見出し画像

営業組織における会議体のあるべき構成とは?種類・頻度・注意点について解説【管理職必読】

良い営業組織には会議体の設計が重要です。円滑な組織運営における開催すべき会議体や開催頻度、設計する際のポイントや注意点を具体的に説明していきます。効率的な意思決定やコミュニケーションを取り良い営業組織を目指しましょう!

この記事の執筆者
佐志雪乃
株式会社スタジアム 執行役員
2013年同社へ営業として入社。 半年後に約45名の営業マネージャーとして3年間務める。その後、人事へ異動し年間約100名の社員採用を遂行。営業に特化したアウトソーシング事業「SALES PARTNERS」の事業責任者として240名を束ねる。累計約50商材の営業組織を見てきた経験から組織のあり方について執筆。

営業組織における会議体設計の重要性とは?


まず、なぜ営業組織には会議体の設計が必要なのでしょう?正直に言えば、わざわざ皆で時間を合わせて時間を取る行為自体、無駄に感じたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

会議体を設計する方も「ただそこに会議が昔から設置されているので、それを慣わしに継続している。」「メンバーの業績状況を知りたいから会議をしている。」「決めたいことがあるから。」など様々かと思います。

少し前段が長いですが、営業組織における会議体設計の重要性を謳う上で、「営業」と「会議」の役割についてお話させてください!

▶︎「営業」の役割について


この記事を読んでくださっている方には、流石に釈迦に説法すぎますよね。。。売上、営業利益など、決めた数字の目標を達成するためです。何より、この目標の達成は、会社を大きく成長させ、引いては社会に与える影響を大きくさせます。

▶︎「会議」の役割について


「会議」の「議」という漢字の成り立ちを皆さんはご存知でしょうか。「義」は「正しい道」、それを発言する「言」と合わさって「正しい道を求めて発言する」と言う意味があるそうです。

つまり、皆さんが行っている普段の会議の理由は様々かと思いますが、営業組織の会議体を設計する重要性は、結論、「目標を達成する」ために「正しい道を決める」必要があるからです。逆に、この意義を見出せない営業組織における会議体は一旦は優先度を下げてみるなど、見直しても良いかと思います。

営業組織における会議体のメリット


 個々の営業目標を達成するだけでなく、組織として達成する為には会議体の設計は必要です。そんな会議体を設計、運営するメリットとデメリットをお伝えします。

▶︎会議体を正しく運営した時のメリット3つ

①チームの数字を理解した上で自分の行動に落とし込めるようになる。

自分の数字が所属組織にどのようなインパクトを与えているのか直に感じることができ、参加メンバーは組織としてどのように動いているのかという背景を踏まえて、自分の営業活動が出来るようになります。

②自分の考えだけで営業するのではなく、より良い営業方法を共有し合い成果に繋げることが出来る。


 会議体の運営方法によっては、個人で達成するための自分だけのナレッジから、他人でも使えるナレッジに昇華させ組織の中で相乗効果を生むことができます。

③営業組織の全体の風土を創り上げることが出来る。

 達成に対して前向きな風土の組織でありたいですよね!工夫次第で組織風土は創り上げることが出来ます!

▶︎会議体のデメリット2つ

次はデメリットです。

①明確な目的がないと時間の浪費につながる。

 会議参加者全員の時間を使います。無闇に招集するのではなく、目的やアジェンダを整理して時間通りに運営するようにしましょう。後ほど、設計の際の注意点についても説明しますね!

②メリット③の反対に大きな未達成の雰囲気が出てきた時に伝染しやすいというデメリットも。。。

 諦めモードの伝染は早いです。後述しますが、こうならないよう、普段から目標達成に対して前向きな風土を創る”仕掛け”を会議体に散りばめていきましょう!

円滑な組織運営における開催すべき会議体と頻度

 具体的に、営業組織ではどんな会議体を設計すべきなのか、日、週、月、四半期という単位で、実際の会議体例をみながら営業組織を良くしていきましょう!

▶︎日次の会議体

■朝会…
必要時間:15-20分程度
その日一番最初にチーム全員が参加する会議です。その日の目標と動きを共有し、メンバー達がチーム達成の為に迷いなく動けるようにすることがゴールです。また、営業組織の風土創りもポイントに含まれていますので、ぜひじっくり読んでみてください。

・その日の目標(KGI/KPI)の共有
今日はどこに向かって動いているのか、”チームの数字を全員が把握する”ことが大事です。例えば、10人の営業チームに1人の欠勤者がいたとしますよね。1人50件の架電をしなければKPIの達成はできない(=その先にあるKGIの達成も難しい)時に、皆さんならどうするでしょうか。例えば、50件の架電を欠勤者を除く9人で割って、1人55-6件の架電量にし朝会でチームに共有するのはどうでしょう。解決方法はいく通りもありますが、朝会(もしくはそれに代わる何か)がなければ、個々のKPI/KGIをクリアするだけで、チームの達成には届かない確率が高まってしまいます。まずは今日のゴール地点をチーム全員に共有しましょう。

・目標を達成するための打ち手の共有
今日の目標を共有したら、それを達成するための打ち手も伝えましょう。先程の例を続けて考えた時、「ただ架電数+6件/人を伸ばしましょう!」と伝えても、正しく遂行しなければ結果には結びつきません。どのようにして+6件/人伸ばすのか?量にこだわるなら質を担保しつつ推進する方法はどのようにするのか?参加したメンバー全員が、朝会後、すぐに行動に移せるよう、”シンプルに”伝えることが大事です。

・昨日のGOODトピックスの共有
今日の動き方が明確になったら、トピックス系のアジェンダに移ります。昨日のGOOD
トピックスをチーム全体に共有しましょう。もちろん、チーム全体に気づきを与えながら全体のスキルアップを図ることが出来ますが、それ以上に大事なことがあります。良いトピックスを作ったメンバーを称賛し目標に対して前向きな風土を創っていくために必要です。そのトピックの裏には、メンバーのどのような工夫があったのか?どういった課題をどのように解決したのか?ぜひ、インタビューするようにメンバーの口から共有してもらいましょう!

・小ネタの共有
”小ネタ”という表現が正しいか微妙ですが、営業商材の業界にまつわる”ホットなニュース”などを毎日1個ずつ共有していきましょう!出来れば、メンバー達を巻き込み担当制で行なってみてください。これも、スキルアップ目的はもちろんありますが、全員に担当が回ってくるように仕切ることで朝会への当事者意識を持って参加する風土を創ることが出来ます。

以上が朝会の内容です!朝一番ですので、営業組織の朝会は明るく元気よく、張り切って行いましょう!

■夕会…
必要時間:15-20分程度
朝会の対になっている会議で、その日一番最後にチーム全員が参加する会議です。朝会では目標とその達成の仕方がメインになっていましたが、夕会では、それがきちんと遂行でき、目標とした数字を達成出来たかどうかを確認、要因を探ることでPDCAを最短で回すことで達成により近づくことがゴールです。

・その日の目標(KGI/KPI)に対する達成度合いの確認
朝会で共有した数字が達成出来たかどうかの確認をします。まずは、今日あるべきだったKGI/KPIに対する実績を把握します。プラスでもマイナスでも、ここでしっかり”数字”で事実を捉えることが大事です。この事実無しに、課題特定は出来ませんし、課題が特定出来ないということは打ち手も作れない、ということになってしまいますので、とても重要です。

・その日の打ち手になっていた内容を実施し達成出来たかの確認
数字で事実が見えたら、今日の朝会で共有した打ち手がきちんと遂行出来ていたか確認しましょう。出来ていれば、何が良かったのか?出来ていなければ、何が課題だったのか?をメンバーから吸い上げ、問題点を特定し解消します。これが翌日の打ち手にも繋がってきます。

この際、2点大事なことがあります。
①メンバーから意見が出やすいよう、聞く体制を作ること。
詰めているような聞き方や、批判ばかりになってしまうと、メンバーの発言に重要なファクトがあるかもしれないのに、萎縮して話せなくなってしまいます。「なぜそう思ったの?」「どうすれば出来ると思う?」「ぜひ、●●さんの考えを教えて欲しい」といったように発言しやすい雰囲気を作ることがポイントです!

②余分な情報や感情に惑わされず、事実だけを特定すること。
メンバーからの情報は必ずしもシンプルに的を得ている事だけが上がってくるわけではありません。大事なのは”数字的事実”と”その原因”ですが、メンバーが発言する際には、自分を取り巻く状況、感情など様々な情報も混ざってきます。その中で、重要なことだけシンプルに課題設定し、打ち手を打つのは管理者の腕の見せ所ですね!

この2点に注意しながら、課題を特定し打ち手を打っていきましょう!

・不明点の解消
夕会の最後に、時間が余れば、メンバーからの不明点は夕会の場で解消してしまいましょう。不明点が蓄積すると後から取り返しのつかないことが起こることもあります。ここでは聞いても大丈夫、という場所をきちんと作ってあげることでメンバーも聞きやすくなり、他メンバーの勉強にもなります。

■インサイドセールスに特化した営業組織はぜひ”昼会”も!
必要時間:15分程度
朝会と夕会の中間で実施する”昼会”というものもあります。フィールドセールスで現地に出ているとなかなか難しいですが、インサイドセールスに特化したチームはぜひ行いましょう。朝に共有した数字と打ち手の進捗を共有、把握することで、進捗度合いを確認し、打ち手を軌道修正したりより強く推進したりすることが出来ます。

▶︎週次の会議体

■ヨミ会…
必要時間:30分程度
商材難易度によって頻度は変わりますが、ヨミ会というものがあります。
“ヨミ”とは、数字を達成するために顧客の状態を表現したものです。それを正しく把握し、読んで字の如く顧客の状態を”ヨム=読む”ことで達成の確実性をあげるための打ち手を打つことをヨミ会と言います。

★ヨミ会で使える便利な言葉
営業チームごとに様々な言葉とその定義が存在しますが、もし、ヨミ会が初めての方がいらっしゃったら参考にしてみてください。

・Aヨミ…その月にKGIにカウントできる確度が90%以上の顧客。主に、稟議が通っており、申込書待ちの状態。
・Bヨミ…その月にKGIにカウントできる確度が70%以上の顧客。主に、意思決定者が賛成しており、稟議待ちの状態。
・Cヨミ…その月にKGIにカウントできる確度が40%以上の顧客。主に、担当者と会話しており、受注に至れるかは不明な状態。
・残アポ…その月に未消化で残っているアポイントの数。自分の決定率を掛け算+回収リードタイムを考慮することで、現在のA-Cヨミ以外に、どれだけヨミが増えるかを確認する為に必要。
・着地…これはかなり難しい概念だとは思うのですが、一応説明しますね。”その月の最終営業日にKGIにカウントしている上振れも下振れもしない数字”のことです。これを個人、組織単位で正しく読めるようになると、残営業日で何をどれだけすれば良いかが明確になりやすくなります。

これらのヨミをメンバーごとに確認しながら、受注に至る確度が高くなるよう、ネクストアクションを決めていきます。例えば、メンバー達は顧客の都合(忙しい、後回し)に流されやすいところがあります。
これを、ヨミ会を運営する皆さんがしっかりと、
・いつ
・顧客に
・何を
・どうするのか
ネクストアクションをアドバイスしていくことで、達成に向けての動きを決めていきます。ちなみに、ネクストアクションは後から確認出来るように、必ず議事録を取ってくださいね!

▶︎月次の会議体

■月次キックオフ…
必要時間:1-2時間程度
呼び名はいくつかあるかと思いますが、営業組織を束ねるみなさんは月に一度、全メンバーを揃えてキックオフを行いましょう。キックオフのゴールは、「その月にの営業目標を達成するための行動が明確になりすぐに動き出せる」ことにあります。そのために必要なアジェンダを仕切って運営しましょう。
★キックオフの具体的な内容
月単位で営業組織の
・前月営業の結果を振り返り
・課題を特定
・当月の目標と
・達成するための打ち手を共有(そのための体制なども含む)
 議論をする会議というよりは、話者のプレゼン方式で行われるため、参加メンバーの当事者意識を上げたい時はワークなども取り入れてみるといいでしょう。キックオフの内容に則したお題でワークし、チームに別れてディスカッションすると、メンバーの考えや理解度が見えてきます。

▶︎四半期の会議体


■クォーターキックオフ…
必要時間:2時間程度
こちらはチームやグループよりも大きな部単位で行うことが多いです。いつも目の前の数字を追いかけるためのキックオフですが、もっと視野広く高い目線で事業を見た際に、現在地がどこにあるのか、自分たちの営業の成果がどのようなところに繋がっていて、どんな事業背景でこの活動をする必要があるのか根底から全員が理解を深めることで組織を推進します。

★おまけ


■よもやま会…
必要時間:30分程度(週に1回〜2回)
新規事業や、新しい営業チームの立ち上げ時など、やり方を模索することが多い場合に行います。リーダー同士で相談したいことが山積み、一度立ち止まって確認したい、他のチームではどのようにしているのか知りたい、もっと良い方法を思いついた!など内容は様々です。もちろん、アジェンダがなければ無理に実施する必要はありません。

会議体の設計時に注意すべき点とは?

これまでの説明の通り、上から順番に会議体を運営していくことも出来ますが、まずは全体像を設計してからにしましょう!設計におけるポイントを7つに分けて見ました!

▶︎日時・場所を明確にする

みなさんの営業組織にはタイムスケジュール表はありますか?
例えば、9:00-18:00が勤務時間なら、
・何時に
・誰が参加すべき
・何を目的にした
・何を用意しなければならない会議があるのか
1週間のタイムスケジュール表になるように作成してみましょう。

▶︎目的とアジェンダを明確にする


上記のタイムテーブル表に目的を整理し、その会議のアジェンダを明確にすることで、会議の内容がふわっと終わらないようにしましょう。

▶︎会議の名前を決める

これ、結構重要です。営業組織においてこんな会議体を運営するといいですよ、という例を先ほど話しましたが、会議の目的と内容が決まったら、それに合った名前を決めてみてください!例えば、私が運営している会議体では、事業の戦略の進捗を確認し推進する会議は「●●(事業部名)戦略定例」と言っていたりします。かなり堅い例を出してしまいましたが。。。(笑)目的を表現し、こういう会議でありたい!という強い想いが込められていれば、なんでもOKですので自由に考えてみてくださいね!名前が出来ると、組織の中で通称になり、愛着が沸き、(会議にこめた意思は)その営業組織の風土として根付いていきます。それは組織を強くするための第一歩ですので、蔑ろにせずぜひ向き合ってみてください!

▶︎進行役・議事録担当・タイムキーパーを決める


①進行役
スムーズな運営の為に、誰が進行するのかあらかじめ決めておきましょう。

②議事録担当
会議を行うときは、議事録を必ず取るようにしましょう。決まったことを忘れないよう、タスク化して追っていきます。

③タイムキーパー
会議の時間配分を忘れてはいけません。議論は白熱するとついつい伸びがちです。タイムキーパー役を必ず作りましょう。先日私も、いつもこの会議時間内に終わらないな、とイライラしていたところ(笑)、タイムキーパーがいなかった!と気がつきました。。。当たり前のことすぎて忘れがちなポイントです!

▶︎会議内で意思決定を行う


不透明な意思決定はメンバーからの不信感に繋がります。一度会議内のアジェンダに上げたものは、その会議内でのプロセスも含めて意思決定ということを忘れないようにしましょう。気がついたら知らないところで意思決定されていた、明らかにロジカルじゃない圧力がかかっていた、など不自然な組織運営が無いようにしたいものです。

▶︎会議のための資料や事前準備を極力増やさない

これはとても大事ですね。準備には本気で取り組むべきですが、不必要に”会議のための会議”などが生まれないようにする、ポイントが大きく2つあります。

①フォーマットを用意すること
同じ粒度、論点で議論が出来るよう、フォーマットを必ず用意しましょう。自由フォーマットを作成することでスキルが身に付くときもありますが、見せ方で誤魔化すメンバーが出てきたり、議論の論点が定まらない会議になってしまう可能性が高くなります。会議は1人では出来ないからこそ、多くのメンバーが参加しても一番効率よく組織運営することが大切です。

②論点を整理しておくこと
営業組織における会議のゴールは、「目標を達成するために正しい道を決める」ことにあります。

★下記の点だけ押さえておけば会議の論点がズレることが少なくなります。
・目標と実績、その差分
・乖離の原因
・課題と打ち手
営業組織によって議論したいことは他にもあるかと思いますが、これだけはフォーマットで押さえるようにしてみましょう。

▶︎会議時間内で終わらせること


これも大事なことですね。時間が許すとつい長くなってしまいます。議論が長くなって疲弊した脳で出したアイデアはあまり良いもので無いことが多いです。ダラダラと会議を運営するよりもスパッと時間内に終わらせるようにしましょう。タイムキーパーを決めて運営しましょうと伝えましたが、やはりこちらは重役です!

会議体を正しく設計して、円滑な営業組織運営を進めましょう

いかがでしたでしょうか。これが正解!というわけでなく、営業組織ごとに、必要な会議体の設計は異なるかと思います。ただ、あれもこれも決まってない、あっちもこっちも不安、という状態になると会議は多くなり、議論はどうしても長引きがちです。改めて自分の営業組織を見直した際に、「目標達成のために正しい道を決める」運営になっているか、振り返ってみるのも良いかもしれませんね!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?