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人それぞれの地獄

人それぞれの地獄がある。
つい人と比べがちなこの地獄。

あなたにはそれがあるから良いじゃない、
私なんてね
つい言いそうになる。

あなたより私の地獄の方がもっと辛いのよ、
きついのよ。
そう言いたいくなる。

私に比べたらあなたの地獄なんて
可愛いものね。
そんなふうに思いそうになる。


あなたは私になれないし
私はあなたにはなれないから
その地獄が深かろうが浅かろうが

広かろうが狭かろうが、
その炎が強かろうが弱かろうが
他人様の地獄を感じることはできない。

だからだろうか
大人になればなるほど、
つらければつらいほど

自分の痛みや苦しみを他人様には
軽はずみに話さなくなる。
言えば角が立つし、
愚痴になる。

ひとたび聞いてしまえば
そんなつもりがなくても
つい、口をついて出そうになる
「わたしだってね」。



あなたの地獄はあなただけのもので
私の地獄は私だけのもの。

あなたの地獄と私の地獄を
シェアすることはできないけど、
みんな必ず地獄を持っているのだからと思えば

「地獄を持つもの同士、
よろしくやろうじゃないか」と
達観できたりもしないだろうか。


あなたはその地獄の烈火を
どんなふうになだめ、生きていたのですか?
今は亡き住人たちに聞いてみたい。


あなたはその地獄の烈火を
どんなふうになだめ、生きていくのですか。
今を生きる仲間たちに、本当は聞いてみたい。


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