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すばらしき世界
しなければならないことが一つあったのだけど
どうにも身体がだるいし
鼻水も止まらないので予定は断念した。
無性にポテトチップスが食べたくなったので
部屋着のまま近所のドラックストアへ。
塩味、のり塩、ピザポテト、オーザックを購入し帰宅。
ポテトチップス(塩)をつまみつつ
物足りなくなったので
久しぶりに家で映画を観ることにした。
定期的に映画を観ていると
なんとなく自分が好きそうな雰囲気の作品がわかってくるものだな。
選んだのは
『ノマドランド』。
劇中の音楽がすごくよかったし、
空のシーンがとても綺麗だった。
Oltremare (Divenire) - LUDOVICO EINAUDI
人生の中で
人間が当たり前に乗り越えられるんだろうと思っていたことが自分ごとになった途端
こんなに辛くややこしく、答えがないものだったのかと愕然とすることがある。
進学、失恋、離婚、死別、怪我、病気、親になること、働くこと、
みんなみんな平気な顔して
乗り越えて生きているように見えるのに
全然違うじゃん、って。
歌を聴き、この人もあの辛さを味わったのか、
それでちゃんと生きているのか、とか
本を読み、この人はあの悲しみを味わったのか、それでちゃんと生きているのか、とか。
気づいたときの驚きと言ったらない。
ノマドの多くは私のような年寄りだ。
誰もが悲しみや喪失感を抱えていて
乗り越えられずにいる。でもそれでいいんだ。当然だ。
今度観ようと思っている映画のなかに
『瞳をとじて』があるが、
予告動画で
「彼が克服できなかった最悪の問題は老いだ」というセリフがあった。
みんなが平気に乗り越え受け入れているように見えることの代名詞である現象”老い”に対し、真っ当につまづいている人もいるのだと私は少しホッとしたし、絶対この映画を観るぞと思った。
観終わったら少し疲れた。
横になったらあっという間に爆睡していた。
でも起きたってまだ16時。
早起きのいいところはこういうとこ。
1日がまだある。
2本目は
『すばらしき世界』
序盤で『ケーキの切れない少年たち』を思い出した。
PERFECT DAYSの平山さんと
すばらしき世界の三上さん
そして私の違いってなんだろう。
たまたま(と私たちは思っているが)
生まれた場所がちがった。それだけじゃないか?
三上さんの過去(ヤクザ、前科あり)を踏まえ
迎え入れてくれた就職先の介護施設で
軽度の知的障害をもつスタッフを
別のスタッフが悪質にからかっていたシーン。
三上が生きることを決めた普通の世界は
こういうことで溢れているんだよなと思った。
いかに心を殺し
自分と他者を切り離し、無情に自分を守るか。
人間性を神に試されているのか?と
問いただしたくなるようなことは多々起きる。
”普通に”生きていくとはそういうことでもある。
私たちはいい加減に生きているのよ
本当に必要なもの以外は
切り捨てて行かないと自分の身は守れない。
全てにかかわっていけるほど人間は強くないんだ。
軽度の知的障害をもつスタッフをからかっている彼らを、三上は頭の中でボコボコにしている。目の前には裁ち鋏もある。
でも彼は普通に生きていくため
みんなと一緒になって笑った。
三上は神からの問いかけに対して
そっぽを向いたのかもしれない。
私もそっぽを向いたことがたくさんある。
たくさんあるし、だからこうして「普通に」生活できているのだと思う。
はじめは三上で一儲けしようと近づいてきた記者役の太賀がだんだんと打ち解けて
三上のことを好きになっていくのがよかったし、
温泉で三上さんの背中を洗い流すシーンすごく好きだった。
食っちゃ寝の2日間。
おかげで鼻水は止まった。
たっぷりとゴロゴロできてよかったかもしれない。
明日からまたぼちぼち行きますか。
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