創星(短編小説)
「はじめまして。今日から君は_______」
神様が、私を"創った"らしい。
頭にぼんやりと神様の声が聴こえてきた。
「君は、君だけの光を見つけるんだよ。」
私だけの、光?
そんなことを考えている内に、神様の声は聴こえなくなってしまった。
私だけの光って、なんだろう……。
生まれ落ちたこの場所だけに留まっていても仕方がないので、私は外に出ることにした。
煌めくトンネルのような場所を抜けた先には_____
目が眩むほどの星たちが、輝いていた。
思わず見惚れてしまって、1、2分ぐらいそこから動いていなかった気がする。
「綺麗….」
その後なんとか我に返って、ようやく自分がいる世界の全貌を見渡すことができたのだった。
神様がくれたらしい"星間飛行能力"で、とりあえず黄道12星座の周りをぐるりと一周してみる。
…..思っていたより時間はかからなかったようだ。
ふと、そのはずれにある、真っ暗な空間に視線を向けた。
"何か"が、光っているように見えた気がしたのだ。
近づいて拾ってみる。
それは指先ぐらいに小さいけれど輝きを放っていて、意外にも近くに沢山落ちていることがわかった。
形も、大きさもバラバラのそれらを拾い集めていくと、やがて手のひらに収まる大きさのの1つの塊になった。
先程より少しだけ輝きが強くなった気がする。
塊を胸に抱えて、耳を少し近づけてみる。
_____優しくて少し悲しいような、それでいてどこか懐かしいような…..。
そんな、暖かい音が聴こえた。
いつの間にか、私は両の目から涙が溢れ出ていることに気づいた。
「そっか…….。」
思わず、泣きながら笑みをこぼして納得してしまった。
これが、私だけの光。
そうだよね、神様。
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