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江部航平
2024年7月5日 12:45
十月も半ばを過ぎていた。〈4分ほどお待ちください〉とアナウンスが流れ、彼は窓の向こうに目をやった。電車は成午海岸で停車していた。そこには人気のない風景が広がっていて、伸び放題の草木に、トタン張りの小屋みたいなたばこ屋、その奥に見える竹林には霧が立ち込めていた。朝の五時、外はまだ夜と朝の混じるせいで青白い。 霧の中に向かって女の子がひとり、歩いて行くのが見えた。形のいいショートヘアに黒のレザージ
2024年2月18日 21:04
ミスター・スーツサットのヘルメットの中身は誰も知らない。中にあるのは隕石かもしれないし、宇宙の神秘的物質かもしれないし、あたまかもしれない。……