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【短編】新橋とウサギ


わたしは毎朝、母からもらったウサギのストラップを
カバンにぶら下げて新橋にある会社に向かいます。


ウサギはわたしが大好きで、いつも一緒に行動します。


ウサギはわたしの仕事や生活について
色々なことを想像しています。


わたしはデザイナーとして働いており
今日は重要な取引先のためにロゴを提案する予定です。


わたしは会社に着いて、カバンを机に置きます。
ウサギはわたしがパソコンでロゴを作っているのを見て
感心します。


ウサギはわたしが素敵なデザインを作ることを期待しています。

しかし、わたしは取引先からの要望が多くて苦労しています。


ウサギはわたしが疲れているのを感じて、励まそうとしますが
声が聞こえません。ウサギはわたしが成功するように祈ります。


午後になって、わたしはロゴの提案を持って会議室に向かいます。
ウサギはカバンの中からわたしの姿を見失ってしまいます。

ウサギは不安になりますが、わたしが頑張っていると信じます。
しかし、しばらくして、わたしは泣きそうな顔で戻ってきます。

ウサギは何があったのかと心配します。
わたしはカバンの中に入っているウサギに話しかけます。


「ごめんね、ロゴの提案が取引先に気に入られなかったの。もう一度作り直さなきゃいけないんだ。わたし、ダメなデザイナーだよ」

ウサギはわたしの悲しみを共感して、涙がこぼれるのを感じます。
ウサギはわたしを慰めたいですが、何もできません。

しかし、そのとき、カバンの中から母からの手紙を見つけます。手紙には

「体を大切に無理しないで辛かったらいつでも帰っておいで。
 あなたは私の誇りです。愛する娘へ」

と書いてあります。
ウサギは手紙を持ち上げて、カバンの口元に置きます。

すると、わたしはカバンを持って帰ろうとして
ウサギの手に挟まった手紙に目が留まります。

わたしは手紙を取って読みます。

そして、母からの愛情を感じて、涙を流しながら笑顔になります。

「ありがとう、お母さん。私、もう一度頑張ろう」


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