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自分をいちばん知らないのは【強く生きる言葉】

たとえば、一日中忙しくて、
化粧室に行くゆとりもなく仕事をしていて

夕方ようやくのぞいた化粧室の鏡に
黒いクマのようなマスカラのにじみが、
下まぶたにべったりついていた時

「一体自分は、
いつからこの顔で生きてきたのだろう」と
激しく動揺し、絶望し、
そのあと人は思い知るのだ。

自分をいちばん知らないのは、
なるほど自分なのだと。



本 —読書人の雑誌  2009.3月号
「たかが服、されど服」より
齋藤薫



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