後輩を育てるために心がけていること〜なぜ若い人が辞めていくのか


■新社会人になった時の所信表明


私が新卒で電通テック(現:電通プロモーションプラス)に入社した時、
同期は44名いました。

その時に、同期全員の前で1人ずつ、所信表明的なことを喋るというのがあったのですが、 私は「愛社精神とホスピタリティを大事にしたいです!」と話したことを覚えています。

当時、電通テックの採用倍率は非常に高く、確か4000分の1とかだった気がします。 広告会社志望でしたが、電通テックという大きな制作会社に入れたこと。広告業界に身を置けることは、とてもワクワクしました。

念願の会社に入社できたという意味で「愛社精神」という言葉を使ったのかなと思いますが、 いま振り返ると、大学時代のアルバイト先だった「串八」の存在が大きかったです。

串八の社長や店長、そしてそこで働く人たちが純粋に好きで、その人たちが笑ってくれるために、しんどいバイトでも全然苦じゃなかった。

だから、同じように電通テックという会社も好きになることが、 一番自分が理想的に働けるのだと思ったからです。

ちなみに、この「愛社精神」という言葉、かなり古めかしいと思います。
転職が当たり前のこの時代に逆行しているかもですが、
自分はこの言葉が大好きで、いまでもそう思っています。


■後輩を育てるために心がけていること


ここからが本題です。

「後輩を育てるために」というのはちょっとおこがましいですが、
私がこの点に対して、心がけていることを書いてみようかと思います。

もちろん、私も完璧にできていませんので、
自分の中での整理と、改めて自戒の念も込めて。


① 周りの環境や会社の文句を言わない。


これ、一切言わないってことではなく、会社で働く人たちの前で言わないってことです。
愚痴は、全然関係のない人にだけ言います笑

当然、嫌なことはたくさんあります。
でも、当時ずっと愚痴を聞かされていた時、常に疑問に思っていました。

「だったら、会社辞めればいいじゃん」

もしくは、

「だったら、環境や会社を変えるために何か動けばいいじゃん」

それできないんだったら、言うなよと。

前述した通り、自分は「愛社精神」を大事にしたいと思っていただけに、
入社して、まわりから聞く会社への悪口に辟易していました。
だって、自分がいる会社の評判を自ら貶めてどうするの?と。

誰も得しないし、結局、そこ選んで入社した自分の責任じゃんと。

また、給料のことでの文句もよく聞きましたが、
これについても、一切言わない。
というか自分は給与明細を、ほぼみたことすらありませんでした。

そもそも、自己肯定感が低い自分にとって給料はもらえるだけありがたい。
文句をいうってことは、生活レベルがそれに見合ってないだけだと思っていたので、 それも自分の責任だし、自分の価値は、その給料の分でしかない。

少し言い方がキツくなってしまいましたが、
文句や悪口ってパワーがあるから、すごい周りに伝染するんですよね。。

なので、ここはまず意識しています。後輩の前では特に。
ポジティブなことなら全然OK。嘘でも。

まずは、会社のことを愛せるように、いいところを客観的に探す。
絶対にあるはずなので。

あと、周りのせいにして、正論だけを言う人

環境のせいにするのは楽だし、正論は気持ちよくなるんですよね。
でも、口ばっかりでこの業界の不条理さはずっと変わってないし(全部ではないですが) 誰かがやらなきゃ変わらないっていう気持ちがあります。

なので、このnoteもそうですが、やっぱりアクションをしていかないと。
ただの口ばっかり君になってはダメだなと。
ここは特に自戒の意味をこめて。。

② まず感謝を先に。


①と被る部分もありますが、会社のことじゃなく、人のことに置き換えて。
先輩・後輩の悪口、陰口ばっかり言う人にならないということ。

いつも疑問に思っていたのは、助かっていることに対しては言わないのに、ダメなところや迷惑をかけられたことに対してだけ、いつも話題にする。

「じゃああなた1人でやれたの?その仕事は。」

まずは感謝でしょうと。
その人がいて1%でも助かっていることがあれば、99%がダメでも、迷惑かけられても文句はいえない。感謝でしょ。まずは。

もちろん、ダメな上司や仕事のできない後輩のせいで、自分が苦労することは普通にありますし、イラつきもしますが、その時に「ひとりでやるよりは助かっている」という意識を常にもつことが大事だと思っています。

これも、愚痴を言うのは仕方ないのですが、最後に「でも、〇〇がいて助かってるところもあるんだよなー」と一言添えるだけで全然違う。

あと、よく知らない人のことを悪く言うのも苦手です。

みんな噂話が好きなので、悪い噂ってすぐに広まります。
笑い話に見えても、ネガティブなことは伝染しやすい。
でも、結局それは誰も幸せにしてないですよね、、

自分のことで特によく聞くのが「キープロは高い!」という話ですが、、
それはまた別の機会に詳しく書きます。
あくまで、悪い噂です(笑)


③ 部会を隔週で開く。


いきなり具体的な話になりますが。

これは、案外できてない人(部長)が周りに多かったのですが、
ただ単に部会を開いて連絡事項を言うだけではなく、そこで部員たちにプレゼンをする機会を必ず作るということを意識しています。

キープロでも、部会(全社会ですが、あえて部会という名前にしています)を月2で必ずやります。
そこでは、各人持ち回りで、以下のことをやっています。

・完成試写会(PMができた映像に対して、良かった点と悪かった点を話す)
・オススメの差し入れプレゼン(実際にみんなで食べる)
・新規事業のアイディアプレゼン
・美味しかったレストランの紹介
・好きな映画(映像)とその理由

社員がだしてくれた新規事業のアイディア例


前会社では、部単位でこれらをやっていましたし、「休日おしえてーな」というタイトルで、休みの日に何をしているのかを自分で映像をつくるコンペみたいなことをやったこともあります。一番面白かった人に自腹で10万円だしていました。

要は、自ら発言する機会を増やすこと。
自分がこの会社や部の一員であることを認識させること。

まわりの部との比較ができた前会社では、どんどん面白いことをやるようにしていました。
部員全員の似顔絵イラストを外注して、オリジナルのペットボトルを配ったりもしました。

会社や環境が変わらないのなら、せめて部単位で変えることはできると思います。 なんか城殿部って楽しそう!って思わせるための施策を。

部会で後輩からお勧めされたレストランに実際行って、感想をその後輩に伝えた時、すごい喜んでくれました。
結局こんな些細なことでいいんだと思います。

④ 目標設定・評価を具体的かつユニークに。


各社、目標設定シート的なものがあると思います。

これ、自分は大嫌いでした。

とにかく、作文が面倒くさいし時間がかかるのと、なにより「自分はいかにやったぜ!」的な、自分で自分をよく見せることがとても嫌だったのです。
なぜなら、評価はまわりと数字が決めるものだから。

キープロでは、目標設定をプルダウンで選べるようにしています。
その後、半期に一度、自分と面接をしてその目標の達成度を会話するのですが、 それを「ビンゴ面談」と呼んでいます。

KEY pro 目標設定シート(1年目社員の例)

達成した目標に対して、自己判断で達成したかどうかを潰していき、
ビンゴが達成できたら、1列につき決まった金額をボーナスとして支給しています。 そして自己判断な分、目標はとても具体的にしています。

さらに、この項目にはプライベートな目標もごちゃまぜにしていることも特徴です。 例えば、「月に映画を1本以上みる!」とか「5kg痩せる!」みたいなことです。

これは弊社みたいな、小さな会社だからできることかもですが、
これで会話も生まれれますし、判断基準が明確になることも良い点だと思っています。


■なぜ若い人がやめていくのか。


「愛情を注ぐ」

超普通のことですし、よく言われていることなんですが、
人が辞めないために、これに勝るものはないと思います。

仕事が忙しいとか、つまらないという理由で辞めていくことを、
プロダクションの仕事の性質のせいにしない。
環境のせいにしないということ。

広告業界をキラキラするためにという大名目でこのnoteを始めました。
そして、今まで広告業界のおかしなところも書いてきました。

でも、それが理由で辞めちゃった。ということで済ましてはいけないというか、 、
なんだかんだ、その人のやりがいを持たせられなかったり、居場所を作れなかったのは、上司からの愛情が足りなかったからじゃないでしょうか。

先日、いつもお仕事をご一緒させて頂いている篠原誠CDに
なぜ若い人がプロダクションを辞めていくのか、原因を聞いてみました。

「プロダクションには、モチベーターが少ない」

ということを仰っていました。

篠原さんも自分の部を持った時に、「この部イケてるな」と思われるように意識していたと言っていました。まさに、後輩のモチベーションをどうやって上げられるかは、もっと真剣に考えていかないといけないと思います。

そして、もっと広くできるなら、
「この会社イケてるな」

さらに究極的には
「この業界イケてるな」

こうなれば、きっと辞めていく人も減っていくと思います。
愛社精神、悪くないと思いませんか?笑

そのためにも、環境や会社や制度のせいにするのではなく、まずできることからやってみる。
なぜなら、環境や会社を変えるのは時間と労力がとてもかかるから。
そんなことをあーでもないと考えてるうちに、時間切れで辞めていきます。

本当はもっと簡単に、すぐにできることがあるはずなのに。
まずは上司ができる限りのことをやってから、周りや会社の文句を言ってほしいと思います。。

1人でも、この部が好き。この会社が好き。という人を増やすことが、
業界を変える近道になると思っています。


■おわりに


人を育てるというのは、本当に大変だと思います。

そもそも、私も誰かから丁寧に教わったという時代ではなく、
「背中をみて、学べ!」的な時代だったので。

教えられることは、自分がやってきたことを伝えることしかできないし、 それが必ずしも正解ではないとも思います。
だから曖昧な方法論よりも、間違いがない愛情を前面に出していくことが大事なのかなと。

いま流行りの「パーパス経営」という視点。
結局、人が会社をつくるという点で、会社の理念に共感を持ってもらう=愛社精神という 実は原点回帰ではないのかなと思ったりします。

あと、別に会社を辞めることは自体は悪いことじゃないですし、
自分も辞めています。

「会社が嫌だから辞める」
「会社は大好きだけど辞める」

やっぱり、後者のようにポジティブに。
自己実現のために今の会社をステップアップとして考えられる方が、なんかいい業界に見えると思うんです。

これから5年後、10年後の弊社がどうなっていくか。
そして広告業界がどうなっていくかは、若い人たちにかかっています。

ワクワクしますが、答え合わせはだいぶ先になります。
これも経営の楽しさだと思って、いま自分が抱えているプレッシャーを誤魔化して頑張っています笑

結局長々となってしまいました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!

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