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【2024発明工夫展への道】その3:従来製品のリサーチ (後半)

最初に,前回の記事 その2:従来製品のリサーチ (前半) の内容に誤りがあったので訂正したい。

タイプ3(カバー付きペーパーホルダ,T社の製品)の説明で,「現用ロールが紙切れにならないうちにレバーを下げると問題が起きるかも」と述べた。しかし,それは私の誤解だった。

正しくは「現用ロールが紙切れにならないとレバーが下げられない構造になっており,盗難防止と両減りょうべり防止(2つのロールの紙が同時に減ることがない)を兼ね備えている」というすぐれもの。詳しくはこちら(T社のHP)おそるべし,トイレ用品トップメーカーの技術力!

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今回は市販製品の調査の後半で,前回の記事の後で新たに目撃したものとネット検索で見つけたものを紹介し,最後に全体をまとめる。

【タイプ4】カバー付きペーパーホルダ

その2で紹介したタイプ2(2連ホルダ)の一方にカバーを付けて両減り防止としたもの。

下の写真は高速道路(サービスエリア)のトイレで見かけた。左側の予備ロールがカバーで覆われており普段は使用できない。右側の現用ロールがなくなった後に,スリットに指を入れて予備ロールを横にスライドさせる。

タイプ4:カバー付きペーパーホルダ
左半分がカバーで覆われた予備ロール
右の現用ロールがなくなるとスリットに指を入れて予備ロールを横に移動させる

横にスライドできるのは,現用ロールの芯棒の左端がオープンになっているから。ただし,このタイプは芯(厚紙)のないロールしか使えない(芯が残るとスライドできなくなるため)。

ロールの移動が手動操作のため,子供(特に幼児)が操作できない可能性がある。また,左の予備スペースが空のとき,右の現用ロールを左へ戻す(イタズラされる)と使えなくなる可能性がある(芯の位置がずれてしまう)。

このタイプはカバーを横方向(または縦方向)に拡張すると,簡単に予備ロールを増やすことができる。そのような製品(予備ロール数=4など)が既に市販されている。

【タイプ5】フルカバー&スライド窓付きペーパーホルダ

下のイラストのように2連ホルダ全体をケースで覆い,紙を取り出すための窓(スリット)が付いている。

タイプ5:フルカバー&スライド窓付きペーパーホルダ
2連ホルダ全体をケースで覆うことで盗難を防止する
左右にスライドする窓カバーでロールを選択する

その窓には左右にスライドするカバー(ロール1個分の幅)が付いている。中身は2連ホルダだが,カバーのせいで外からは1個のロールしか見えないようになっている。

このタイプはロールが固定されているので芯の有無に制限はない。ただし,両減りの可能性は残る(故意あるいは誤ってカバーをスライドさせた場合)。

ホルダ全体を覆う構造のため材料が増え,サイズも大きくなりがち。部品数も増える(芯棒や紙切り板も2セット必要になる)ためコスト的に不利?

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以上,前回と今回の記事で市販の盗難防止ホルダ(全5タイプ)について調べてみた。全てを網羅した訳ではないが,基本的な構造や特徴の概要を示した。

今後の進め方を考えるため,それら5タイプの関係を下の図に整理して示す。

市販の盗難防止&予備付きペーパーホルダの相関図

通常の1連ホルダを基本とし,それに盗難防止と予備ロールを追加する方法は2つに大別される。1つは2連ホルダとする方法(図の上のルート)であり,もう1つは1連ホルダに予備ストッカーを追加する方法(図の下のルート)である。

2連ホルダでは盗難防止のために鍵またはカバーを付ける。このタイプはロールが固定されているため,芯の有無に制限はない。しかし,部品数が増える上に,両減りの可能性が残る。

一方,ストッカー付き1連ホルダは予備ロールを移動させる構造。タイプ3は予備ロールを横に移動させ,タイプ4は縦に移動させる。このタイプは両減りの心配はない。しかし,ロールの種類が1つ(芯あり・なしのどちらか)に限定される。

なお,タイプ4は予備ロールの数を簡単に増やすことができるが,タイプ3は予備が1個に限定される。両者とも予備ロールの移動は手動操作のため,子供(特に幼児)には難しいかも知れない。
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以上で市販製品の調査は終了。次回は,従来製品の特徴や長所・短所を考慮した上でターゲットとなる新たな構造を明確にしたい。

- to be continued -

【2024発明工夫展への道】の過去記事(下線部をクリックして該当記事へ)
 ・その1:テーマを決める
 ・その2:従来製品のリサーチ (前半)


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