小さな町の住人

ある小さな町に住む一人の住人です。 小さなつぶやきを残したいと思います。

小さな町の住人

ある小さな町に住む一人の住人です。 小さなつぶやきを残したいと思います。

最近の記事

真実 4th

それから数日が経つ。 千羽鶴はなかなか完成しない。 それでも祈りを込めており続ける。 これも運命なのか、運命は従わなければ行けないものなのか。そもそも運命とはなんなのか。 よく、自分の人生は自分で選択しろと言う人がいる。 確かに自分の人生だから自分で決めなければならない。 でも、その人生の途中で起こる出来事に対して、一旦受け止めてから決断していく。 そんなに簡単に決断はできる人間はいないだろう。 人生は自分の運命を受け入れながら進んでいく、さらに究極の選択をし続けて

    • 真実 3rd

      頭がぼーとしていた。 昨夜から何か出来る事はないかとずっと考えている。 でも、何もしてあげる事が見つからないまま一日を過ごしてしまった。 それから何日か過ごしていた。 ふと思う。 何もしてあげられないなら祈りを捧げようと。 それから私は千羽鶴を作り祈りを込める事にした。毎日、毎日、おりがみで鶴を折る。祈りを込めて。

      • 真実 2nd

        先日、久しぶりに友人に会った。 いつもの最近の近況報告から始まる、が思いもよらない報告を聞く事になった。 娘さんが小児ガンになってしまったと。 私は体が震えた。 赤ちゃんの頃から知ってるので、どうして。と何度も何度も心の中で繰り返していた。 なんとか助かってほしいと願いながら話しをしていた。 慰める言葉がなかなか見つからず、早く良くなって帰って来てほしい事を伝えた。 その晩はその事が頭から離れず、なかなか眠る事もできないまま朝を迎えた。

        • 真実 1st

          それは突然の出来事で、とても切なくなった。 まさか、自分以外のこんな身近な人がこんな事になっているとも知らず。 どうしようもない悲しみに包まれ、1日中その事が頭から離れなかった。 この悲しい出来事で周りの人の人生までも変えてしまうのではないかと心配になる。 私の病名は舌癌だった。 まだ初期の段階だったので、心配はないそうだ。 何故、同じ腫瘍なのに良性と悪性があるのか。 それにより、色々な事に影響してくる。 私も、悪性だったらと思うと、正直怖い。

          手術 6th

          それから数日経ったある日、信じられない事実を知ってしまう。 まさか。 end     読んで頂きありがとうございました。 続きは次作「真実」にて、掲載させて頂きます。

          手術 5th

          次の日も痛みは残る。 やはり食事は薄味で柔らかいものにしないとダメだ。仕方なく、おかゆを食べお腹を満たす。 今日は仕事も行くので、少し食べられそうなものを持って出かけた。 やはり、お腹は空く。 空腹時に食べれるものも難しく、とりあえずは我慢。 お昼も食べれそうなものを食べ始めたが、かなり時間がかかった。 早く普通にご飯が食べたいと願ってしまった。 帰宅後やはりお腹はペコペコなので、何か食べれるものはないかと探す。 夕飯前に少し食べたので、夕飯はゆっくり軽めに食べ

          手術 4th

          目が覚めたので、顔を洗い、昨夜はお風呂も入れなかったので、頭も洗った。 さっぱりして、痛みを忘れる。 あと何日経てば痛みが治るだろうと思い憂鬱になった。 それでもお腹は空いていたので、おかゆを食べた。少しは食べれそうだ。 夜は少し痛みが引いてきたので、味をつけた豆腐を食べた。 美味しい。 なんて、味があるものは美味しいのだろう。 たかが2日ほど食べなかっただけなのに。 こんなに美味しく感じるのだから。 食べれることの幸せを感じながら、普通の食事を取ってみた。少しだが食

          手術 3rd

          少しは眠る事が出来たが鎮痛剤が切れると目が覚めた。 まだ、夜中の3時だった。また、鎮痛剤を飲み布団に潜る。 地味にジンジンとした痛みに襲われる。 薬が効いたのかいつの間にか寝てしまっていた。 アラームが鳴り、起きて夫と子供の弁当を作らねばと。憂鬱に思いながら起きる。 自分は食べれないのに、作るのはとても苦だ。 今日はメニューも決めていなかったし、味見も出来ないので、チルド食品で賄う事にした。 お弁当作り終了。 さぁ、朝ごはん。また憂鬱になる。 いつも通り、味噌

          手術 2nd

          やはり、思った以上に痛い。 術後の痛みは経験しないとわからない痛みだ。 その日は何も食べれず、1日中寝ていた。 久しぶりにたくさん寝た気がする。 毎日忙しい日々を送るので、だいたい睡眠時間は6時間と決まってしまう。 元気な時に1日休みがあったら、こんなにベッドの中でゴロゴロしていない、と思うともったいない気もした。 でも今日は痛みに耐えなければいけないので、鎮痛剤を飲んでゆっくり休もう。 翌朝、やっぱり痛みが残っているせいで、目が覚める。 この痛みはいつまで続くの

          手術 1st

          手術が終わった。 手術を受ける機会は人生で何度あるだろうか。 そのほとんどが初めてではないだろうか。 人生で手術を経験しない人はどのくらいいるだろうか。羨ましく思う。 手術の1週間前から緊張し、眠れない。 前回の時からもう何年経つだろうか。 30年だ。 それは緊張しないわけがない。 あの感覚は忘れる事はない。 なんて、嫌だろうか。 例えようの無い感覚だ。 全てを病院のスタッフに委ねる。 何をされるかわからない恐怖。 それをまた、経験する事になるとは思ってもみなかった。

          人生 5th

          そして、母が退院した。 兄弟でほっとしたことは間違いない。 母が帰って来てからもたまにはご飯を作ろうと兄と話をした。 妹も作りたいようなので、手伝いをさせることにした。 料理を作る順番も決め、兄→弟→兄→弟 ※妹は補助。 今回も2番目だが、なんだか違う気分になった。 誰かのための2番目なら悪い気はしないのかもと。 2番目だから、なんで2番目なのか? なぜ、そんな事を気にしていたのかと、不思議に思う。 今はそれは運命だと素直に受け止めることができる。 実は順番なんて関

          人生 4th

          そんな日々を送っていたある日、母が倒れた。 母は妹が4年生になった頃からパートへ行っていた。 毎日、朝から晩まで働き詰であった。 病院の診断は過労という事であった。 しばらく休養した方がいいとお医者さんから言われた。 その日から、兄と二人でご飯を担当する事になる。 その他は父がする。 兄と四苦八苦しながらご飯を作る。 今まで調理実習くらいしか包丁を握ったことは無かったが、やってみると意外とうまく出来た。 調理実習で作ったことがある物から作っていった。 カレーライス。ポテ

          人生 3rd

          中学になると、兄からのお下がりは無くなった。 勉強も2学年違うので、親からもあまり干渉されなくなり、部活も兄とは違うので、2番目だからということは少なくなった。 家に帰ると、まだ妹は小学生で兄よりは自分が年齢が近いというだけで、面倒をみる事が多い。 更に兄は受験生であるがゆえ、優遇されている。 家ではまだ、2番目という役目が続いている。 しかし、2番目だから良いということも少しはある気がする。 例えば、兄と妹は親からの目が厳しいというか、気にされているので、いつも何が

          人生 2nd

          彼は2歳上の兄がいて、3歳年下の妹がいる。 どこにでもいそうな兄弟だ。 父はサラリーマン。母は専業主婦。 裕福な家庭ではなかったので、だいたい兄のお下がりを使う日々だった。 彼が6歳になるころ、ふと彼は思う。何故自分が2番目なのかと。 なぜ、2番目の宿命は変えられないのかと。 いつも兄が1番先で、次が自分ならまだいいとしよう。 でも、自分より先に妹はおやつをもらう。 なぜ自分は2番目ではないのかと。 2番目でも腑に落ちないのに、3番目なんて。 と思う日々が続く。 そ

          人生 1st

          人生とはなんだろう。 だいたいの人は考えた事があるだろう。 人には人生の選択や岐路が訪れる。その時、どうするかによって人生が進んでいく。そんなあるひとりの男の話である。 男はとある町に生まれた。 ごく平凡な家庭に生まれた男。 生まれたときすでに2番目という運命を背負う。 2番目は2番目なりの生き方がある。 そんな運命を背負いすくすく育つのである。 3歳になったころさらに更に運命が変わる。 妹が生まれた。 ここまでは、引かれた線路を辿るほかない。 ここからが彼の

          レター

          B子の家からの帰り道、友人と話しながら帰宅した。 世の中には不思議なことがあるんだなと思った。 友人は何故自分に連絡が来たか腑に落ちない様子だったが、今日は疲れたし帰ろうと言って別れた。 そして、数日が経った頃友人から連絡があった。 B子本人から連絡があったと。 なんて言ってた?って聞くと、 ありがとう。って言って電話は切れたそうだ。 そして、それから1年後、私の元に1通の手紙が届いた。 それはB子からの手紙だった。 そこには「ありがとう」と書かれていた。