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オーストラリア人の彼女と 猫と、僕と°

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迷子

迷子になってしまった猫を探している、 そんな悲しい貼り紙をたまに見かけることがありますが、 そのチラシがいつか剥がされているのを発見したとき、 無事に発見され、ともに暮らしていた人々の元へ帰ったのだろうか、 その真相が分からないので、 嬉しいような悲しいような、 複雑な気持ちになります。 無事に発見されているのだろうと願いますが。 そんな貼り紙を、先日、 初めて訪れた場所で見かけました。 シマウマのような黒斑の1匹の猫が、 錆びた鉄製の階段から降りてきまして、 その猫を認めた

プロフェッショナル

少しばかり暖かい日が続いていて、 それは嬉しいことなのですが、 嬉しくないおまけも付いてきておりまして(雨でございます)、 湿気に煩わされております。 乾燥肌という観点から言うと、 いつもは街中で配布されるポケットティッシュのようながさがさ肌になりがちなのですが、 湿度が高いと、 花粉の時期に活躍しますプレミアムなティッシュのようなうるおい肌になってくださいます。 唯一の嬉しい点でしょうか。 kittyは湿気の影響を受けたりしないのかな、 と、どこか晴天の日と比べて変化がない

日曜日の朝

日曜日の朝のベッドの上のコーヒータイム、 そのために生きている、 とは彼女の弁でございまして、 耳にした瞬間は笑ってしまいましたが、 たしかにそうかもしれない、 という思いにゆっくりと気がついていきました。 日曜日の朝はとてもゆったりとした時間が流れておりまして、 彼女が起きる4時間前くらいから僕は起きて、 一人時間を楽しんでいるのでございますが、 そのとき、 kittyは僕の側で、 鳥を見るなり、毛繕いするなり、 愛らしくなにかをしております。 そして、 うあぁぁぁー とい

気張る

kittyも気張るのね、 そう驚いた出来事が。 kittyはハッピータイムを迎えるとき、 いつも家中を駆けずり回って、 そのタイミングが来たら、 冷静を装いながらトイレへと足を踏み入れるのでございますが、 この間、 駆けずり回ることなく、 がっがっがっとトイレの砂をかく音が聞こえてきまして、 これはハッピータイムではないな、 そう思いながら、 トイレから出てきた音を聞いて、 掃除しに行こうとしますと、 かっ kittyから息を吐いたような音が聞こえてきました。 くしゃみかな、

インドカレー

先日、彼女とインドカレーを食しに行ってまいりました。 ぶらりとショッピングを楽しんだ後、 インドカレーが食べたい 少しの逡巡の後、 彼女がそう言いましたので、 もちろん ということで。 そのときは、 一度は行ったことがあるような気がする、 そのように思っておりましたが、 よくよく考えてみると、 人生で初めてだったような気がいたします。 店内に入ってみますと、 十五近くあるテーブルは、 二つ三つが空いているだけで、 ほぼ満席状態でございました。 人気のお店なんだな、 わくわくし

しょうがないよね

kittyが彼女を好きだということは、 じっと見つめる時間の長さから明らかで、 気づけば、遠くから、いや、近くからでも、 じっと彼女だけを見つめて静止しているkittyを発見することができます。 簡単に。 しょうがないよね、kittyさん と、そんなkittyの視線を微笑ましく眺めている僕なのですが、 ふと冷静になりますと、 僕がkittyだけをじっと眺めている時間は、 kittyが彼女だけをじっと眺めている時間より、 はるかに長いのではないだろうか、 そのように思いました。

思いよ、届け。

トイレ時間はハッピータイム、 僕たちはそう読んでいるわけでございますが、 その空気がkittyには伝わらないようでございます。 kittyはトイレが近くなると、 そわそわし始め、 誰もいない部屋で、 みゃおーん と鳴いたり、 走って僕たちのところへ来て、 僕たちが一歩でも動けば、 ざざっと逃げて行ったり、 どうにも落ち着きがなくなります。 kittyのトイレの前の行動というものは、 明かにトイレへの助走だと分かるものでございます。 夜の静寂を見事なまでに蹴散らしてしまいますの

舌を出して生きてみよう

指を差し出せば舐めてくれます。 おでこを近づければ舐めてくれます。 挨拶のように、 どこでもぺろぺろと舐めてくれるkittyでございますが、 舌をしまい忘れることもしばしばでございます。 長過ぎてはみ出してしまうのかもしれませんが。 堂々とした表情と、 ぴとっと出た舌のお茶目さがマッチせず、 なんとも笑いを誘うお顔になっているわけでございます。 小さな頃はもっとお顔も小さく、 今以上に頻繁に舌をべろんと出していたようですが、 歳を重ねて大きくなると、 その外に出ている舌の面積

バランス

深夜、ふと目を覚ましてしまうときがありますが、 すぐに眠りに戻れないときなどは、 もよおしていなくともトイレに立ってみて、 寒い寒い、 そう感じながら抜き足差し足。 kittyが付いてくるときもあれば、 そのまま布団の中で眠り続けているときもあれば、 そのときどきによってさまざまではございますが、 トイレを済ませてがばっと布団の中に戻りますと、 kittyをすくっと持ち上げて、 ともに横になります。 kittyの暖。 布団の中にいるときは、 もちろん起こさないように丁寧に横に

特別感

お家へどうぞ。 そんな招待状が届けば、 いろんなお家を訪問してみたいな、 ときどき、そんな気持ちがふつふつ湧いてきます。 ないをしたいか、 特にそんなことはありませんが、 コーヒー片手にゆったりとおしゃべり、 それだけ。 道端で買い物袋を提げている人々を見ると、 今晩はなにを作るのかな、 どんなものをストックしているのかな、 どのように調理し、 どのように片付けるのかな、 次から次へと覗いてみたい事柄出てくるわけでございます。 基本的には、 僕は、母のやり方を踏襲しているよう

ヘルメット

kittyは彼女の漕ぐ自転車の音を、 完璧に判別できるようで、 他の人の自転車の音には反応しませんが、 彼女のそれにだけは、 瞬時に反応し、 そわそわし始めます。 ぐるぐる回って挙動不審な姿は、 まるで今から告白しようかという少年のようで、 微笑ましい姿でございます。 告白の成否はというと、 玄関前でごろごろ喉を鳴らしながら、 気持ちを伝えに行くのですが、 あなたに興味があるわけじゃないからね、 そう言わんばかりの無表情で、 彼女の腕に収まるところで終わります。 これもある種

白人の運命

白人の運命 白人は太る運命にある、 そのようなことを彼女は言っております。 全ての白人の方に当てはまる事柄ではないと認めておりますが、 日本人と比べたらそうだと思うようでございます。 さまざま理由はございますが。 あくまで彼女の見解ではございますが、 面白なと思います。 白人の方というのは、 若い頃は細くスタイルが良い方が多いようでございまして、 それが原因で、 歳を重ねてもスタイル維持などに気を遣わないようになってしまうよう。 若い頃の生活習慣をそのまま継続しっぱなし、とい

「他人」

書くことは好きかと問われれば、 はい、好きです そう答えるでしょうけれど、 なにか突き抜けて好きなものを書けるようになりたいな、 そう思うこの頃でございます。 それがなにかと問われれば、 分かりません そのようにしか答えられないのが正直なところでございまして、 ぼんたりと思い悩むこの頃でございます。 ここに書いておりますのは、 本にも書きましたように、 誰かと比較することなく、 良い一日だったな、 そう振り返ることのできるきっかけになれば良いな、 そのようにどこかで思いつつ、

そうしよう

彼女が飲み会でいない夜などは、 僕は先に寝ているのですが、 kittyは、 僕とともに寝ているとき、 または、 彼女の帰りを外を見ながら待っているとき、 二通りがありまして、 先日は、 後者でございました。 前者の場合、 静かに帰ってきてくれる彼女のおかげで、 目を覚ますことはないのですが、 後者の場合、 kittyは深夜など関係なく、 みゃーお と、元気いっぱいおかえりの挨拶をしますので、 目を覚ましてしまいます。 彼女のドアを開ける音、 廊下を歩く音、 シャワーを浴びる音