知らない・・・を使う [P.3]
「この身体はいつだって、今に紐づけられ空間と一体である」
なんて聞くと、とても窮屈な感じがするかもしれない。
まるでぼくらには、選択の余地などないような気さえしてしまう。
でもひょっとしたら…
本当に、じぶんで決めていると思っていることさえ
錯覚なのかもしれない。。。
学生のころ、ある講義を聴講したことがあった。
うろ覚えだが、そこでこんな話しを聞いた。
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『未来からの手紙 § エチカ 』~ 第二章 「覚え書き」P.3
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1)たしかドイツでの実験だったと思う。
たとえば手で何かを掴もうとする。
従来なら、脳から指示が出て腕が動くと考えられていた。
しかし実際には、空間に(*1)先に電気信号が発せられ、
それを後から意識がキャッチしていることが分かった。
*1:〈空間〉との言葉を使われたと記憶しているが、
なにしろうろ覚えなのでご容赦ください。
このことから、じぶんで思考し自らの意志で選択している、
と思っているのは錯覚で、
全てのモノゴトはどんな細部に至るまで全て決まっている、
との見解を示した学者がいた。
この話しを聞いたとき、とてもオモシロイ!と思ったし、
じゃあ人間の運命も隅々まで決まっているんだ!?
と、窮屈どころか爽快感さえ覚えた。
それに、仮にそれが真実だとしても未来は誰にとっても不確実。
たとえ運命が隅々まで決まっていようが決まってなかろうが、
人間の意識には分からないのだからアドベンチャー性は残る。
だったらやっぱりオモシロイ!
と当時はそう思い、
絶対的だった常識が覆された衝撃だけが残った。
2)そのまた後のこと。
ぼくの担当していたアーティストのボイストレーナーが、
趣味で合氣道をやっているという話から同様のネタを聞くことに。
相手に勝とうとアタマで考えると、判断は0.35秒ほど遅れるので
その寸分の隙にやられてしまう、といった話しだった。
なぜなら、勝とうと構えるその力みが相手に伝わり、
戦闘モードを読まれるからだと。
___ぼくはこの話しを聞いたとき
まさに “ Don't think. Feel ! ”
リアル ドラゴンだ!と興奮した。
ではどうすればよいかというと、相手の氣に合わせるのだという。
相手が倒したがっているのなら、それに抵抗するのではなく
その相手の氣に心身まるごと委ねてしまえばいいのだと。
つまり、合わせるというよりは、相手と一体になる、ということだ。
だがそうとはいえ、
実際に戦う相手に全て委ねるなんて容易に出来そうもない。
そこでベースとなるのが、なんと!愛!だと言っていた。
ベースは愛。
というのはとてもしっくりときたが、言うは易し行う難し。
実践には覚悟と修練が必要だろうと感じた。
★
3)さらに時を経て、こんどは活字で同様のネタに遭遇。
それは、カルフォルニア大学 ベンジャミン・リベット博士
による脳神経科学の実験の記録だった。
ぼくらが何かをこうする、と決めるより約0.35秒前に、
無意識的な活動が先に決めていると検証されたのだ。
記述によると、年代的にはこっちの方が先なので、
おそらくその後、様々な方面へ広がり
更に検証が重ねていかれたのだと思われる。
ぼくが日常で〈同時〉を体感した(*2)のは、上の行間 ★ のころ。
だから尚のこと、3)の実験が示していることが
リアルに感じられたのだった。
*2:〈同時〉を換言すると、主体と客体が分かれる前とも言える。
この体感は直感的に、色即是空 空即是色 とピタリと一致した。
実際、1)2)の話しに衝撃は受けたものの、
日常生活にどう生かせばよいのかは不明だったため、
情報自体は忘却の彼方へいっていた。
いよいよあの体感を日常に使えるようになり始めたころに、
まるでコタエ合わせのように、3)の記録を目にする運びとなる。
そこでようやく、3つの情報が串刺しされたのだ。
この経緯により確信したのは、
知って衝撃を覚えることと、実際にカラダに落とし込むこととの間には、
思っているより大きな、歴然とした隔たりがあるということだ。
そういえば、おしゃべり鮫が言っていた…
と、はたと気づく。。。
「エチカくん。知ることと使うことは、まったく異なるメロディー。」
そっか、そういうことだったのか!
知って近づける世界もあれば
知っただけでは飛び越えられない世界もある。
だったらいっそのこと、〈知ってる〉を使わずに
〈知らない〉を使えばいいんだ!
そう思い至って以来、
ぼくの日常の〝工夫〟は格段に進むようになった。
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『未来からの手紙 § エチカ 』~ 第二章 「覚え書き」
つづく♪
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