみに僕が最も好きな楽曲は”Sail Away”。
歌詞の一部をご紹介します。
嵐の雲が冬の空に乗ってやってきたら、
旅立とう
あなたの目の中で恋の光が萎んできたら、
旅立とう
あなたの歌のオーケストレーションを悪く感じたら、なぜ留まり続ける必要がある?
風や天気があなたの夢を空高く吹き上げたら、旅立とう
この楽曲で始まる第二幕が本当に美しかった。
是非Youtubeで楽曲を聴いてみてください。
Royal Exchange Theatreのあと、LeedsやSheffieldのような地方劇場を回っていきますが、派手さはないものの、質の高い役者に恵まれた土地だなぁと改めて感じました。
次回は、1月9日 Oliver! @ Leeds / The King & I @ Manchester、1月10日 White Christmas @ Sheffieldについてレビューします!
ご覧いただきありがとうございました。
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