古きフェンスに絡みつきたる野茨のやはらかき棘もう固き棘 色のなき世界に雨が降りはじむ止みてそののちまた降りつづく あなたより離れしかの日のひとことがいまもわたしの…
はじめて会ったときから、あ、波長が合うな、と感じたひとだった。たとえば文章を書いたら、同じところに句点や読点を打つだろうな、と。あたしは太…
ぐるんぱ
2023年5月29日 19:16
古きフェンスに絡みつきたる野茨のやはらかき棘もう固き棘色のなき世界に雨が降りはじむ止みてそののちまた降りつづくあなたより離れしかの日のひとことがいまもわたしのなかに息づくけふもまた人の数だけものがたりはじまりてゆく朝の地下鉄あとに来し快速に追ひ抜かされてりつしんべんのこころが揺れる手に手に手になべてスマホを操りて小さき画面にみな何を見る思想・嗜好・購入履歴・行動範囲刻まれてゐるきのふの
2023年5月25日 20:55
はじめて会ったときから、あ、波長が合うな、と感じたひとだった。たとえば文章を書いたら、同じところに句点や読点を打つだろうな、と。あたしは太陽のようにぎらぎらと、底抜けにあかるいひとは苦手だった。思慮深い、という言葉がとてもよく似合うそのひとは、ここで話した一言一句、きっと誰にも洩らさないだろうという信頼感があった。だからそおっとこころの洞をひらき、そのひとと秘密を共有した。